Project/Area Number |
23K28439
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Project/Area Number (Other) |
23H03751 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
亀井 敬泰 神戸学院大学, 薬学部, 准教授 (40637451)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
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Keywords | 海馬神経細胞 / ターゲティング / 細胞外小胞 / 核酸医薬 / アルツハイマー型認知症 / 認知症 / 融合タンパク質 / 海馬 / 薬物送達システム / 経鼻投与 |
Outline of Research at the Start |
認知症根本治療薬の実用化を妨げる最大の要因として、投与部位から病巣である脳局所(特に海馬)への薬物送達効率が著しく低いことが挙げられる。そこで本研究では、薬物投与後の「脳移行性の増大」さらに「脳病巣局所への標的化」を両立する新たなDDS戦略を確立することを目的とする。本研究を通じて、タンパク質や核酸等の有望な医薬モダリティを脳病巣(海馬)に届ける技術を確立することにより、認知症根本治療薬開発の発展に寄与したいと考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病等の認知症治療薬の有用性を高めるためには、それらの投与部位から脳への移行効率を向上させるだけでなく、真の治療標的部位である海馬に到達させる新たな薬物送達システムを構築することが重要である。初年度である2023年度は、まず予備検討として、低分子蛍光物質(FITC)とインスリンの結合体(FITC-インスリン)をマウスに脳室内投与し、FITC-インスリンが海馬および歯状回の神経細胞層に特異的に集積することを明らかにした。さらにタンパク質医薬の海馬への送達効率の向上を目的として、海馬集積性を有するインスリンを融合したタンパク質を設計し、それらを海馬神経細胞へと効率的に送達することを試みた。インスリン融合蛍光タンパク質がマウス由来海馬神経細胞へと効率的に取込まれることを明らかにした。種々の細胞を用いて比較した結果においても、インスリン融合タンパク質の集積効率は各細胞のインスリン受容体発現量と類似する傾向が認められ、また、インスリン融合タンパク質はエネルギー依存性経路を介して海馬神経細胞に取り込まれることが示唆された。さらにインスリン融合タンパク質をマウスに脳室内投与した後、海馬神経細胞層に集積しうることが見出された。インスリン融合タンパク質を粘膜透過促進剤と併用し経鼻投与した結果、その脳移行性が飛躍的に増大したことから、末梢投与時にもタンパク質医薬の海馬集積性を向上できることが示唆された。さらなる応用として、核酸医薬を海馬神経細胞に送達するキャリアを構築するために、遺伝子工学的にインスリンを修飾した細胞外小胞(EV)の作製を開始し、in vitro評価において良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子工学的にインスリンを融合したタンパク質を作製することに成功した。また、in vitroおよびin vivo評価において、インスリン融合タンパク質が海馬神経細胞に効率的に集積することを明らかにした。これらの成果より、研究が順調に進展していると考えている。一方、末梢に投与したインスリン融合タンパク質が海馬神経細胞に集積する傾向が認められたものの、脳内に送達したタンパク質の分布を可視化するための検出感度が不十分であると考えており、この課題を克服するための検討に取り組んでいる。また、タンパク質のみならず核酸医薬を海馬神経細胞に標的化するためのキャリアの設計も進展させることができた。微粒子キャリアである細胞外小胞の表面に遺伝子工学的にインスリンを搭載することに成功し、この点でも順調に研究が進められている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況に記載したとおり、末梢に投与したインスリン融合タンパク質の脳内分布を精密に解析する手法の構築に取り組んでおり、引き続きこれを第一の目標とする。これによって臨床応用可能な手法としてのタンパク質医薬の海馬神経細胞標的化法を確立するとともに、認知症などの脳疾患に対する治療効果をもつタンパク質を海馬神経細胞に送達し、その治療効果を改善できることを実証する。加えて、核酸医薬送達用のインスリン修飾細胞外小胞の最適化を進める予定である。より効率的なインスリン修飾法を確立することに加えて、核酸医薬を細胞外小胞内部に封入するための手法の構築にも取り組んでいく予定である。
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