Project/Area Number |
23K27678
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Project/Area Number (Other) |
23H02987 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
上野 秀樹 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 外科学, 教授 (90597535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 由規 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 外科学, 准教授 (20753023)
望月 早月 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 外科学, 講師 (80365428)
岡本 耕一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 外科学, 講師 (20783517)
廣橋 良彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30516901)
田中 利明 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40263446)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
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Keywords | 大腸癌 / 線維性 / がん関連線維芽細胞(CAF) / がん促進性CAF / がん抑制性CAF / 線維性癌間質反応 / CAF / I型コラーゲン / Versican / GPR77 / 薬剤耐性 / がん関連線維芽細胞 / 細胞外マトリックス / 癌細胞の浸潤・増殖 / 抗腫瘍免疫 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「がん促進性」CAFと「がん抑制性」CAFの違いを規定する機能分子に着眼し、大腸癌の浸潤・増殖、治療耐性、免疫逃避を阻害する新規治療法の開発を目指す。このため、CAF由来の細胞外マトリックス産生調節、癌細胞の高悪性度獲得に関わるCAF関連分子、免疫逃避に関わるCAF由来エクソソーム解析の3つの研究項目のもとに研究を実施し、Immature型大腸癌を特徴付ける「がん促進性」CAFの制御を介した高悪性度大腸癌に対する新規治療法開発の基盤を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「がん促進性」がん関連線維芽細胞(CAF)の特性に焦点を合わせた新規治療薬開発を目指して、下記3点を中心に研究を行った。 (1)「Ⅰ型コラーゲンの産生制御を介した腫瘍の免疫逃避・増殖能の阻害」(2)「 Versican産生制御を介した腫瘍の免疫逃避の阻害」(3) 「GPR77 (Complement component 5a receptor)のシグナル経路を介した薬物耐性獲得阻害」 研究(1)に関して、「がん促進性」のImmature型CAFでは、コラーゲン翻訳後修飾に関わる酵素であるADAMTS3(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)の発現低下により成熟したI型コラーゲンへのプロセシングが抑制され、I型コラーゲンによる癌細胞の増殖遊走抑制が低下する可能性が考えられた。 研究(2)に関して、定量PCR法とイムノブロット法により、「がん抑制性」のMature型CAFsと比較し「がん促進性」のImmature型CAFにおいてVersican のサブタイプVCAN(V0/V1)の発現が高い結果が得られている。 研究(3)に関して、Immature型CAFではMature型CAFに比べてGPR77が高発現しており、shRNAによりGPR77の発現を抑制したImmature型CAFの培養上清と大腸癌細胞株との共培養では5-FUによる抗癌剤治療効果が促進した。このことからImmature型大腸癌はGPR77陽性CAFを介して薬剤耐性を獲得している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Periostin (POSTN)/TGF-β1経路を介したがん幹細胞性獲得の阻害」についてはほぼ研究は終了し、論文投稿準備中である。GPR77のシグナル経路を介した薬物耐性獲得の阻害については、マウスでの大腸癌細胞株とCAFとの混合移植実験(Int J Cancer 150:1706-8211;21, 2022)において、薬物療法耐性の改善効果を評価中であり、研究も終盤に近付いている。さらに、2024年6月28日~30日に京都で開催される第8回JCA-AACR Special Joint Conference (https://supportoffice.jp/2024jca-aacr/)において研究代表者(上野秀樹)がKey Note Lecture(招待講演Multidisciplinary Initiatives in Japan to Establish Novel Pathological Treatment-decision Factors in Colorectal Cancer)において本研究課題の成果の一端を報告し、また研究協力者の田代恵太と永田健、研究分担者の望月早月と梶原由規がこれまでの研究成果を発表することから、各研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Immature型CAFにADAMTS3発現ベクターを用いて過剰発現させ、分泌されるI型コラーゲンの量や形態をイムノブロット法や蛍光二重染色法で解析する。また、分泌されたI型コラーゲンが大腸癌細胞に与える影響を細胞増殖能や遊走能の観点から検討することにより、I型コラーゲン産生調節を介した治療開発の基盤を築く。Versicanに関しては、Versicanのサブタイプや分解産物(Versikine)により癌の悪性度が規定される可能性がある。今後、どのサブタイプのVersican が大腸癌CAFsで機能しているかを明らかにし、当該のサブタイプに特徴的なドメインを標的にした機能制御が大腸癌に対する治療選択肢となるかを検討する。「ADAM分子を標的とした癌浸潤・増殖能獲得の阻害」の研究に関して、これまでに脱分化所見の乏しい大腸癌由来腫瘍オルガノイドにADAM12sを添加し、オルガノイドから周囲へ癌細胞が散在性遊走する現象を確認している。今後は、ヒト大腸腫瘍オルガノイドに ADAM12阻害剤(KB-R7785)やshRNAによるノックダウン実験を行い、ADAM12s によるEMT作用を実証すると共に、shRNAでADAM12ノックダウンしたオルガノイドをマウス皮下に移植し、オルガノイドの形態変化を検討する。CAFエクソソームのプロテオーム解析は東京大学医科学研究所疾患プロテオミクスラボラトリー(尾山大明研究協力者)の支援のもと、Mature大腸癌8例とImmature癌8例の解析を既に終えており、mature型CAFに比べてimmature型CAFエクソソームで高発現する(100倍以上、p<0.001)タンパク質群(約50分子)が検出できている。今後は、それら候補分子について抗腫瘍免疫抑制効果があるかを検証する予定である。
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