Project/Area Number |
23KF0132
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 22020:Structure engineering and earthquake engineering-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十子 幸樹 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20521983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEASTRA PREDARICKA 東北大学, 災害科学国際研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-09-27 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ダイナミック・マス / 同調粘性マスダンパー / 動吸振器 / 同調質量 / inerter / 振動台実験 |
Outline of Research at the Start |
ダイナミック・マス(inerter)を応用した構造物用動吸振器に関しては東北大学の研究を初めとして多数の研究があるが,その多くは線形モデルを対象とした理論的または数値解析的な研究である.しかしながら,実用に供されているダイナミック・マスダンパーには様々な非線形性が内在している.既往研究では,装置内部の摩擦や非ニュートン流体の非線形性を等価線形化により扱う場合が多かったが,本研究では装置のあらゆる非線形性を考慮した詳細モデルを作成し装置の非線形性がもたらす影響について明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
ボールネジ機構などを用いることで,フライホイールの実質量を数百倍から数千倍の見かけ質量(inertance)に増幅することができるダイナミック・マスを用いて構造用動吸振器を構成することができる.この十数年で数多くの研究がなされてきたが, inertance に比べてフライホイールをはじめ,装置を構成する要素の実質量は小さいことから単純化のために殆どの場合無視されてきた.また,ダイナミック・マスを用いた動吸振器においては,実質量を考慮しない場合,バネの接続順は制御効果に影響を与えないことも分かっている. 本研究課題におけるこれまでの研究では,装置に付属する実質量を増大させると制御効果に小さくない影響があること,また,この場合,装置を構成するバネの接続順も制御効果に影響することを明らかにした.実質量を考慮した場合の力学的支配方程式の定式化と,数値解析,最適化までの検討が完了している. これまでの成果については,東北大学が保有する同調粘性マスダンパー試験体を改造し,付加錘を付けることで予備的な実験検証まで終了している.現在,バネ接続順を変更するために更に試験体の改造を行っているところである.バネ接続順を逆順にした試験体振動台実験により,これまで理論的に明らかにした実質量の影響とバネ要素接続順の制御効果に与える影響について実験的に検証する予定である.成果発表のための論文も,実験的検証データがそろった時点で投稿できる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで,単純モデルである1質点系構造物に同調粘性マスダンパーを設置した場合について,既往研究のサーベイを行った.同調粘性マスダンパー付き1質点系構造物については,付加実質量のない場合のH-∞制御解の閉形表現が受け入れ研究者により提示されている.今回対象とした,付加実質量付きのケースについては,他の研究グループが,dynamic amplification factor (DAF) に対する最適解を導出していることが分かったものの,受入研究者の研究グループで着目している地動変位から主系相対変位への伝達率最大値最小化解は提示されていないことが分かった.また,付加実質量が設けられた場合において,バネ要素の接続順が与える影響についても既往研究では未解明となっている. そこで,本研究では,付加質量付き同調粘性マスダンパーについてバネ要素が,主系質量に直結している場合と地盤に直結している場合の二つのケースについて,それぞれ地動変位から主系相対変位への伝達率最大値最小化解を求め,バネ要素接続順が主系応答制御効果に与える影響を理論的に明らかにした. 実験的検討では,東北大学が保有する1層鉄骨試験体に,渦電流ダンパーをダイナミック・マス-ダンパーとして用い,そこへ鉄骨板バネを接続し,更に24kgのコンクリート平板を付加錘として構成した試験体による振動大実験で理論式の妥当性を検証した.次に,バネ要素の接続順を逆にした場合の実験を行うために,新たにバネ要素と,ダイナミック・マス-ダンパーを接続するための治具を設計し,製作しているところである.また,次の実験へ向けて予備解析が完了している他,成果発表のためのjournal論文についても実験部分を除いて執筆が完了している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,先ず付加質量付き同調粘性マスダンパー制振試験体縮小実験において,バネ要素を従来とは逆順に付けた場合,即ちバネを地盤側に接続した場合の試験体を製作し,調和波および地震波加振実験を行って,性能を確認する.既に,この実験以外の部分についてはjournal投稿用の論文原稿が完成しているので,実験結果について追記し投稿する.また,2024年12月に開催が予定されているAsia-Pacific Workshop on Structural Health Monitoring において論文発表することで本研究の成果を海外を含めて広く発信する予定としている. 一つ目の課題として取り組んできた同調粘性マスダンパーにおける付加質量の効果に関する研究に区切りを付けた後,装置取り付けバネの圧縮・引張剛性の非対称性や非線形性,粘性要素の速度依存性を含む非線形性,装置内部摩擦による非線形性の影響検討に移る予定である.当初外国人特別研究員が使い慣れている汎用有限要素解析ソフトウェアABAQUSを用いた解析モデルを構築する予定としていたが,カリフォルニア大学バークレー校が開発したオープンソースソフトウェアであるOpenSeesを用いることで費用を掛けることなく解析が出来ることが分かったので,解析モデルはOpenSees上で構築する予定に変更した.実験的には,付加質量の影響検討のために既に実施済みの実験データが使える筈であるが,必要に応じて実験ケースを増やして追加実験を行う.
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