Project/Area Number |
23KF0234
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中家 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (50314175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRAN NGOC 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-11-15 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | ニュートリノ / 加速器 / CP対称性 / 反粒子 |
Outline of Research at the Start |
加速器ニュートリノ実験T2KとHyper-Kamiokandeで、ニュートリノ質量と粒子・反粒子対称性(CP対称性)の研究を行う。実験では、陽子ビームモニターと前置ニュートリノ測定器のデータを解析し、ニュートリノビームと反ニュートリノビームを使ってニュートリノ振動を精密に測定する。そして、ニュートリノ振動パラメータであるニュートリノ質量差、ニュートリノ間の混合割合、CP対称性の破れを決定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
素粒子物理学の重要課題であるニュートリノ質量と粒子・反粒子対称性(CP対称性)の研究を、加速器ニュートリノ振動実験T2KとHyper-Kamiokande実験で行った。ニュートリノ振動を精密に測定することで、(1)ニュートリノ質量差とニュートリノ間の混合割合を決定し、 (2)ニュートリノと反ニュートリの間でCP対称性が破れているかどうかを検証する。 T2K実験でこれまでに取得した全データを解析することで、世界最高精度でニュートリノ質量2乗差Δm_32^2とニュートリノ混合角sin^2θ_23 を測定し、さらにCP対称性の破れを調べた。さらに2023年度に、J-PARC加速器は目標のビームパワー750kWを達成し、T2K実験で新たなニュートリノビームデータを取得し、ニュートリノ振動の測定精度向上に向けて研究を進めた。ビームが出た期間の2023年11月から12月と2024年の2月にNgoc研究員がJ-PARCに出張し、実験を進めた。J-PARCでは、陽子ビームを測定するビームモニターのうち、ベトナムグループが開発を進めてきたビームロスモニターを運用しデータを取得した。Ngoc研究員は、本研究費で購入した計算機を使ってデータの解析を行なった。結果として、ニュートリノビームデータの性能と品質が確認でき、ニュートリノ振動の精密測定に向けて準備が整った。 T2K実験と並行して、将来計画であるHyper-Kamiokande実験の準備を進めてきた。特に、Hyper-Kamiokande実験で使用する光センサーの安定性、光子検出効率、電荷とタイミングの分解能、暗計数率などの特性について、現地の神岡に出張して試験を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果として、T2K実験でニュートリノ振動パラメータの新しい結果を発表した。ニュートリノビームデータ19.7x10^20 POTと反ニュートリノビームデータ16.3x10^20 POTのデータを解析した。解析手法に大幅な改良を加え、特に前置測定器ND280に新しい事象選択を加え2倍以上のデータを使用した。ニュートリノビームフラックスに関しては、CERNのNA61/SHINE実験によるT2Kのレプリカ標的でとったデータを採用した。さらにニュートリノ相互作用モデルは新しい原子核効果の予想を元に改良した。その結果、ニュートリノ質量差とニュートリノ間の混合割合は、Δm_32^2=2.494-0.058+0.041×10^-3 eV^2 、sin^2θ_23=0.561-0.032+0.021 と測定した。測定精度は世界最高である。また、CP対称性が成立している可能性を2σの有意度で排除し、CP対称性が破れている可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
ニュートリノ振動パラメータθ23の測定精度とCP対称性の破れに対する感度は現在世界最高を達成しているが、さらなる精度向上を目指していく。T2K実験でデータ収集を継続すると共に、ニュートリノのビームフラックスと反応断面積の精度向上のため、前置ニュートリノ測定器の物理解析とシミュレーションを実施する。前置ニュートリノ測定器を使って、ニュートリノ反応事象を選択し、その測定からニュートリノビームフラックスとニュートリノ反応断面積を導出する。精度向上の鍵は、前置ニュートリノ測定器による測定の系統誤差の改良であり、このためにニュートリノ反応モデルとデータの一致を確認しモデルの改善を進める。合わせて、後置検出器であるスーパーカミオカンデにおけるニュートリノ反応事象の物理解析を進める。前置ニュートリノ測定器で調べたニュートリノ反応モデルをスーパーカミオカンデの解析に適用し、ニュートリノ振動測定の感度を見積もる。この物理解析に必要な高性能計算器とデータ記録装置を購入する予定である。 Hyper-Kamiokande実験においては、光センサーの開発と長期試験を継続する。
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