Project/Area Number |
23K27650
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Project/Area Number (Other) |
23H02959 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浅野 知一郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 名誉教授 (70242063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 啓 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10570616)
神名 麻智 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 准教授 (10619365)
中津 祐介 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (20452584)
迫田 秀之 宮崎大学, 医学部, 准教授 (50376464)
山本屋 武 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (50760013)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,230,000 (Direct Cost: ¥7,100,000、Indirect Cost: ¥2,130,000)
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Keywords | プロリン異性化酵素 / 糖代謝異常 / 炎症 / 線維化 / Pin1 / 肥満 / Hippoシグナル / 代謝異常 |
Outline of Research at the Start |
我々は、肝、脂肪、筋肉、腎において、過栄養状態に伴ってプロリン異性化酵素Pin1が顕著に増加し、肥満を含めたメタボリックシンドロームの成因に関与していることを世界に先駆けて証明した。最近、我々は、Pin1 KOマウスが線維化病変の発生に強い抵抗性を示すことから、コラーゲンを産生する肝星細胞株LX-2を用いてPin1結合タンパクの網羅的スクリーニングを行った。その結果、新しいPin1結合タンパクとして、YAP/TAZとMRTF-Aが同定されてきた。そこで、肝や脂肪の組織サイズの拡大(脂肪肝や肥満)、炎症、線維化に作用するかを、培養細胞と臓器特異的Pin1 KOマウスを用いて解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
プロリン異性化酵素は、ターゲット蛋白のプロリンとそのN端側のアミノ酸とのペプチド結合をcisからtrans formに変換することで、標的タンパクの機能や細胞内分布等を変化させる酵素の総称である。プロリン異性化酵素はFKBP、cyclophilin、Pin1の3種類に大別され、それぞれ異なった標的タンパクに作用する。その中で、Pin1は、pSer/Thr-Proを含むモチーフを有する標的タンパクに作用する特徴を有する。そこで、以下について研究を遂行した。 ① プロリン異性化酵素Pin1が、過栄養状態のマウスの肝臓、筋肉、脂肪組織、腎で顕著(5-10倍程度)かつ持続的に増加する。脂肪肝あるいはNASHでは肝の肥大と線維化が生じるが、その機序として、Pin1とHippo-YAP/TAZシグナルとの結合が関与していることを見出した。その結果として、臓器(肝、脂肪)サイズの拡大(肥満)、炎症、線維化発症(EMTやコラーゲン産生も含めて)が生じることを見出した。また、肝星細胞や腎ペリサイトに関しても、EMTや線維化促進に、Pin1・YAP/TAZシグナルが関与する結果を得た。 ② アトピー性皮膚炎では、炎症と共に、好酸球の活性化が生じる。今回、ヒトアトピー性皮膚炎の病巣でPin1の発現量が顕著に上昇していることを見出した。増加したPin1はIL33のシグナル伝達を亢進させ、アトピー性皮膚炎の発症機序に関与している可能性を報告した。 ③ Pin1は癌の悪性度と相関することが良く知られている。今回、癌周囲の微小環境にPin1が影響を及ぼすことを介して、癌の進展が促進される機構が存在することを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、脂肪や肝におけるPin1の発現増加が、肥満やNAFLD/NASHを含むメタボリックシンドローム発症に必須の役割を果たしていることを報告してきた。しかし、近年、興味深いことに、Pin1 KOマウスが、肥満や過栄養とは無関係の、ブレオマイシンによる肺線維化、四塩化炭素やメチオニン・コリン欠乏食による肝線維化、血流阻止による腎線維化のいずれに対しても強い抵抗性を示すことが報告されてきた。すなわち、Pin1は線維化病変の形成にも不可欠な役割を果たしていることが強く示唆されるようになった。その現象において、Pin1の標的タンパクとして、Pin1はYAPとTAZの両方に結合することが新規に見出すに至った。我々は、Pin1がYAP/TAZの複数個所に結合する結果を既に得ているが、どの部位に結合すると、YAP/TAZ に対して、① LATS1/2によるリン酸化依存性の14-3-3との結合、②分解速度の調節、③核内移行等の制御が引き起こされるかを詳細に検討し、結果的に、代謝、炎症、線維化にどのような作用が生じるかを解明する実験を遂行しており、計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
、Pin1がYAP/TAZの複数個所に結合する結果を既に得ているが、どの部位に結合すると、YAP/TAZ に対して、① LATS1/2によるリン酸化依存性の14-3-3との結合、②分解速度の調節、③核内移行等の制御が引き起こされるかを詳細に検討し、結果的に、代謝、炎症、線維化にどのような作用が生じるかを解明する。さらに、Pin1は細胞内小胞輸送に関与するTFGの制御に関与していることから、エクソソームを介して生じる代謝や線維化との関連についても解明したい。 最終的には、我々が開発してきたPin1阻害化合物による治療(代謝改善と線維化抑制の両面において)への道を開けるようにすることを目標とする。その根拠となる学問的な知見(分子メカニズム)を証明する。
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