Project/Area Number |
23K27609
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Project/Area Number (Other) |
23H02918 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53030:Respiratory medicine-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
矢野 聖二 金沢大学, 医学系, 教授 (30294672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南條 成輝 金沢大学, 附属病院, 講師 (00722555)
木場 隼人 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (80967886)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 分子標的薬 / 共存変異 / 分子標的薬耐性 / 肺癌 / 次世代シーケンス / 耐性変異 |
Outline of Research at the Start |
ドライバー遺伝子異常に共存する遺伝子変異が分子標的薬の感受性を修飾し、抵抗性細胞の発生や獲得耐性に関与することが注目されている。本研究では、EGFR変異肺がんにおいて申請者らが見出したEGFR内の共存変異とがん抑制遺伝子TP53の変異に焦点をあて、大規模臨床試験の検体(血漿中遊離DNA)を次世代シーケンスしこれら共存変異(TP53は機能喪失変異と機能獲得変異に細分類して解析)と分子標的薬の治療効果との相関を検証する。さらに、これらの変異が薬剤抵抗性を惹起する機構と抵抗性克服候補薬を同定する。これらの検討により、肺がんを共存遺伝子変異により層別化する個別化医療の理論的基盤を形成することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
第 3 世代の上皮成長因子受容体 (EGFR) チロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) オシメルチニブは、EGFR 変異非小細胞肺がんの第一選択治療である。しかし、オシメルチニブ耐性に対する確立された治療法は存在しないため、第二世代薬であるアファチニブが依然として標準治療の代替選択肢となっている。今年度は、EGFR変異非小細胞肺がん患者のセルフリーDNA(cfDNA)を分析することにより、アファチニブの有効性と耐性に関連する遺伝子変化を解明することを目的に検討を行った。 【方法】初回治療としてアファチニブで治療を受けた患者 40 人の血漿 cfDNA を分析した。アファチニブ治療に対する耐性獲得前と獲得時に一対の検体を採取し、アファチニブ耐性時のみの検体をそれぞれ22名と18名の患者から採取した。 【結果】22 例の血漿 cfDNA では、13 例 (59.1%) でドライバー EGFR 変異が検出され、EGFR-L858R 変異を伴う2 例でEGFR-V834L 変異が検出された。無増悪生存期間の中央値は、V834L患者では22例すべてよりも著しく短かった(4.2月 vs 9.2月)。さらに、アファチニブ耐性患者 1 名の cfDNA から、EGFR-L858Rに共属する V834L および T790M変異を検出した。Ba/F3 細胞に遺伝子導入した実験結果から、EGFR-L858RにおいてV834L変異がアファチニブやオシメルチニブを含む低濃度のEGFR-TKI に対し耐性を惹起することが明らかになった。 EGFR-L858R+V834L の 3 例では、TP53、CTNNB1、RB1 などの他の共変異がアファチニブ耐性の前後で検出された。 【結論】これらの結果は、V834L が他の共存する変異と協力して、EGFR-TKI の治療効果に影響を与えることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、EGFR-V834LがEGFR-L858Rに共存した場合、EGFR-TKI耐性を惹起することをin vitroおよびin vivoの実験で明らかにすることができた。また、TP53変異による抵抗性の克服薬の同定については、KRAS変異肺がんで大きく進捗しており、現在論文にまとめ投稿中である。 一方で、大規模臨床試験の臨床検体の解析によるTP53変異と治療効果との相関の検討については、臨床検体を入手できたため、令和6年度に解析を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は下記の検討を中心に行う。 1、大規模臨床試験の臨床検体の解析によるTP53変異と治療効果との相関の検討(木場、R5年度実施)阪神がん研究会が実施している「EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんにおけるアファチニブからオシメルチニブへの逐次投与の有効性を評価する多施設共同前向き観察研究(Gio-Tag Japan:UMIN000037452)」でアファチニブ治療前と耐性時(オシメルチニブ治療前)に採取されたcfDNAを次世代シーケンスにより解析し、アファチニブとオシメルチニブそれぞれの治療でTP53変異の有無によりPFSに有意差があるか、TP53変異の種類(ホットスポット変異を含む)によりPFSが著明に短縮するような変異があるかを検討する。 2、治療抵抗性と相関するTP53変異が抵抗性を惹起する機構の解明 EGFR変異株やKRAS変異株を用い、TP53野生型株には変異TP53遺伝子の導入や発現低下処理を行い、変異型株には野生型TP53遺伝子を強制発現させ、EGFR阻害薬やKRAS阻害薬感受性の変化を検討し、TP53変異が分子標的薬抵抗性を惹起するメカニズムや、それを抑制する治療法を検討する。
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