不可逆ガス吸着過程をターゲットにしたミリ秒高精度粉末回折手法の開発
Project/Area Number |
23K28362
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Project/Area Number (Other) |
23H03673 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
河口 彰吾 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (10749972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 佳基 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50254371)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,110,000 (Direct Cost: ¥14,700,000、Indirect Cost: ¥4,410,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
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Keywords | 時間分解測定 / 放射光 / その場計測 / ガス雰囲気下 / X線回折・散乱 / 放射光粉末X線回折 / 時間分解計測 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ガス雰囲気下におけるナノ空間内のガス分子や原子レベルでの構造変化の可視化を目指し、不可逆プロセスにおけるミリ秒オーダーの時間分解能で結晶構造解析手法の確立を目的としている。大型放射光施設において高速回転型ガスセルスピナーや新規ガス圧力制御システムと同期した高輝度高エネルギーX線計測システムの開発を行う。また、データ科学等を活用して時間分解粉末回折データを解析し、従来以上の原子レベルでの構造情報を引き出す。本研究により機能性材料の不可逆動的構造計測が実現することで、様々な材料開発の分野においても本研究開発が活用されると期待している。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は本研究の要となる超高速スピナー試料ガスセルの開発を行った。開発の目標は500 rpm以上の高速回転が可能な新規ガスセルであり、試料部に限りなく近接する高速バルブを搭載したシステムである。これらのシステムを実現するために、新たに小型磁性流体シールを導入するとともにこれまで試作品で培ってきたノウハウを活かして全体の設計を見直し製作した。速スピナー試料ガスセルでは、小型磁性流体シールの下に電動ステージやスリップリング、ステッピングモータを搭載し、最高1000 rpmで回転可能かつ試料部とバルブが近接する超高速スピナー試料ガスセルを構築した。さらに、ガス雰囲気制御下でのミリ秒高精度粉末回折データ計測を可能にするために、試料回転軸の芯出し精度を向上しつつ、ガス導入の方法を確立し、順次、ビームラインでのテストを行った。また、これまで開発を行ってきたガス圧力制御システムを改良し、今回開発した超高速スピナー試料ガスセルとの同期や大型放射光施設SPring-8のBL13XUにおける新粉末回折装置の計測システムとの同期システムを構築した。これら開発、改良したシステムを用いて、角度領域を互いに補完し合いながらwhole powder patternのデータが取得可能なシングルショットの手法を用いて、幾つかの多孔性配位金属錯体に対してガス雰囲気下かつミリ秒オーダーの時間分解計測測定のテスト試験を行った。CO2やCH4ガス吸着過程において、数十ミリ秒の時間分解能での時間分解粉末回折計測に成功し、現在それらのデータを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の目的計画どおり、超高速スピナー試料ガスセルの開発と、大型放射光施設SPring-8のBL13XUにおけるkHzオーダーの計測と同期したガス圧力制御装置および新粉末回折装置と同期システムを各種トリガーとソフトウェアを開発することにより構築した。また、データ処理では、シングルショット計測で測定した大量の2次元回折像からpyFAIライブラリを使用した1次元化処理、2次元強度マップ生成およびデータ解析等の自動処理化を進めている。また、テスト計測として、CO2やCH4ガス吸着過程において、数十ミリ秒の時間分解能での時間分解粉末回折計測に成功している。従って、本研究の目的の一つであるガス雰囲気下ミリ秒構造計測システムの構築に向けて、順調に研究開発が進んでいると考えている。以上の開発した装置の一部や成果の一部は、既に学術論文として投稿中であるとともに、国際結晶学会や、国内のいくつかの学会において発表を行った。以上のことから順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、予定どおり、ガス雰囲気制御下でのミリ秒高精度粉末回折データ計測を実現するために超高速スピナー試料ガスセルの性能評価と昨年度開発されたシステムおよびソフトウェア等をブラッシュアップしていく。これら開発したシステムを用いて、順次、多孔性金属錯体であるMOF[1-Cu(pzdc)(L)]、に対して、大型放射光施設SPring-8のBL13XUにおいてガス圧力制御下でのミリ秒時間分解計測を行い、システム全体へのフィードバックを行いながら、ガス吸着過程における時間分解計測データの収集を行う。最終的には、高エネルギーX線(25-60keV)を用い、CO2、 Kr、 Ar、 CH2、N2、O2ガス等に対しての印加圧力、温度を変化させ、上記物質群のガス吸着過程における構造変化を系統的に調査していく予定である。また、ミリ秒での時間分解放射光粉末回折データに対しては新たに開発するデータ処理・解析プログラムを構築し、kHzオーダーでの計測に挑戦し、ガス吸着過程における結晶構造変化の可視化を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(16 results)