Project/Area Number |
23K27753
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Project/Area Number (Other) |
23H03062 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 耕司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10760803)
上野 盛夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40426531)
戸田 宗豊 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (30550727)
田中 求 京都大学, 高等研究院, 特任教授 (00706814)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 再生医療 / 角膜内皮細胞 / 細胞老化 / リバーストランスレーショナルリサーチ |
Outline of Research at the Start |
申請者らが角膜内皮機能不全の治療法として有効性を確認したcHCEC注入法から発した次世代の研究開発課題を集約、リバーストランスレーショナルリサーチとして施行する。第一の課題は成熟分化cHCECの長期的運命を規定する生物学的因子を細胞老化抑制機構の知見を踏まえて解明すること、第二はそれと呼応する生物物理学的手法を用いた非侵襲的細胞評価法を確立すること、第三は凍結保存状態から回復培養した成熟分化cHCECと非凍結細胞の細胞生物学的な差異を評価することである。これらの課題の解明は本治療法の近未来開発に必須であるのみならず、遍く全ての領域の細胞再生医療と組織移植医療に大きな示唆と意義をもたらす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、培養ヒト角膜内皮細胞注入法から発した次世代の研究開発課題を集約し、リバーストランスレーショナルリサーチとして施行することを目的とし、【現在までの進捗状況】欄に示した3項目の達成を目標としている。各項目の本年度の実績は下記のとおりである。 項目①:中心部を角膜移植に使用した後のドナー角膜の辺縁残り部分68例分から角膜内皮細胞を単離して培養した。その一部についてRNAを抽出し、定量PCRにより老化関連遺伝子の発現量を比較した。その結果、相転移を起こした細胞においてMCP-1やCD26などの発現が高い傾向が見られた。一方でp16やp21の発現は、相転移との相関はみられなかった。32例については凍結保存済みで、次年度以降の実験に供する また、ミトコンドリア機能を回復させると考えられるNMN等の複数の薬剤についてその効果を検討した結果、フラックスアナライザーによる解析においてミトコンドリア最大呼吸量が有意に上昇すること、また、ATP産生量が増加することを見出し、これら薬剤のミトコンドリア機能改善効果が認められた。 項目 ②:①と同様にして移植後の残り角膜から単離した角膜内皮細胞を培養し、タイムラプス画像を取得した。成熟分化型の形質を維持する群、相転移を起こす群について、それぞれ複数ロットの画像が取得できた。現在、生物物理学的評価指標を用いて成熟分化細胞と相転移細胞の分化・脱分化過程との関連を解析しており、非侵襲的細胞評価法の確立を目指して次年度以降も引き続き解析する。 項目③:研究用ドナー角膜から角膜内皮細胞を単離し、少なくとも我々の開発した高効率培養法の培養条件で培養した場合には、相転移を起こしていない細胞はPassage 7から細胞増殖が低下することが明らかとなった。次年度の解析に供するために、4ドナー分についてPassage 2とPassage 5でそれぞれ細胞を凍結保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題は下記の3項目に分けて実施している。① 細胞注入に用いる成熟分化培養ヒト角膜内皮細胞の長期的運命を規定する生物学的因子を最新の細胞老化抑制機構の知見を踏まえて解明、② それと呼応する生物物理学的手法を用いた非侵襲的細胞評価法の確立、③ 凍結保存状態から回復培養した成熟分化培増殖性未分化細胞から各種細胞亜集団への分化過程における経路の相違、培養ヒト角膜内皮細胞と非凍結細胞の細胞生物学的な差異の評価。 項目①については、研究実績に記載の通り、増殖性未分化細胞から各種細胞亜集団への分化過程における経路の相違のうちの一つとして、細胞老化経路に関する知見が得られた。 項目②については、非侵襲的細胞評価法の確立に向けて、画像の取得を終えて解析に進んでいる。 項目③については、少なくとも我々の開発した高効率培養法の条件下における成熟分化型ヒト角膜内皮細胞の増殖限界が示された。この限界前の2つの継代時期において細胞ストックを調製した。これらを用いて、次年度に解析を実施する予定である。 以上のように、各項目とも次年度に向けて順調に成果が出ており、研究計画通りに進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
項目①:成熟分化細胞と比べて相転移細胞は不均一な集団であることから、シングルセル解析を行い、各細胞亜集団内の老化細胞についての理解をさらに深める。成熟分化細胞と相転移細胞のミトコンドリア機能の差異について明らかにしているが、ミトコンドリア機能の違いと細胞老化度の相関についても検証する。 また、成熟分化細胞の増殖限界に加え、それぞれの細胞亜集団についても増殖限界を検討する。さらに、この解析結果とエネルギー代謝系、miRNAのデータと照合する。テロメア長の解析も行う。定量PCRにより際の見られなかったp16やp21の発現については、より感度の高いデジタルPCRを用いて再検証する。 項目②:初年度に取得した画像について、細胞集団の配列秩序構造の変化を引き続き解析し、細胞配列に基づいた非侵襲的細胞評価法の開発を継続する。これらの生物物理学的評価指標と従前から相転移/細胞老化の分子マーカーとされている培養液中のPDGF-bbとIL-8濃度などの細胞老化指標と照合する。 課題③:本年度に凍結保存した4ロットについて、Passage 2及びPassage 5の細胞の比較解析を行う。凍結保存後の回復培養で得た細胞の細胞機能特性、ミトコンドリア代謝特性に加えて、細胞老化抑制機構が機能しているか否かを検討する。これらについて機能特性の保持が確認された後、新たに3ロット以上のドナー角膜を用いて培養し、凍結保存状態から回復培養したヒト培養角膜内皮細胞と非凍結保存細胞の細胞生物学的な差異を評価する 以上の検討を経て、最終年度の細胞老化に係る可能性のあるsurrogate markerの探索に繋げる。非侵襲的な生物物理的方法としてばね定数、細胞生物的方法として、前房水中のサイトカイン、幾つかの候補のmiRNAと代謝産物、その他のSASP関連因子、従前施行してきたドナー周辺角膜から得た成熟分化培養細胞比率など。
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