尿毒素による細胞内代謝失調を標的とした高齢者の慢性腎臓病合併症の治療開発
Project/Area Number |
23K27991
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Project/Area Number (Other) |
23H03301 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 恵美子 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (20466543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 舞 東北大学, 大学病院, 助教 (20778469)
山越 聖子 東北大学, 薬学研究科, 助教 (50868099)
宮崎 真理子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60594695)
元池 育子 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (70347178)
田中 哲洋 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90508079)
三枝 大輔 帝京大学, 薬学部, 准教授 (90545237)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | 高齢化社会 / CKD / サルコペニア / 認知機能障害 / 細胞内代謝 / 慢性腎臓病 |
Outline of Research at the Start |
社会の高齢化に伴い急増している高齢の慢性腎臓病(CKD)患者では、認知機能障害やサルコペニアを高頻度で合併し、国民の健康寿命や医療費における重要な問題となる。しかし腎機能低下が主病態のCKDでなぜ認知機能障害やサルコペニアが発症・進展しやすいのかの機序は明確ではなく、予防と治療対策も確立されていない。我々はこれまでに、CKD時に体内に蓄積する毒性代謝物群である尿毒素による臓器内および細胞内の代謝変化がこれらCKD合併症の発症進展において重要な鍵を握ることを見出した。研究では、この尿毒素誘導性の細胞内代謝変化を標的として高齢CKD合併の発症進展機序を解明し、包括的な予防・治療対策の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高齢CKD合併の認知機能障害・サルコペニアにおける尿毒素誘導-細胞内代謝変化を創薬標的とした治療有用性を明らかにし、この機序に基づくCKD合併症の病態バイオマーカーの確立と包括的な予防・治療法の開発をすることを目的として研究を進めている。今年度は、CKD病態に則した代謝変化を明らかにするため、透析患者のヒト血清を細胞に直接添加することで代謝変化を評価し、CKD合併病態の細胞内代謝失調を反映する代謝物バイオマーカーの探索を行った。CKD stage1とCKD stage5の患者血清を用いてC2C12細胞株における代謝変化をGC-MSによるメタボロミクス解析から評価した結果、CKDの重症化により筋細胞内の代謝が変化することを明らかにした。腎機能の低下で血中に蓄積する物質が、筋細胞内の代謝を変化させることを明らかにした。さらに、実臨床に近い病態の解析のために、C57BL/6Jマウスのオス若年齢(8週)とオス中年齢(25週齢)のマウスを用いて、腎不全モデルマウスを作製し、ヒラメ筋、腓腹筋、大腿四頭筋、前脛骨筋、長趾伸筋を採取し、それぞれの筋における代謝変化をGC-MSメタボロミクス解析にて評価した。その結果、若年齢と中年齢における筋での代謝は異なっていた。さらに、腎不全状態下における筋代謝の変化は、若年齢では速筋で、中年齢では遅筋で起こることを明らかにした。 これに加え、尿毒素が与える角化細胞に与える影響についても評価を行った。その結果、尿毒素は角化細胞の炎症・酸化ストレスを介して細胞増殖率やミトコンドリア機能を低下させ、細胞障害を引き起こすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画している内容にて、順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、モデル動物・培養細胞・臨床検体を対象とし、①発症進展機序の解明・評価バイオマーカーの探索、②治療法の化合物スクリーニングとin vivoでの検証、③臨床検体を用いた病態解析とバイオマーカー確立を進める。①発症進展機序の解明・評価バイオマーカーの探索では、既にモデルマウスを作製しサンプルの回収ができていることから、本年度は代謝変化を評価し、CKD合併病態の細胞内代謝失調を反映する代謝物バイオマーカーを探索する。②治療法の化合物スクリーニングとin vivoでの検証では、ケトン体のCKD合併認知機能障害の病態への治療効果を、血中ケトン濃度上昇が可能な1,3-butanediolやSGLT2阻害薬を利用し、脳の代謝プロファイリングと認知行動機能の解析を行い検討する。③臨床検体を用いた病態解析とバイオマーカー確立では、筋芽細胞、海馬神経細胞株を用い、尿毒素による神経・筋細胞等の代謝失調を是正する化合物のスクリーニングを行う。対象としてi) 期待される効果が予備検討で得られている、特異的な標的候補薬の検討と、ii)化合物ライブラリーを用いた探索を行う。評価方法として候補薬剤の尿毒素暴露による細胞内代謝変化に対する是正効果、およびミトコンドリアへの影響、ATP産生の評価、エネルギー代謝経路への影響をメタボロミクス、フラックスアナライズ、遺伝子プロファイルで評価する。 東北メディカルメガバンクのバイオバンクの一般住民ゲノムコホートデータ(20~100歳を含む1,300人)を利用し、代謝物、代謝関連遺伝子、認知機能障害との相関解析を行う。さらにCKD患者と一般住民の代謝プロファイリングと腎機能およびCKD合併症との関連解析から①の基礎的研究で探索したバイオマーカー候補の臨床的バリデーションを行い、CKD合併症の病態予測・評価バイオマーカーの確立を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)