Project/Area Number |
23K27525
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Project/Area Number (Other) |
23H02834 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠井 清登 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80322056)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | 22q11.2欠失症候群 / 重複障害 / 意思決定支援 / PPI / 医療的ケア児 / 移行期 / 共同意思決定 |
Outline of Research at the Start |
重複障害を呈する医療的ケア児は、医療・教育・福祉の定型的な支援構造からこぼれ落ち、家族の心理的負担も大きいことから、移行期の意思決定支援は極めて困難である。しかし重複障害を抱える子どもと家族の移行期支援は国際的にも理論が構築されておらず、意思決定支援の普及と実装も手付かずである。そこで本研究は、22q11.2欠失症候群の移行期における医療・教育・福祉上の意思決定に関する困難および支援ニーズについて、質・量的なデータを多面的に取得し、解析することで明らかにする。その知見にもとづき、共同意思決定(shared decision making [SDM])支援ツールを作成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
22q11.2欠失症候群の重複障害にともなう困難について、福祉制度に焦点をあて,疾患の特性と制度のミスマッチから生じる困難とニーズを明らかにすることを目的した研究を行った。養育者125名を対象としたウェブアンケート調査を行い、混合研究法により、選択式回答の量的解析と、自由記述式回答の質的解析を行った。量的解析では、年少ほど療育に関する項目の選択率が高く、年長ほど就労や結婚、住居に関する項目の選択率が高いなど、年齢に応じて移り変わる困難が示された。重複障害を考慮されない困難は幼児期から学齢期にかけて一旦選択率が下がるものの、19歳以上で再び増加していた。質的解析では、本人や家族の心理的側面や具体的なニーズなど、量的解析には含まれなかった主題が見いだされた。量的・質的解析の双方において、疾患に関する支援者の理解や知識の不足は多くの回答で指摘される点であった。また、同調査回答から、療育手帳の有無に伴う医療的困難やニーズについても検討を行った。さらに、東京大学医学部附属病院精神神経科22q11DS専門外来の患者の後ろ向きカルテ疫学調査により、その受診動機には、重複障害にともなう心理社会的な支援をどう受けていけばよいかにまつわる相談が多かった。これらの結果から、疾患特性やそれに重なる心理社会的な困難とニーズに関する理解を土台とした、既存の制度設計にとらわれない支援が求められると考えられた。それを踏まえて、22q11.2欠失症候群の子どもを持つ親の立場の方々との共同創造による、共同意思決定を支援する手帳の作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22q11.2欠失症候群の重複障害にともなう困難について、福祉制度や療育手帳の取得に関連した医療的困難やニーズについて調査し、論文発表や学会発表を行った。さらに、東京大学医学部附属病院精神神経科22q11DS専門外来の患者の後ろ向きカルテ疫学調査により、その受診動機には、重複障害にともなう心理社会的な支援をどう受けていけばよいかにまつわる相談が多かった。これについても学会発表を行い、現在論文執筆中である。これらの結果から、疾患特性やそれに重なる心理社会的な困難とニーズに関する理解を土台とした、既存の制度設計にとらわれない支援が求められると考えられ、22q11.2欠失症候群の子どもを持つ親の立場の方々との共同創造による、共同意思決定を支援する手帳の作成に着手した点で、順調に研究が進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
重複障害を呈する医療的ケア児は、医療・教育・福祉の定型的な支援構造からこぼれ落ち、家族の心理的負担も大きいことから、移行期の意思決定支援は極めて困難である。しかし重複障害を抱える子どもと家族の移行期支援は国際的にも理論が構築されておらず、意思決定支援の普及と実装も手付かずである。このような仮説のもと、本研究は、22q11.2欠失症候群をモデル疾患として、移行期における医療・教育・福祉上の意思決定に関する困難および支援ニーズについて、質・量的なデータを多面的に取得し、解析することで明らかにする。すでに2023年度に仮説を実証する成果が得られていることから、2024年度以降は、これらのナラティブおよびエビデンスにもとづき、本人・家族・専門家の共同意思決定(shared decision making [SDM])支援ツールを作成していく。2023年度にすでに当初段階からの当事者・家族との共同創造(patient-public involvement [PPI]; co-production of research)に着手しており、2024年度は、試作版について当事者家族との意見交換をさらに進めていく。また、使いやすい媒体についても、当事者家族の意見を聞いていく。最終的には重複障害のために移行期支援に困難を伴う難病の医療的ケア児とその家族の支援の方法論として普遍化し、children & family-centered SDM in transition [CF-SDM-T]を確立する。
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