Project/Area Number |
23K27544
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Project/Area Number (Other) |
23H02853 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
羽澤 勝治 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (40622460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 浩教 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (10583734)
紺野 宏記 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (80419267)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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Keywords | 相分離 / スーパーエンハンサー / 遺伝子発現 / 核膜孔 / ゲノムインテグリティ / DNA損傷 / マスター転写因子 / TP63 / 細胞核 / DNA修復 |
Outline of Research at the Start |
近年,細胞内でタンパク質や核酸等の生体分子が集まり水と油のように分離する“相分離”現象が,様々な生命現象を制御する基盤的機構として注目されている.“相分離”現象はこれまで解決困難であった課題を打破する重要な概念として期待されているが,放射線応答における相分離現象の役割は殆ど理解されていない. 最近の申請者らの取り組みから,相分離が形成されるDNA領域は放射線抵抗性を生み出す要因であることが判明し,相分離の制御により放射線治療効果を格段に向上できる可能性が期待できる. 本研究は,放射線抵抗性の原因となる相分離の実体を分子レベルで解明し,放射線抵抗性がんの克服につながる相分離制御法を創出する.
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Outline of Annual Research Achievements |
放射線療法はがん治療法の一つであり,ゲノムDNA損傷を引き起こすことでがん細胞を死滅させる.重要なことに,核内ゲノムの存在様式は一様ではなく,核内ゲノムは異なる機能をもつ相分離体が形成されている.ヒストンアセチル化修飾を認識するブロモドメインタンパク質が先行して形成されるゲノム構造(スーパーエンハンサー:SE)は,細胞の重要な機能発現に関わる遺伝子を強力に誘導する相分離体である.これらのゲノム存在様式は放射線感受性を左右する要因となり得る可能性が考えられるが,その実態は不明である.本年度は,BRD4が基盤となり形成されるSEと放射線感受性の関連性を明らかにすることを目的とした. BRD4のC末に存在する天然変性領域(IDR)は相分離したSEの液滴構造を確立するうえで重要な役割を果たすため,放射線照射細胞の核内に存在するSE(BRD4コンデンセート)とDNA二重鎖切断(DSBs:Double Strand Breaks)の局在様式について検証した.このときDSBs発生後に起こるヒストンH2A Ser137番目のリン酸化(gH2AX)をDSBsの指標として解析した.BRD4コンデンセートがあるゲノム領域ではDSBsが起こっていないことが共焦点蛍光顕微鏡の結果から明らかになった.また,BRD4を分解する低分子ARV771を添加した細胞では,放射線照射後30分において,DSBsが顕著に増加した.また,蛍光イメージングの結果と一致し,クロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-seq)の解析結果からも,BRD4が集積する領域ではgH2AXが認められなかった.これらより,SEはゲノムDNAをラジカルから保護することで,放射線抵抗性の付与に関与していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していたリン酸化ヒストンタンパク質抗体を用いたChIP-seq解析が公共データベースで利用可能であったため,これらを活用し,放射線応答における相分離の役割解明に必要なデータ解析の一部を進めることができた.これらのゲノムワイド解析データの一部や初年度で得られた知見をまとめ,現在論文投稿中である. 細胞核内におけるSEの局在制御機序とがん悪性形質との関連性を明らかにした.DNA修復の過程で,核内における時空間的な損傷ゲノム動態の重要性が指摘されており,放射線応答における相分離の役割解明に資する重要な知見をえることができた. 以上より概ね達成できていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
SE特異的に阻害できる低分子開発にむけて,標的となり得るSE構成タンパク質の同定が必要である。特に、RNA結合タンパク質に焦点をあてて、SE構成タンパク質の完全プロファイリングを達成する.
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