The position of Wang Guowei's Ren jian ci hua in the history of Chinese aesthetics:Focusing on the relationship between"Qing"and"Jing"
Project/Area Number |
23KF0147
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇佐美 文理 京都大学, 文学研究科, 教授 (70232808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DING YI 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-09-27 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2023: ¥200,000 (Direct Cost: ¥200,000)
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Keywords | 王国維 / 中国美学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は近代中国の第一世代の美学者、王国維(1877-1927)が著した『人間詞話』(1908-09)の中国美学史上での位置づけを明確化することを目標とする。具体的には、この書物の中心的な課題、「情」と「景」の関係を精査した上で、この課題の中国近代における展開、および前近代における絵画論思想におけるあり方を比較検討する。それによって、近代と前近代の境目にある『人間詞話』の、前後の思想との連続・非連続性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
23年度は、主として王国維『人間詞話』のテクスト分析を行い、西洋美学との比較対照を通じてその位置づけを試みた。具体的には『人間詞話』のほか、王国維が参照した張恵言『詩選』や陳廷シャク『白雨斎詞話』などを読解し、中国文学批評には静的な(static)参照軸ではなく、動的な(dynamic)参照軸があるという仮説を提示した。また王国維の問題意識と知的営為を西洋哲学一般の座標と関連づけることで、『人間詞話』という文学批評書は、東西の哲学研究における「パトス/ロゴス」の対立の整合可能性を文学的立場から示したことを解明した。加えて、より広い視野から近代中国美学を特徴づける文学批評に注目し、近代中国美学ないし東洋美学の可能性を探った。さらに中国の(近代中国美学の頂点を飾る銭鍾書の故郷の)無錫や(王国維の故郷の)海寧、そしてカリフォルニア大学バークレー校の東アジア図書館やサンフランシスコ アジア美術館などを訪れ、関連資料を収集し、中国やアメリカにおける中国美学研究の最新状況を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた『人間詞話』や関連文献考察を進めると同時に、研究成果を口頭発表もしくは学術誌論文という形で順調に公表しているため。具体的には、口頭発表「王国維『人間詞話』の成立条件:「情」による人間のあり方」では、日本ではあまり知られていない「詞」という文学ジャンルや、中国近代美学の起点である王国維について紹介し、『人間詞話』の成立背景についてとりわけ「情」の扱い方に注目し検討した。この発表を踏まえて、さらに口頭発表「王国維『人間詞話』における人間のあり方」では、王国維の問題意識と知的営為を西洋哲学一般の座標と関連づけることで、東西の哲学研究における「パトス/ロゴス」の対立の整合可能性を文学的立場から示したことを論じた。ここから、近代中国美学を把握する上で文学や文学批評が重要であることが導かれ、さらに論考「The Stance of Literature in Modern Chinese Aesthetics」では、文学批評の視点から近代中国美学の生成過程を見直した。その結果、文学の特殊な位置は、近代中国美学の起点である王国維にすでに示されており、近代中国のアカデミズムは、「学者の文」のみで構成されるのではなく、常に「文人の文」によって牽引され、近代中国美学のあり方はすべて西洋モデルに吸収されたのではないことが、文学というトポスにおいて確認できたという成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、清末・民国時の詩論・詞論についての考察を進めるとともに、日本を中心に中国絵画の調査などを合わせて行い、加えてドイツ・香港・タイでの口頭発表・研究会を経て、最終的には王国維『人間詞話』にみられる中国美学のメカニズムについての論文にまとめる予定である。具体的には、WGEA主催の、「Environment in Crisis-Crisis in Aesthetics」(2024年5月28-31日、於ドイツ)および「Landschaft-unsere Heimat in der Krise?」(2024年6月1-3日、於ドイツ)に招待され、近代中国における人間と宇宙との関係、環境美学への貢献について口頭発表する予定である。また、The Association of Chinese and Comparative Literature 2024 Biennial Conference(中國文學與比較文學2024年雙年會議、2024年6月23-25日、於香港科技大学)に「転折時代:人的情感表達与行動」というパネル発表を提出し、既に受理されている。そこでは、詩歌や大衆小説、SF小説の研究者たちとともに、王国維の文学的意識について発表し議論する予定である。またThe 7th Asia Future Conference(2024年8月9日-13日、於タイ)に参加し、清末・民国初期の知的制度の成立について美学の視点から発表する予定であり、「Revisiting the educational and institutional situation regarding aesthetics in China from the beginning of the twentieth century to the 1920s」という題目の英語論文を発表資料として既に提出している。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)