Project/Area Number |
23K28399
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Project/Area Number (Other) |
23H03710 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research (2024) Kyoto University (2023) |
Principal Investigator |
山本 暁久 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 研究員 (90706805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 盛夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40426531)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 細胞微小環境 / ヒト角膜内皮 / 組織恒常性 / メカノバイオロジー |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ヒト角膜内皮疾患において特徴的にみられる基底膜の非一様化に対する角膜内皮細胞の応答機構と、二次元シート状構造を持つヒト角膜内皮組織の細胞配列秩序や安定性が受ける影響を明らかにする。臨床データから得られる角膜内皮組織画像から細胞外基質の不均一性を抽出・測定しする。また、再生医療に使用するヒト角膜内皮細胞の増殖過程とその細胞品質から、細胞集団がつくる局所的な配列構造を定量的に特徴づける手法を探索する。これらの知見を組み合わせ、ヒト角膜の組織恒常性の安定性を評価する新規な数理モデルの構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒト角膜内皮疾患において特徴的にみられる基底膜の非一様化に対する角膜内皮細胞の応答機構を統合的に明らかにすることを目的として、特に疾患角膜に特徴的な基底膜の非一様パターンの形成の評価と、それが角膜内皮組織の恒常性に与える影響の評価を目的としている。当該年度には、接触型スペキュラ顕微鏡によって取得された角膜内皮画像に対して、数学的画像変換法のひとつである拡張極小変換(Extended minima transformation)を再帰的に適用することで、画像内の局所的な明暗のコントラストからそれぞれの異常堆積物に最適な閾値を決定し、異常堆積物の境界線を描画する画像解析手法を新たに構築した。これをもとに、臨床検査で取得される角膜内皮画像において異常堆積物の面積占有率と空間分布を定量評価した。本手法を用いて、角膜内皮再生医療によって術前・術後早期・術後後期の各時点における異常堆積物の分布を比較したところ、術前に比べ術後早期・術後後期では異常堆積物の面積比率が有意に減少しており、さらに術後前期から術後後期においては異常堆積物の面積比率は増加しないことを明らかにした。本研究成果は、角膜内皮再生医療の臨床効果を報告する研究論文として、国際誌への掲載に向けて現在投稿中である。 また、培養ヒト角膜内皮細胞を生体親和性ゲルの上に播種する実験について、ゲル表面を機能化する細胞接着タンパクの種類と表面を密度を変化させた一連の実験を進め、その条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度までの取り組みで既に、角膜検査機器である接触型スペキュラ顕微鏡を用いて観察した角膜内皮画像において、画像の局所的なコントラストの情報から基底膜にみられる異常堆積物を抽出する定量的な画像解析手法の開発に成功しており、基底膜の非一様性をロバストに評価するための枠組みを提案することができた。この成果をもとに、角膜内皮再生医療の基底膜に対する影響についても定量的に評価することができ、培養ヒト角膜内皮細胞注入療法の有効性が角膜内皮だけでなく基底膜の改善においても実証される結果を示すことができた。この結果については、国際誌への論文投稿の準備も現在順調に進んでいる。 一方、健常・疾患の状態の角膜内皮基底膜の硬さをもつ光架橋性の生体親和性ゲル基板の開発と、フォトマスクを用いた硬さが不均一性なマイクロパターンをもつ表面の作成については、これまでに予備実験を行ってきており基本的な作成方法の確立を進めてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、接触型スペキュラ顕微鏡画像による基底膜の異常堆積物の分布と、角膜内皮組織における細胞の配列秩序の局所的な変化の両方に着目し、角膜内皮組織と基底膜の不均一構造にどのような空間相関がみられるかを定量的に測定する手法の開発を目指す。具体的には、角膜内皮細胞の配列に対し動径分布関数やパーシステントホモロジーなどを用いた解析を行い、基底膜に異常堆積物が生じた場合にその周辺で細胞配列が無秩序化する程度を、異常堆積物の大きさや形、また異常堆積物からの距離などに着目して定量的に解析する。また、スペキュラ顕微鏡画像のタイムラプスデータから、眼振などの影響を含む低精細な画像を適切に除外し、より大域的な角膜組織の解析を行うための貼り合わせ画像の構成を自動化する手法の開発に取り組む。 また、培養ヒト角膜内皮細胞注入療法においてその品質管理がきわめて重要である角膜内皮細胞について、培養皿での非侵襲的な細胞品質をより早期・より高精度に行う手法を検討する。低密度状態における細胞動態や高密度状態における細胞形態や配列秩序の時空間分布から抽出することで、角膜内皮細胞そのものの空間不均一性がどのように生じるのかと、臨床的な細胞品質との相関を示す数値指標の開拓を行う。
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