Project/Area Number |
23K27500
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Project/Area Number (Other) |
23H02809 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
OSHIMA JUNKO 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (80792275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | ワーナー症候群 / 早老症原因遺伝子 / 核とミトコンドリアシグナル / 早老症国際コンソーシアム / 老化 / 核とシグナル |
Outline of Research at the Start |
早老症は加速老化に類似する多様な症状を呈する遺伝疾患の総称であるが、臓器老化のフェノタイプは加齢性老化とは異なり、詳細なメカニズムは十分に明らかにされていない。本研究では、原因不特定の早老症の全ゲノム解析と「核とミトコンドリア」シグナルに着目した早老症遺伝子変異の機能解析とシングルセル解析を用いた臓器老化のheterogeneityの分子基盤解析を推進することで、早老症分子基盤の解明とそれに基づく革新的な抗老化・加齢関連疾患治療法開発への応用を目指す。本研究成果として、新たな老化バイオマーカーや創薬標的となる可能性を秘めており、加齢性疾患の新たな予防や治療、健康長寿延伸法の開発が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
早老症の原因遺伝子は、ゲノム維持・核内構造・糖脂質代謝などに影響を与える多彩な機能を持つ。しかしながら、臓器老化のフェノタイプは加齢性老化とは異なり、その詳細なメカニズムも十分に明らかにされていないので、原因遺伝子不明の早老症や、臓器老化のheterogeneity・個体差の分子基盤を明らかにする必要がある。そこで、ウェルナー症候群の国際レジストリの中でも、未解決のWS症例9例を対象に、オックスフォード・ナノポアプラットフォームによるターゲットロングリードシーケンス(T-LRS)を施行した。その結果、未解決のWS症例9例のうち8例で第二の病原性バリアントを同定できた。特に、5例において、T-LRSによりイントロニックスプライスバリアントが同定され、RT-PCRによりスプライシングに影響することが確認できた。次に、遺伝子変異と表現型の因果関係が遺伝学的に確認された原因遺伝子について、細胞レベルで因果関係について生物的実証実験を行った。内皮の複製によって誘導される老化と、炎症性サイトカインTNF-αによって誘導される老化のトランスクリプトーム・プロファイルを比較検討した。その結果、複製老化とTNF-α老化の両方において、発現低下遺伝子のシグネチャーが高度に重複しており、細胞周期制御、DNA複製、組換え、修復、クロマチン構造、細胞集合、組織化に関連するいくつかの遺伝子の発現低下が関与していることを発見した。特に、p53/p16-RB-E2F-DREAMの標的遺伝子のうち、増殖、有糸分裂の進行、DNA損傷の修復、クロマチン完全性の維持、DNA合成に必須な複数の遺伝子の発現が、老化細胞で抑制されていることを明らかにした。これらの結果は、DREAMと細胞老化との間の制御的なつながりが、老化プロセスにおいて潜在的な役割を果たすことを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワーナー・レジストリーに登録されている原因不明のWS症例9例を対象とした遺伝子解析において、オックスフォード・ナノポアプラットフォームによるターゲットロングリードシーケンス(T-LRS)を施行した。その結果、未解決のWS症例9例のうち8例で第二の病原性バリアントを同定できたことが概ね順調に進展している理由の一つである。特に、これまで検出できなかったイントロニックスプライスバリアントが同定できたことが進展に貢献している。また、早老症原因遺伝子の生物学的証明と病因メカニズムの機能解析において、変異のタイプに応じてsiRNA、CRISPRまたは過剰発現を使い分けたことで、機能解析効率が上がったことも、順調に進展している要因であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の大きな方策として、遺伝子変異と表現型の因果関係が遺伝学的に確認された原因遺伝子について、細胞レベルでの因果関係を生物的に実証するメカニズム解析を推進する。これは、患者由来と健常家族由来の線維芽細胞を用いるが、同時にヒト線維芽細胞に変異を導入する。変異のタイプに応じてsiRNA、CRISPR/Cas9または変異遺伝子の過剰発現を用いて行う。第一選択は相同組換えを利用したCRISPR/Cas9システムの活用であるが、劣性遺伝形式の変異に対してはsiRNA、優性遺伝形式の変異体はcDNAの過剰発現を用いる。増殖、有糸分裂の進行、DNA損傷の修復、クロマチン完全性の維持、DNA合成に必須な複数の遺伝子の発現が、老化細胞で抑制されていることに関連づけて、特にp53/p16-RB-E2F-DREAMの標的遺伝子を評価する。核p53とミトコンドリアのクロストークも合わせて評価する。 これまで、マウスを用いたSingle Cell解析の報告において、加齢に伴い特に皮膚や脂肪組織で免疫細胞の活性化、細胞外マトリックスやミトコンドリア機能の変化などが明らかとなった。しかし、ヒト加齢性疾患や老化に伴う組織変容についてはまだ分かっていない。そこで、早老症患者さんの皮膚生検組織あるいは下腿潰瘍が重度で切断した症例の組織をもちいて、皮膚、脂肪組織、血管組織を解析中心に、single cell RNA-seq/single cell ATAC-seqを行い、特にp53シグナル・老化シグナル・ミトコンドリア/代謝調節遺伝子群の発現変動と連関するパスウェイを解析する。組織を構築する細胞種類ごとのシグナル解析、およびCell-Cell-Interaction解析を行い、老化シグナルの臓器内での多様性とheterogeneityを明らかにする。
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