Project/Area Number |
23K27569
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Project/Area Number (Other) |
23H02878 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
八代 健太 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60432506)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
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Keywords | 心血管系の形態形成 / 多細胞間シグナルネットワーク / シングルセル解析 / 空間的トランスクリプトーム / 3Dイメージング / 心臓血管の形態形成 / 縦隔 / 細胞間相互作用 / レチノイン酸 / 左右軸シグナル / 細胞アトラス |
Outline of Research at the Start |
私たちの先行研究は、心血管系の基となる細胞と周囲の細胞において細胞同士の相互作用があり、その多細胞間の相互作用のネットワークに異常が生じると、複雑な先天性心疾患が生じ得ることを示している。しかしながら、そのネットワークのダイナミクスは多くが不明のままであ る。本研究では、上述のネットワークの異常で複雑な先天性心疾患を生じるマウスを疾患モデルとして用いて、一細胞レベルでの異常を臓器の形態と関連づけて研究する「細胞アトラス解析」を行い、複雑な先天性心疾患の背後の原因を解明することを目的とした基盤的研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
重症な複雑先天性心疾患の患者は、治療の成否に拠らず加齢に伴い多くの患者が心不全に陥る。疾患の原因となった分子機構が心不全の直接的原因になり得るため、その理解は重要である。私たち独自のものを含む先行研究は、胚の縦隔の心血管系原基と周囲の組織において、臓器の左右非対称性を担う遺伝子プログラムやレチノイン酸に関連する多細胞間シグナルネットワークに異常が生じると、複雑先天性心疾患が生じ得ることを示している。しかしながら、そのシグナルネットワークのダイナミクスは多くが不明のままである。本研究では、上述のシグナル異常が原因である独自の複雑先天性心疾患モデルマウスを用いて、シングルセル解析・空間トランスクリプトーム解析・3次元イメージング解析を統合した「細胞アトラス解析」を行い、心血管系の発生を支える多細胞間シグナルネットワークの時空間的ダイナミクスを解明する基盤研究を行う。特に、レチノイン酸を代謝し不活性化する酵素Cyp26b1遺伝子のノクアウトマウスにおける心血管系の形態異常に焦点を当て、レチノイン酸合成酵素Raldh2、Cyp26b1、そしてレチノイン酸シグナルをモニタできるRARE-lacZ導入遺伝子の時空間的な局在、シングルセルレベルでの遺伝子発現プロファイルをCyp26b1変異マウスと野生型マウスで比較することにより、レチノイン酸シグナルを制御とそれに基づく形態形成が、どのような細胞間相互作用により担われているのかを解明する基盤研究を展開する。この研究により、複雑先天性心疾患の分子病態の理解を深め、新しい治療法の開発に資する知見の創出に挑みたい。研究を推進するにあたり、以下の4つの要素項目を達成すべき目標とする:(1)マウス胚縦隔のシングルセル解析、(2)マウス胚縦隔の空間トランスクリプトーム解析 、(3)マウス胚縦隔の4Dイメージング解析、および(4)細胞アトラス解析。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
達成目標とした要素項目ごとに、進捗状況を記す。 (1)マウス胚縦隔のシングルセル解析:マウス胚の縦隔を大血管を含めた形で切除し、トリプシン処理で単一細胞化し、一定期間凍結保存後、解凍した際に解析に耐えうる細胞の生存率を担保する最適条件を決定した。この条件をもとに、野生型及びCyp26b1変異マウス胚の11.0日胚と12.0日胚の由来の細胞を準備し、scRNA-seqデータを10 X Genmics社ChromiumおよびIllumina次世代シーケンサーNovaSeq6000により取得した。データは現在解析中である。(2)マウス胚縦隔の空間トランスクリプトーム解析:先端ゲノム 支援による支援を受けることができ、10 X Genomics社Xenium In Situのプラットフォームに基づき、野生型及びCyp26b1変異マウス胚のE11.0日胚とE12.0日胚の大血管を含む縦隔組織のパラフィン包埋切片を準備し、データ取得を行った。データは現在解析中である。(3)マウス胚縦隔の4Dイメージング解析:ABiSの支援により、順天堂大学須崎悦夫教授らが開発した卓上型光シート蛍光顕微鏡descSPIMの導入を行い、研究室内で無事に稼働させることに成功した。また、光シート蛍光顕微鏡により取得した断層蛍光画像から洗練された3D画像を作成するための独自のオープンソースソフト(Acto3D)の開発に成功した。このソフトの開発は、Development誌にて発表した。現在は、蛍光probeにより解析標的構造を標識したマウス胚を光シート蛍光顕微鏡にてスキャンし、得られた画像をActo3Dを用いて解析中である。(4)細胞アトラス解析:scRNA-seq、Xenium In Situおよび胚の時系列の3D画像を統合することにより細胞アトラス解析が可能となるが、現在はそのための準備段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
達成目標とした要素項目ごとに、推進方策を記す。 (1)マウス胚縦隔のシングルセル解析:すでにデータは得られているので、野生型とCyp26b1変異マウス間で比較しながら、発現変動遺伝子、シグナル経路、および細胞間相互作用における時系列に沿った変化を、バイオインフォーマティクス解析により抽出する方針である。(2)マウス胚縦隔の空間トランスクリプトーム解析:得られたデータを解析し、上述のscRNA-seq(シングルセル解析)データと統合して、scRNA-seqによリ得た各細胞を空間的な解剖学的構造へとマッピングする作業を行う。(3)マウス胚縦隔の4Dイメージング解析:必要とする3D画像を取得し、得られた画像をActo3Dを用いて解析し、上述したXenium In Situにより得られたデータと統合し、解釈する。必要とされるマウス胚の全胚蛍光染色を実施し、ラボに導入した卓上型光シート蛍光顕微鏡descSPIM、またはABiS支援によるZeiss Z1 光シート蛍光顕微鏡(京都大学)を用いてデータを順次取得し、3D イメージング解析を継続する。(4)細胞アトラス解析:(1)から(3)のデータ取得と統合が終わった段階で、これらを総合して解釈する細胞アトラス解析が可能となるため、それを目指し、状況が整えば開始する。統合解釈した上で、必要と考えられた組織学的解析や、RT-PCRやwhole mount in situ hybridizationなどを含む組織学的解析をさらに実施することで、得られたデータの正当性を確認し、生物学的な意味についての解釈を行なっていく。
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