異なる作用特性を有する食事性化合物の組合せによる脳出血の治療および重症化予防
Project/Area Number |
23K28022
|
Project/Area Number (Other) |
23H03332 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
香月 博志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (40240733)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
|
Keywords | 脳神経疾患 / 脳卒中 / 炎症 / 軸索損傷 |
Outline of Research at the Start |
研究代表者はこれまでに①主に脳内の炎症応答を抑制する、もしくは②主に神経軸索の損傷を抑制することによって脳出血病態を改善する食事性成分関連化合物を複数見出している。そこで本研究では、異なる作用特性を示す食事性化合物の組合せによって相加的・相乗的な効果が得られるかを検証する。①群と②群の化合物をマウス病態モデルに併用し、十分な治療効果・重症化予防効果の得られる組合せと用量を見出す。また、それらの組合せによる効果の機序について多角的に解析し、脳病理制御に立脚した新たな脳卒中栄養管理法の基盤を構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らはこれまでにマウス脳出血モデルを用いて、複数の食事性成分関連化合物が治療効果をもたらすこと、およびそれらの化合物は「主として核内受容体等のリガンド依存性転写因子に作用してミクログリア・マクロファージの炎症応答を制御する化合物」と「主としてミトコンドリア機能・酸化ストレスの制御に関わることで神経軸索路保護効果を示す化合物」に大別されることを明らかにしてきた。本研究は、互いに作用特性の異なる食事性化合物の組合せによって相加的・相乗的な脳出血病態改善効果が得られるか検証し、脳病理制御に立脚した脳卒中栄養管理法/脳卒中栄養学の基盤構築を進める。1)ニンニク由来含硫化合物であるアリシンの効果を検証した。マウス脳出血モデルに対してアリシンを出血誘発3時間後から24時間間隔で計3回投与したところ、血腫内の神経細胞死と好中球の浸潤、血腫周縁部のグリア細胞の活性化がいずれも有意に抑制された。また、出血に伴う脳組織内の炎症性サイトカイン発現レベルや酸化ストレスレベルの増大も著明に抑制された。さらに、内包領域の神経軸索路の損傷が抑制されるとともに、運動機能障害が抑制された。これらのことから、アリシンは炎症応答制御作用と神経軸索路保護作用の両方を発揮することが示された。2)ビタミンK2同族体であるメナキノン-4の神経軸索路保護効果について検討を行った。マウスに脳出血を誘発した24 時間後に逆行性色素を脊髄に投与し、その72時間後において標識された大脳皮質運動野の神経細胞を計数した結果、メナキノン-4を連日投与した群では出血巣と同側の標識細胞数が著明に増加しており、メナキノン-4の皮質脊髄路保護効果が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である今年度はまず、食事性成分化合物として新たにアリシンの薬理効果を多角的に解析した。結果として、アリシンが炎症応答の制御作用と神経軸索路の保護効果の両方を発揮しうる化合物であることが明らかになった。今回アリシン単独での作用を検討した用量は食事性に摂取しうる量を大きく上回るものであったが、今後他の食事性成分化合物との組合せによる相加・相乗作用を評価していく上での基礎知見を得ることができた。またメナキノン-4については本研究課題以前より作用の解析を進めており、マウス脳出血病態モデルの運動機能を改善する一方で、血腫関連の炎症応答や酸化ストレスなどの組織学的・生化学的指標には影響を与えないことが判明していた。今回の検討で新たに、皮質脊髄路に対する保護効果が示されたことで、メナキノン-4が典型的な神経軸索路保護型の化合物であることが確証できたものと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
①炎症制御型と②軸索保護型の化合物について、治療および重症化予防において最適な併用投与条件を見出し、当該条件下での併用効果の機序を明らかにする。マウスin vivo脳出血モデルにおける化合物の作用解析が本研究課題の主軸となるが、培養脳組織切片やミクログリア系細胞株を用いたin vitroでの検討も並行して実施する。 1)脳出血発症急性期の治療的投与での効果の検証:①群化合物1種と②群化合物1種を24時間間隔で計3回ゾンデを用いてマウスに経口投与する。経日的に運動機能 (主評価項目) を評価した後、脳組織の病理解析 (副次評価項目) を行う。各化合物単独適用時の最適用量を参考にして用量検討を行い、設定基準を上回る効果をもたらす化合物の組合せと用量を見出す。 2)脳出血発症前の予防的投与での効果の検証:投与タイミングを出血誘発72時間前から24時間間隔で計3回とし、1)と同様の評価項目に従って化合物併用の効果を検討する。また、通常の脳出血誘発の7から6日前にLPSを反復投与して予め微小脳出血を誘発しておいたマウスを用いた併用効果の検証も同様に実施する。 3)組合せ効果の機序解析:脳内炎症応答と軸索路損傷が相互に影響を及ぼし合いながら病態形成に関わることを念頭に置き、上記1)および2)において最適化された条件下での詳細な作用機序を、in vivo脳出血モデルにおける諸種評価項目に沿って解析する。特に炎症応答制御や軸索路保護における化合物併用による相乗効果に焦点を当て、in vitro実験系も活用して機序解析を進める。
|
Report
(1 results)
Research Products
(12 results)
-
-
-
[Journal Article] Different solubilizing ability of cyclodextrin derivatives for cholesterol in Niemann-Pick disease type C treatment.2023
Author(s)
Yamada Y, Fukaura-Nishizawa M, Nishiyama A, Ishii A, Kawata T, Shirakawa A, Tanaka M, Kondo Y, Takeo T, Nakagata N, Miwa T, Takeda H, Orita Y, Motoyama K, Higashi T, Arima H, Seki T, Kurauchi Y, Katsuki H, Higaki K, Minami K, Yoshikawa N, Ikeda R, Matsuo M, Irie T, Ishitsuka Y.
-
Journal Title
Clin Transl Med.
Volume: 13
Issue: 8
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-