Project/Area Number |
23K28349
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Project/Area Number (Other) |
23H03660 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
奥村 拓馬 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (70855030)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 超伝導検出器 / 軟X線分光 / 原子分子物理 / 内殻励起状態 |
Outline of Research at the Start |
高エネルギー粒子が原子・分子に衝突すると短寿命な内殻空孔状態が形成される。この状態は、電子やX線を多数放出しながらフェムト秒を上回る速度で脱励起していき、最終的に反応活性種である多価イオンの形成や標的分子の崩壊が起こる。本研究計画では、宇宙X線観測の分野で躍進的発展を遂げている超伝導検出器TESを用いて、高分解能かつ超広帯域(5 eV-15 keV)な光子検出システムを開発し、カスケードのさなかに放出される全蛍光を高分解能測定することで、電子状態緩和ダイナミクスの全貌解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
電子を始めとする高エネルギー粒子を原子・分子に照射すると短寿命な内殻空孔状態が形成される。この状態は、Auger電子やX線を多数放出しながらフェムト秒を上回る速度で脱励起していき、最終的に反応活性種である多価イオンの形成や標的分子の崩壊が起こる。本研究計画では、宇宙X線観測の分野で躍進的発展を遂げている超伝導検出器TESを用いて、高分解能かつ超広帯域(5 eV-15 keV)な光子検出システムを開発し、カスケードのさなかに放出される全蛍光を高分解能測定することで、電子状態緩和ダイナミクスの全貌解明を目指す。 TES検出器は高いエネルギー分解能と高い検出効率を両立可能であるが、一方で超伝導体を利用した検出器であるため本体を超伝導転移温度以下(100 mK)まで冷却する必要がある。一般的に低エネルギー光子は透過率が低く、十分な透過率を確保するためには検出器の前の窓材を可能な限り取り除く必要があるが、TES検出器の場合、X線窓を完全に排除すると検出器への熱流入の効果が無視できなくなる。本研究では、赤外線のみを選択的に遮断できるメッシュ状フィルターを用いてこの問題点の打破を目指しており、1年目はフィルターのR&D及びEUV領域の光を用いた検出器の動作テストを行った。その結果、本研究のTES検出器システムにより少なくとも200 eV程度までの光子が十分に検出可能であることが分かった。他方、単純にメッシュ状フィルターを用いるだけでは輻射熱及び電磁ノイズの影響でTES検出器の分解能が数10 eV程度まで悪化することが分かった。2年目以降は、メッシュ状フィルターと極薄Al窓を適切に組み合わせることで、透過率とエネルギー分解能を両立可能な条件を模索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、X線窓を可能な限り排除した状態でTES検出器を運転するためのR&Dを行い、また電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源から引き出したAr原子の多価イオンを用いてEUV領域の光子を用いた検出器の動作テストを行った。上記テストにより本研究のTESシステムを用いて200 eV程度の光子の検出に成功した。一方、分解能の悪化は当初予定より深刻であり、現在の実験条件だと分解能は数十eV程度である。分解能の向上のために更なるR&Dが必要であるが、全体として研究の進捗状況はおおむね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、高分解能蛍光スペクトルによりカスケードダイナミクスを解き明かすことが目的であり、エネルギー分解能の向上は急務である。エネルギー分解能悪化の要因として、X線窓を減らしたことによる電磁ノイズの増加、また多価イオンが真空装置内壁と相互作用することにより放出される低エネルギー光子による検出器の温度上昇等が考えられる。いずれにしてもX線窓を挿入することで改善可能であり、メッシュ状フィルターと極薄Al窓を適切に組み合わせることで、透過率とエネルギー分解能を両立可能な条件を模索する。 また、当初の計画通り、検出器システムのR&Dと並行して電子衝突装置の設計・開発も進める予定である。
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