Development of high-flux nanofiltration through precise design of polysaccharide network and molecular size adapter
Project/Area Number |
23K28267
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Project/Area Number (Other) |
23H03577 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64030:Environmental materials and recycle technology-related
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
加島 敬太 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90710468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽切 正英 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70435410)
高屋 朋彰 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90515553)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
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Keywords | ナノ濾過 / 生体高分子 / 高純度化 / 水処理 / 資源回収 / nanofiltration / alginate / pectin / sub-nanometer scale / maltotetraose / high-flux nanofiltration / fractional separation / biological polymer |
Outline of Research at the Start |
本研究では分子量100~1000Daの低分子群の分画分離を高速に実現し得る新規ナノろ過膜プロセスの創成に取り組む。特異なキレート架橋機構と優れた循環再生産能を有する生物資源由来高分子のサブナノスケールなネットワーク設計と分子サイズアダプタの導入により、非荷電かつ分子サイズ差が僅かな分子群を分画分取する高速ナノろ過分画膜、食品廃液から有価機能性分子を回収するナノろ過リサイクル、並びに酵素反応を効率化するナノろ過バイオリアクターの開発に取り組む。本研究の達成を通して生体分子の精製技術を高度化するとともに、循環再生産に優れた生体高分子の用途開発を推進し、環境適応型社会に向けた基盤技術を開拓する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、褐藻類由来ポリマーのアルギン酸と果実由来ポリマーのペクチンが有する、特徴的なゲル化機構に着目し、その構成モノマーの制御によってヒドロゲル構造をサブナノスケールで制御することで、非荷電性分子に有効な新規ナノろ過膜プロセスの開発に取り組む。さらに、分子サイズアダプタの導入によって分離選択性を向上させることで、高速ナノろ過を実現するとともに、低分子量域における新たな分子分画プロセスの構築と、バイオリアクターへの応用を目指す。 本研究で主たる膜基材として着目したアルギン酸塩は、カルシウムイオンによるキレート架橋によって熱に安定な可食性ヒドロゲルを形成することが知られている。アルギン酸の高分子鎖を構成するグルロン酸とマンヌロン酸の比率が、形成されるヒドロゲルの構造に支配的であることが明らかになっている[Kashima, Imai, Food Bioprod. Process. 102 (2017) 213-221]。また、アルギン酸の糖鎖ネットワークが、低分子量分子に対して分子ふるいとして機能することから、ナノろ過膜としての応用の可能性を見出されている[Kashima et al., J. Environ. Chem. Eng. 9 (2021) 105210]。本研究では、アルギン酸の糖鎖ネットワークを精密に制御して形成することで、電荷に依らない分子ふるいを実現し、非荷電性の分子群を分子のサイズや重合度で分画分離する新規なナノろ過膜プロセスを提案する。 また、第二の膜基材として着目したペクチンは、アルギン酸に類似したゲル化機構を有していると考えられており、ゲル化機構を支配しているガラクツロン酸のメチルエステル基を化学的に制御することで、合目的な分離膜の形成が期待できる。既にペクチン膜が高い透水性を発揮することを見出しており、新たな高速ナノろ過膜としての開発に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、アルギン酸とペクチンに着目して、の2種の多糖ポリマーで異なるアプローチによるナノろ過膜の開発を進めている。令和5年度は、いずれの実験系においてもおおむね順調に進展することができた。 アルギン酸を基材としたナノろ過膜の開発では、緻密なヒドロゲルを形成するアルギン酸を分離層として薄膜化することで、高流束化と高選択性の両立を図った。薄膜化した分離層の補助として、比較的緩いゲルネットワークを形成するカラギーナンとアルギン酸を複合させ、さらに空隙形成剤によって透水チャネルを形成させた支持層を付与することで、透水性の向上に成功した。このとき、分離層と支持層の最適な積層割合を見出すとともに、非荷電性のマルトオリゴ糖混合液を用いた膜分離試験によって、マルトオリゴ糖に対する選択性を発揮することを明らかにした。一般に、分離膜における透水性と選択性はトレードオフの関係にあることが知られており、本手法によって透水性の向上と選択性の維持を両立を実証できたことは、本研究の重要なオリジナリティである。一方で、高流束化の効果は目標値に達しておらず、この知見を基礎として次の展開の検討を開始した。 ペクチンを基材としたナノろ過膜の開発では、メチルエステル化度によってゲル形成が大きく変化することを明らかにし、安定な膜が調製できる方法を確立することができた。また、特定のエステル化度の領域で調製した膜において、特徴的な低分子の拡散抑制を発揮することを見出した。ペクチン膜は、高流束という面で目標値を達成することができたが、電荷の影響を大きく受けることが判明したため、効果的な分離対象を選択する必要がある。また、メチルエステル化度の制御を検討したところ、エステル化度の変化とその結果として膜物性の変化を実証することができた。しかし、制御の所要時間に対して再現性が低く、効率化のために異なる手法を検討する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
アルギン酸を基材としたナノろ過膜の開発では、更なる透水性の向上を目指して新たな手法を検討する。支持層として用いたカラギーナン/アルギン酸複合層に代わって、よりマクロポーラスなガラスファイバーフィルターを適用し、フィルター上にアルギン酸を薄膜化させる非対称膜化手法を確立する。また、アルギン酸膜の特性を制御し得るマンヌロン酸とグルロン酸の組成の制御は困難であったことから、組成制御に対しても別のアプローチに着手する。高分子の分子量と物性には相関関係があることが知られているが、アルギン酸のように複数のモノマーによるブロックポリマーで、かつ天然資源由来ゆえにブロックの規則性が原料に依存して大きく異なる場合、その制御は極めて困難である。そこで、アルギン酸の分子鎖組成に対する分子量と粘度、ゲル化後の膜物性を、体系的に把握してモデル化することで、アルギン酸の組成とゲル物性の普遍的な指標を確立する。これを非対称化させたアルギン酸ナノろ過膜に適用することで、より高精度な分子ふるいの制御を目指す。 ペクチンを基材としたナノろ過膜の開発では、ペクチン膜の優れた透水性に着目することで、効果的な分離対象を見出す。前年度の成果で、エステル化度の制御による効果を見出したものの、実用的な再現性を得ることができなかった。そこで、エステル化度の制御方法の検討は継続しつつ、さまざまなペクチン試薬を入手してエステル化度を測定し、異なるエステル化度のペクチンを用いた膜を調製することで、ナノろ過能の制御を検討する。 さらに、次年度以降に主として取り組む事項について、予備検討を開始する。具体的には、分子サイズアダプタによる分離対象の補足効果、並びに分子サイズアダプタ自身のナノろ過による透過阻止を評価する。また、分離対象として予定しているオリゴ糖類のプレバイオティクス効果の測定方法にも着手することで、今後の展開に結び付ける。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)