Project/Area Number |
23K27668
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Project/Area Number (Other) |
23H02977 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
太田 智彦 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 教授 (60233136)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | DNA損傷 / 免疫チェックポイント / RSK / KDM4B / cGAS-STING |
Outline of Research at the Start |
乳癌における各種キナーゼによる細胞内伝達機構によるDNA損傷修復における役割とcGAS-STING経路の制御機構を明らかにし、乳癌治療の基盤とする。具体的には、DNA損傷に起因するcGAS-STING活性化におけるRSKをはじめとした各種キナーゼの役割を、KDM4Bのリン酸化とSTINGへの直接作用を含むいくつかのメカニズムについて明らかにする。これらのキナーゼあるいはKDM4Bの機能に影響を与える内因性のファクターが乳がんのcGAS-STINGを介した炎症とPD-L1の発現に与える影響を明らかにし、免疫チェックポイント阻害剤に併用する薬剤作用を理解するための基盤とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Ribosomal S6 Kinase(RSK)をはじめ、各種キナーゼがDNA損傷修復および直接作用を介してcGAS-STING活性化におよぼす作用を明らかにし、乳がん治療への応用を目指した。その結果、RSK阻害剤によるヒストンリジン脱メチル化酵素KDM4Bのリン酸化がDNA2本鎖切断部位へのKDM4Bの集積とDNA損傷修復に必須で、RSK阻害剤であるBI-D1870とLJI308がこれを抑制することによりDNA損傷修復を阻害し、細胞の放射線への感受性を有意に高めた。主にKDM4Bノックアウト細胞とKDM4Bとリン酸化部位の変異体に置換した細胞を用いて詳細な裏付け実験をし、予想していたメカニズムが立証されたので、その結果を論文として投稿した。一方、KDM4Bのリン酸化阻害はトポイソメラーゼ阻害剤に対しては抵抗性を生じさせることが判明した。KDM4B欠失細胞が染色体凝集によって薬剤のDNAへのアクセスを阻害して同様な結果を生むという報告があり、これに合致するものである。DNA損傷に起因するcGAS-STING活性化における各種キナーゼ阻害剤の影響に関しては、放射線、Doxorubicin、neocarzinostatinによってDSBを生じさせた後、cGAS-STINGが活性化する時期およびその際に重要なメカニズムが判明した。また、この系でcGAS-STINGの活性化とともにPD-L1の発現も誘導される細胞や誘導時期が明らかとなった。さらに重要な点として、PD-L1はcGAS-STINGによって誘導されるだけではなく、逆にcGAS-STINGの活性化およびその下流の炎症誘導を強く促進することが判明した。DNA損傷を伴わないcGAS-STING活性化におけるキナーゼ作用の解析についてはオリゴ(dA:dT) DNAを細胞質内に発現させる系を用いて、cGAS-STING活性化の時期や細胞株によって異なる特徴がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RSKによるKDM4Bのリン酸化を介したDNA2本鎖切断修復機構およびそれを介したRSK阻害剤の作用については検証実験が終了し、論文としてまとめることが出来た。RSK、AKT、S6K阻害剤を含む、多数のキナーゼ阻害剤を用いたスクリーンの結果、cGAS-STINGに強い影響を及ぼす候補阻害剤を同定することが出来た。DNA2本鎖切断後、後期(5-6日後)に生じるATR/Chk1キナーゼを介したcGAS-STINGの活性化および炎症誘導にPD-L1が必要であるという新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
1) RSK阻害剤によるKDM4Bのリン酸化阻害が放射線照射によるDSBに対する感受性を亢進させる一方、トポイソメラーゼ阻害剤に対しては抵抗性を生じさせる現象について、染色体凝集によって薬剤のDNAへのアクセスを阻害しているかを明らかにする。 2) DSBを生じさせた後のcGAS-STINGの活性化に作用するキナーゼの阻害剤あるいはsiRNAによるノックダウンの効果を明らかにしたのち、このキナーゼの作用点を解析する。cGAS-STINGの活性化はTBK1のリン酸化や2’3’-cyclic GMP-AMP (cGAMP) の定量などによって行う。また、cGASの細胞内局在を蛍光免疫染色にて解析する。同様の系でPD-L1の誘導が新規に発見した経路によるcGAS-STINGを介しているのか、他の作用によるのか、またPD-L1とcGAS-STINGの相互作用についても解析したのち、この発現誘導に作用する可能性のあるキナーゼの阻害剤あるいはsiRNAによるノックダウンの効果を解析する。 3) DNA損傷を伴わないcGAS-STING活性化におけるキナーゼ作用の解析としてはオリゴ(dA:dT) DNAを細胞質内に発現させる系を用いて、DNA損傷を伴わないcGAS-STING活性化における各種キナーゼ阻害剤の影響を解析する。 4) cGAS-STINGを介した炎症促進・PD-L1発現におけるKDM4B機能不全の影響についてはcGAS-STING に依存したNF-κB活性化およびその下流の炎症性サイトカインの上昇におけるRSK阻害剤をはじめとした各種キナーゼ阻害剤の影響を解析した後、その効果におけるKDM4Bリン酸化の役割をKDM4B-KO細胞および疑似リン酸化S666D変異置換細胞、Fbxo22-cKO細胞を用いて解析する。
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