Project/Area Number |
23K28356
|
Project/Area Number (Other) |
23H03667 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中村 剛 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 特別教授 (90360841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 房史 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (20532691)
照井 真司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 技師 (20748313)
石橋 拓弥 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (30585964)
橋本 智 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 准教授 (80285337)
藤井 将 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教 (30809596)
諏訪田 剛 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (20236061)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥11,960,000 (Direct Cost: ¥9,200,000、Indirect Cost: ¥2,760,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
|
Keywords | ビーム物理 / 加速器 / モニター / 不安定性 / フィードバック / ビーム診断 / ビーム不安定性 / 加速器要素技術開発 / 量子ビーム測定手法 / 検出器 / ビームモニタ |
Outline of Research at the Start |
電子ビームを構成するピコ秒の長さの塊(バンチ)が、自身の発生する電磁場により偏向され進行方向に傾いて進む現象が多くの加速器でみられ、それはビームサイズ増大やビームが飛び散ってしまう現象に繋がっている。この傾き (ピッチ・ヨー)の運動が、即座に、継続的に、そして容易に測定できれば、現象の解析やフィードバックでの抑制につながる。しかし、従来はそのような測定装置(モニタ)は存在していない。そこでこの研究では、加速器では一般的なモニタ電極にピッチ・ヨーが誘起する波形の特徴を利用して、簡易な低周波回路によるピッチ・ヨーの検出モニタを開発し、ビームにより動作実証する。そして各加速器への調整に適用する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
電子や陽電子のビームを構成する10~20ピコ秒という短いバンチ(集群)の進行方向に対する傾き(垂直をピッチ、水平をヨーとよぶ)は、ビーム電流の増大に伴って生成される電磁場などにより励起され、ビームサイズの増大や不安定性発生によるビーム損失につながる。もしピッチ・ヨーのリアルタイム測定ができれば現象の解析や制御への発展が可能となりビームの大電流化に大きく寄与するが、これにはバンチ長に対応する10GHz程度の高周波処理が必要とされ、高度な位置モニタ(BPM)・部品・機器・技術が必須、そしてビームパイプの遮断周波数を超えることから周辺で発生する信号の混入が問題とされ実現されてはいない。そこで本研究では、BPM電極にピッチ・ヨーが誘起する信号波形はバンチの重心の誘起する信号波形の微分に近い、という特性により区別し、加速器において一般的なBPMや1~2GHzの周波数帯域を用いた簡便な電気回路を用いたピッチ・ヨーのリアルタイムモニタ (PYM)を提案した。本年度はPYMを本科研費により購入した高周波部品を用いて製作して兵庫県立大学の NewSUBARU 電子蓄積リング(NS) に設置し、その20ピコ秒長のバンチのピッチの測定を試みた。ピッチの生成にはNSのもつ垂直キッカーにより垂直振動を励起し、それがクロマティシティによりピッチ振動へ変換されること、そしてNSの特徴である低シンクロトロン周波数がこの変換を促進することを利用した。また、NSの持つストリークカメラによるピッチ測定システムを本科研費により再整備してPYMと同時にピッチを測定した。これらの結果そしてビーム挙動のシミュレーション結果はほぼ合致している。なおストリークカメラにはリアルタイム性はない。さらにKEK線形加速器へのPYM適用に向けてそのBPMのケーブルを1~2GHz帯域の信号強度改善のため高周波対応のものに交換している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はピッチ・ヨーのモニタ(PYM)の帯域を1 ~ 1.5GHzに設定し、対応する移相器、アンプ、ミキサー、ケーブルなどの高周波部品を本科研費により購入してPYM用回路を製作し、それを用いてビーム試験を行う兵庫県立大学の NewSUBARU 電子蓄積リング(NS)にPYMを設置した。その際、ビーム位置モニタ(BPM)の信号増強のため本科研費で高周波特性のよいケーブルを購入し交換した。また、NSのピッチ測定用ストリークカメラの光学系を本科研費により整備しPYMとの同時測定を可能とした。ビーム試験では、NSの20ピコ秒程度のバンチのピッチを生成し、それをPYMおよびストリークカメラにより測定したが、それらの測定結果の間に矛盾はなく、さらにビームの挙動のシミュレーション結果とも矛盾がないことが確認した。このことからのピッチ・ヨーモニタの動作原理が実証されたと考えており、進捗は予定通りと考えている。次年度は、NSでの試験を続け、更に検証を進める。 また、次年度の目標であるSuperKEKB (SKB) での測定では、NSのような垂直キッカーを持たないSKBでのピッチの生成・判別手法をシミュレーション等で検討・提案した。また、SKB 用のPYMの製作に必要な高周波部品等を本科研費により購入した。さらに次年度のもう一つの目標であるKEKの線形加速器への適用準備のため、既設のBPMのビーム応答を計測したが1-2GHz領域の高周波でのケーブルでの減衰が大きいことが判明したので、本科研費により高周波特性のよいケーブルを購入し既存ケーブルと交換した。これらの結果を日本加速器学会、および本研究の応用としてのピッチ・ヨーの補正フィードバックについて国際ワークショップにて発表した。全体として、ほぼ予定通りの進捗となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の対象であるバンチの傾斜のリアルタイムモニタ(ピッチ・ヨーモニタ(PYM))の動作原理が本年度のビーム試験によりほぼ検証できたと考えているが、次年度もNewSUBARUリング (NS)でのビーム試験を継続し検証を進め、結果を論文として公開する。またNSでの試験と並行して応用に進むが、その一つはKEK のSuperKEKB (SKB)であり、そのビームサイズの増大の原因の一つがピッチ振動と考えられており、そのリアルタイム測定はこの現象の解明に必須である。PYMの調整にはピッチの意図的な生成が必要だが、SKBはNSのような垂直キッカーは持たないためNSでのピッチの生成手法は使えない。そこでSKBでは、ベータトロン周波数からシンクロトロン周波数だけ離れた周波数でベータトロン振動を励起すれば、ピッチ振動が重心振動に比べて強く励起されることを利用し、そして励起のON/OFFの遷移時の波形の違いからバンチの重心振動と区別する予定である。まずはSKB用のPYMを本年度に購入した高周波部品を用いて製作し、上記の手法を用いて調整を行い、その後、現在問題となっているピッチ振動の測定を試みる。もう一つの応用であるKEK線形加速器 (linac)では、ピッチ・ヨーが実効ビームサイズの増大原因の一つと考えられており、その測定はリアルタイムでの軌道補正などによる抑制につながる。PYMは本科研費により部品を購入し製作する。PYMの調整に必要なピッチの意図的な生成にはlinacの担当者の提案となる、linac の電子銃の光陰極を照射する2本のレーザーが陰極上につくるスポットを上下にずらし、さらにその照射のタイミングをずらすことによりピッチを作り出す手法を用いる。得られた結果については論文として公開するとともに2025年度の国際加速器学会(台湾)や日本加速器学会等において発表する。
|