Project/Area Number |
23KF0133
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
後藤 義幸 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (10755523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MCCUAIG BONITA 千葉大学, 真菌医学研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-09-27 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 腸内細菌 / 濾胞性ヘルパーT細胞 / IgA抗体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、粘膜ワクチンによる腸管および全身系抗体誘導効果を最適化するための腸内細菌の分離・同定を目的として研究を行う。さらに、同定・分離した腸内細菌を経口投与することで、抗体誘導効果を検証する。まず種々の抗生物質処理マウスを作製し、腸内細菌叢を解析するとともに抗体産生量を計測し、抗体量と相関関係のある腸内細菌を絞りこむ。次に嫌気培養装置を用いて細菌を分離し、菌種を同定する。無菌マウス施設を用い、同定した細菌のノトバイオートマウスを作製し、抗体誘導効果を検証する。本研究を遂行することで、腸内細菌の抗体誘導機構とともにアジュバント機能としての有用性について明らかになることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腸内細菌および真菌による腸管および全身抗体誘導・制御機構の解明を目的とする。これまでに、野生型マウス(腸内細菌定着マウス)、アンピシリン処理マウス(無菌様マウス)、Candida albicans定着マウス(腸内真菌定着マウス)の3群を確立した。これら3群のマウスにおける糞便ならびに血清中のIgA抗体価をEnzyme-linked immune sorbent assay (ELISA)を用いて計測した。その結果、抗原非特異的IgAは無菌様マウスと比較して、腸内細菌・真菌定着マウスにおいて有意に高いことを見出した。さらに、これらのマウスを用いてパイエル板濾胞性Tヘルパー細胞および粘膜固有層におけるIgA陽性形質細胞の動態を解析した。その結果、パイエル板濾胞性Tヘルパー細胞、粘膜固有層IgA陽性形質細胞のいずれも無菌様マウスと比較して、腸内細菌・真菌定着マウスにおいて多くの細胞が観察された。一方、血清中IgA抗体量を確認したところ、無菌様マウスと比較して腸内真菌定着マウスにおいて有意に高いことを見出した。次に3群のマウスにコレラ毒素を経口投与し、糞便ならびに血清中の抗コレラ毒素IgA抗体価を計測した。その結果、無菌様マウスと比較して、腸内細菌・真菌定着マウスにおいて抗体価が有意に高いことを見出した。 これらの結果を基に、今後は上記の3群にインフルエンザAウイルスを経鼻感染させ、生存率、肺組織障害ならびに鼻腔・糞便・血清中のインフルエンザ特異的IgA抗体価を、ELISA法や免疫組織染色法を用いて解析する。さらに、これらのマウスに抗インフルエンザワクチン抗原を投与し、IgA抗体産生や感染防御効果を検証する。種々の抗生物質処理マウスにおいて抗体産生と腸内細菌叢の相関関係を解析し、抗体産生に寄与する腸内細菌の同定・分離を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸内細菌・真菌による腸管および全身系組織における抗体誘導・制御機構の解明を目的として、本年度は、はじめに野生型マウス(腸内細菌定着マウス)、アンピシリン処理マウス(無菌様マウス)、Candida albicans定着マウス(腸内真菌定着マウス)の3群を確立した。C. albicans定着マウスは申請者らの報告により、アンピシリン処理マウスにC. albicansを経口投与することで作製した。これら3群のマウスの糞便と血清中のIgA抗体価をELISA法を用いて計測した。その結果、抗原非特異的IgA抗体価は無菌様マウスと比較して、腸内細菌・真菌定着マウスにおいて有意に高いことを見出した。さらに、これらのマウスを用いて腸管IgA抗体誘導を司るパイエル板濾胞性Tヘルパー細胞および粘膜固有層IgA陽性細胞の動態について、フローサイトメトリー解析を行った。その結果、パイエル板濾胞性Tヘルパー細胞、粘膜固有層IgA陽性細胞のいずれも無菌様マウスと比較して、腸内細菌・真菌定着マウスにおいて多くの細胞が観察された。以上の結果から、腸内細菌・真菌は、濾胞性Tヘルパー細胞を誘導することで、腸管IgA抗体の誘導に寄与することが示唆される。一方、無菌様マウスと比較して腸内真菌定着マウスにおいて血清中IgA抗体価が有意に高いことを見出した。この結果から、腸内真菌は全身系IgA抗体産生にも寄与していることが示唆された。 次に3群のマウスにコレラ毒素を経口投与し、糞便ならびに血清中の抗コレラ毒素IgA抗体価を計測した。その結果、無菌様マウスと比較して、腸内細菌・真菌定着マウスにおいて抗コレラ毒素IgA抗体価が有意に高いことを見出した。これらの結果から、腸内細菌・真菌は抗原特異的腸管IgA抗体の誘導に寄与することが示唆される。以上の研究進捗から、研究はおおむね順調に推移しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究成果を基に、今年度は腸内細菌・真菌が、抗体誘導を介して実際のウイルス感染防御に寄与している可能性ならびにワクチン接種による抗体産生誘導に寄与している可能性を検証する。はじめに、腸内細菌・真菌定着マウスおよび無菌様マウスに、インフルエンザAウイルスを経鼻感染させ、生存率や肺組織障害ならびに鼻腔・糞便・血清中のインフルエンザ特異的IgA抗体価を、ELISA法や免疫組織染色法を用いて解析する。さらに、脾臓やリンパ節、上気道組織において誘導される濾胞性Tヘルパー細胞、IgA陽性形質細胞の動態や、肺組織における炎症性細胞の浸潤を、フローサイトメトリーにて解析する。一方で、インフルエンザウイルス感染時において、腸内細菌叢や真菌の変化についても、次世代シークエンサーを用いて解析する。さらに、腸内細菌・真菌定着マウスおよび無菌様マウスに抗インフルエンザワクチン抗原を経鼻投与し、抗原特異的IgA抗体価を計測する。さらに、これらのマウスにインフルエンザを経鼻感染させ、生存率や肺組織障害ならびに鼻腔・糞便・血清中のインフルエンザ特異的IgA抗体価を、ELISA法や免疫組織染色法を用いて解析する。 上記の実験と並行して、種々の抗生物質処理マウスにインフルエンザウイルスを経鼻感染させ、マウスの生存率やウイルス特異的IgA抗体価の増減を明らかにする。さらに、種々の抗生物質処理マウスの腸内細菌叢の変化について解析し、誘導されるIgA抗体価との相関関係を明らかにし、ウイルス特異的IgA抗体誘導腸内細菌の分離を試みる。さらに、分離した腸内細菌を無菌マウスに投与することでノトバイオートマウスを準備し、インフルエンザウイルスを経鼻感染させ、ウイルス特異的IgA抗体価の増減や生存率を確認する。
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