Project/Area Number |
23K28272
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Project/Area Number (Other) |
23H03582 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川田 清和 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70529859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 尚人 福島大学, 食農学類, 教授 (20202963)
鈴木 康平 東京農業大学, 地域環境科学部, 助教 (60791994)
田村 憲司 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70211373)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
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Keywords | 放牧試験 / ステップ / 環境修復 / 草原 / 砂漠化 / 過放牧 / 修復 / 資源管理 |
Outline of Research at the Start |
本研究はモンゴルの草原で放牧している家畜にリンを添加した鉱塩を与えて家畜生産性を高めるとともに、家畜の糞尿が緩・速攻性肥料として草原にリンを補充することで草原生態系の修復が可能かを検証するため、家畜生産物・糞尿・土壌・植物に含まれるリンを定量化して生態化学量的な視点で草原生態系のリン動態を明らかにする。本研究は家畜数を制限するしかないとされる過放牧問題に対して家畜を増やすことで解決を目指し、遊牧民の歴史的慣習を尊重しながら所得を拡大させつつ草原中の物質循環を正常化させることで持続可能な草原生態系を実現する新たな放牧修復システムを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、家畜の排泄物を改良して草原を修復することである。そこで、初年度の目的は、放牧試験前の草原の状態を明らかにすることである。ここで得られたデータを基準に、どのように植生や土壌が変化したのかを評価する。今年度は放牧試験区が設置された後に、植生調査と土壌調査を行った。放牧試験区は4区画に分けられており、継続的に植生の変化を観察するため、1m四方の植生調査用の永久コドラートを4区画(区画A-D)に16個ずつ、合計64個を設置した。植生調査の結果、各区画における平均出現種数および標準偏差は、区画Aでは12.1±2.0種、区画Bでは14.0±2.0種、区画Cでは13.6±2.0種、区画Dでは11.7±2.0種であった。また、各区画における出現頻度が高い種類は、区画AではStipa krylovii、Kochia prostrata、Allium bidentatumの3種類、区画BではStipa krylovii、Leymus chinensis、Allium bidentatumの3種類、区画CではStipa krylovii、Leymus chinensisの2種類、区画DではStipa krylovii、Leymus chinensis、Cavex korshinskyiの3種類であった。すなわち、本調査地はすべての区画で共通にして出現種数が10種以上出現し、Stipa kryloviiが高い出現頻度で出現する均質性の高い草原であることが確認できた。今後は種組成の類似度について多変量解析を行うなど、引き続き植生データの解析を進める予定である。また、土壌調査は永久コドラートの周辺で実施した。採取用の土壌コアを用い、永久コドラートの周辺から1つずつ土壌サンプルを回収した。現在までに風乾処理やふるいがけなどの前処理が完了し、現在、土壌理化学性の分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標である放牧試験区の設置を行った。まず、試験区の設置場所の探索にあたっては、研究協力者のProf. Undarmaaやフスタイ研究センターのスタッフによる多大なる献身的な協力があった。電子メールで写真や位置情報を送ってもらい、現地スタッフと一緒に試験が実施可能かどうか検討した。試験中にオオカミによって食べられてしまう懸念や家畜を飼育するために必要な条件などを洗い出し、最終的に家畜によって破壊されない強度からオオカミの侵入を防ぐ高さ2mのフェンスによって囲まれた2 haの試験区が作られた。一方で、試験区周辺は完全に平坦な場所ではないため、フェンスの隙間から家畜の侵入を防ぐために外周部の補修工事が必要であることが確認された。そこで補修用の金属フェンスや工具を購入し、補修工事をを行った。補修工事の結果、外部から家畜が侵入することがなく、完全にフェンスの内外で家畜の影響を遮断できることが確認された。放牧試験区が用意できたところで、植生調査用の永久コドラートを64個設置し、植生調査と調査枠周辺からの土壌サンプリングを実施した。またバイオマス調査枠では植生調査を実施したあと地上部バイオマスをサンプリングし、乾燥重量を測定した。これにより放牧試験前の状態を把握するためのデータを得ることができた。円安の影響や、資材費・人件費の高騰などが影響し、当初計画していた内容よりも費用がかかってしまったため、現地渡航するメンバーや調査日程を調整するなどいろいろな方法で研究費を節約しなければならなくなったが、不可欠なデータは確保できたため、おおむね順調に進展することができたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目から放牧試験が開始されるため、その進捗を随時確認しながら研究をすすめ、問題点が無いか確認する必要がある。そこで研究代表者は、放牧前の打ち合わせ、放牧開始時の状態確認、放牧試験の経過確認などを行い、今回の調査で立案した方法で計画通りにデータを得られるかどうかを確認する予定である。また、ヒツジ用のケージを設置するなど研究遂行に必要な支出が見込まれているが、円安の影響や資材費・人件費の高騰は依然として継続しているため、研究費を節約しながら実施しなければならない。具体的には渡航人数の厳選や渡航日数の短縮などを行うことになるだろう。
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