経験と学習によって生じる色認知の多様性と職能者らの熟達化した色覚の検討
Project/Area Number |
23K28171
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Project/Area Number (Other) |
23H03481 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61060:Kansei informatics-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川端 康弘 北海道大学, 文学研究院, 教授 (30260392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 久美子 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場, 研究主任 (10446338)
佐々木 三公子 一般財団法人日本色彩研究所, その他部局等, 研究員(移行) (70839935)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 色彩認知 / 多様性 / 日常の経験 / 熟達化 / 学習 / 100hueテスト / 色カテゴリー知覚 |
Outline of Research at the Start |
色認知では不変的構造を持つ末梢の特性を重視するあまり熟達化や精緻化といった高次皮質処理過程の変化可能性を低く見積もってきた。しかし熟達度の違いによる色認知の個人差は末梢部の堅牢で固定的な性質とは対照的である。人間の一般3色覚は他生物の一部にみられる4色覚よりも色相処理で劣るが、明度や彩度を含めた色3属性による色認知全体ではむしろ優れているようにみえる。大脳は可塑性が高く色相以外にも神経資源を多く振り分け精緻でユニークな処理を実現している可能性があり、ここでは職業や趣味などの日常生活での経験によって3属性を含む色識別が向上し多様な色階調を精緻に認知できるようになる知覚学習の過程を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
色認知では不変的構造を持つ末梢の特性を重視するあまり熟達化や精緻化といった高次皮質処理過程の変化可能性を低く見積もられてきた。しかし日常生活でみられる色認知の個人差は末梢部の堅牢で固定的な性質とは対照的である。人間の一般3色覚は他生物の一部にみられる4色覚よりも色相処理で劣るが、明度や彩度を含めた色3属性による色認知全体ではむしろ優れているようにみえる。大脳は可塑性が高く色相以外の属性にも神経資源を多く振り分け精緻でユニークな処理を実現している可能性があり、職業や趣味などの経験によって3属性にわたる色識別能力が向上し多様な色階調を精緻に認知できるようになる知覚学習の過程を明らかにする。R5年度は木材加工や木工家具設計・制作に関わる高度職能者(10名程度)、一般大学生(約30名)における微妙な色を識別しカテゴリー分けする能力、カテゴリーの代表色と色名を認知する能力、及び100hueテストのトータルエラースコアや個々の色相チップの識別力との関連性について検討した。自身の経験によって心内に持つに至った色表象を眼前の事物に関連させることで、より洗練された色の認知に結びつく可能性があり、年齢の割には前者の成績が概ね良かった。また一般大学生でも芸術系の趣味を長く継続させている学生は良い成績を示した。色を物体やイメージと結びつけることができる能力、適切にカテゴリー化して代表色や色名を振り分ける認知能力と知覚における色識別力には関連性があるだろう。経験によって個々人が心内に持つに至った色表象を眼前の事物に関連させることでより洗練された色の認知に結びつく可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度は研究開始の初年度に当たるが、既存の刺激・装置を用いて行う計画であった実験についてはほぼ着手できており、データ取集がほぼ完了した調査もある。札幌圏では北大を含む4大学、東京圏の1企業、1民間施設、旭川市の1大学、1地方自治体研究施設に出張して調査を実施した。今年度以降もすべての機関で引き続き協力いただけるという約束が得られたので、職能者と芸術系及び一般学系大学生を実験参加者とする100hueテストと色カテゴリに関する研究は、今年度も引き続き出張調査を実施して予定通りに来年度中に調査を完了する。また色識別力の色相による差異を調べる実験については、とくに良好な色相部位を入念に精査するために数百個からなる独自のグラデーションカラーチップ群を複数の予備実験を元に試作したので、こちらの方も今年度から順次本実験に採用していく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータから、木材デザインや制作、芸術系の趣味などを通して普段から色と関連が深い人の色認知には熟達度の違いによる個人差が明確に見られた。これは末梢の色覚過程の堅牢で固定的な性質ではうまく説明できない結果であり、さらに実験と調査を進めて、色覚のダイナミックで融通性の高い特性を多様な側面から示すことをめざす。とくに被験者によって精緻な識別能力を示す色領域が異なるので、刺激や課題条件を工夫することで、参加者の高度な色認知力の個人差をうまく引き出せるようにつとめる。また出張・出前実験やオンライン実験は元来コロナ禍の状況を加味して調査方法を再検討して確定させたものであるが、多様な実験参加者に協力してもらうためには非常に有効なので、今後も用いることになる。今年度以降、その方針に沿ってデータ取集を順次行っていく。とくに木工職人のグループについては、彼らの作業しやすさを考慮して、基本的に彼らの職場、作業環境にこちらが出向いて行う。彼らが馴染んだ環境で、高品位の色チップ、印刷紙、ディスプレイ、標準光源、測色システム、記録機器などを持参して実験を実施する。大学生のグループについてもほぼ同様に実施する。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)