Project/Area Number |
23KJ0020
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
射場 淳 北海道大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 免震 / 変位抑制 / QZS / 慣性質量ダンパー / 周波数応答曲線 / 時刻歴応答解析 |
Outline of Research at the Start |
多様な地震動入力に対して,免震クリアランス範囲内に応答変位を抑えつつ,従来の免震建物と同等な応答加速度低減効果を有する次世代の高機能免震構造の開発を行う。第一段階として,提案システムを二質点モデルとして扱い,調和加振に対する変位および絶対加速度に対する周波数応答特性を得る。これにより,提案システムの基本特性の確認を行う。第二段階では,時刻歴応答解析により地震波加振を行い,提案システムの性能評価を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地震防災の有効な手段である免震構造を社会に広く普及させるべく、新たな免震構造の開発を目的とする。海溝型巨大地震による長周期地震動および内陸直下型地震による大振幅パルス性地震動という多様な地震動に対して所要の性能を確実に発揮できる免震構造の実現を目指す。具体的には大振幅地震動でも限界変形を超えずに加速度低減効果を発揮できる変位抑制型免震構造の開発を行っている。 令和5年度における研究成果は,主に理論的な観点から提案システムである変位抑制型免震構造の基本特性の把握および設計に関わる式を得たことである。 提案システムを2質点系として捉え,近似解法であるHarmonic balance法を用いることで,対象とするシステムの基本特性である周波数応答曲線を示す代数方程式を導出した。この式は,応答振幅と入力振動数がパラメータとなる3次方程式となっているため,解の公式等により容易に解くことができる。また,提案システムの設計においては跳躍現象といった非線形現象に留意する必要があった。一連の理論による研究によって提案システムにおいて跳躍現象が発生する条件も求められるようになった。これにより,代数方程式を解くことで変位抑制免震構造の設計の見通しの改善を図った。加えて,上記の設計式を用いて設計した変位抑制免震構造の地震波加振に対する応答評価を時刻歴応答解析により行った。提案システムが地震波加振に対して研究目標である,応答変位は免震クリアランス範囲内である60 cm内に抑えつつ,従来の免震建物と比較して応答加速度の低減も可能であることが分かった。 今後の展望として,求められた理論式の妥当性を検討するため,振動台試験を実施し,試験結果と理論解の比較を行いつつ,振動台試験から提案システムの地震波加振に対する有効性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の中で明らかにすることとして,提案システムである変位抑制免震構造の応答変位と応答加速度の低減効果明らかにすること,および提案システムに備える硬化型復元力の挙動の把握とその免震建物への適用可能性を明らかにすることを掲げていた。令和5年度の研究成果では採用期間中の研究計画に沿い,研究の中で明らかにすることに対して具体的な結果を得られたと考える。提案システムの応答変位と応答加速度の低減効果については,理論により提案システムの基本特性である周波数応答曲線を導くことによって明らかにした。さらに,令和4年度以前の研究成果では提案システムの設計をパラメトリックスタディーによる最適化によって求めた諸元に基づいて行っていた。この場合,建物の諸元がパラメトリックスタディーの検討範囲を超えた場合には最適な諸元が把握できなくなり,研究結果の汎用性が低い状況であった。令和5年度の研究成果では,理論から設計式も提案することによって提案システムの設計の見通しの改善を図ることができた。これにより,今後の研究において提案システムが有効な条件や適用性の観点から実現化に向けた検証が容易に行えるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究成果は主に提案システムである変位抑制免震構造の理論による解釈であった。今後の研究として,求められた理論式を実現象と照らし合わせて,理論式の妥当性を確認することを目標に,振動台試験を実施する。また,振動台試験によって得られる結果と時刻歴応答解析結果を比較することで加振試験と時刻歴応答解析の整合性の確認も実施する。 振動台試験は,幅1000 mm,奥行き500 mmの振動台の上に一質点系の変位抑制免震構造の縮小試験体を載せて,振動台による一方向の加振試験により行う。試験体は建物を30 kg程度で再現し,一般的な免震建物を想定して固有周期を3 sになるように設計する。その他の提案システムに備えられる装置は理論により導いた設計式によって求められる諸元に基づいて設計する。 理論では提案システムの周波数応答曲線を主に扱っていた。振動台試験では周波数応答曲線を得るにあたって,時間と共に入力振動数が変化するスイープ加振を実施する。提案システムは非線形要素を備えているため,入力振動数の変化方向によっては応答特性が異なる。また,周波数応答曲線は各振動数に対する定常応答をプロットしたものである。これらの条件を踏まえ,スイープ加振はその振動数が10分間で0.1-1.2 Hzおよび1.2-0.1 Hzに変化するようにする。 加振試験では,地震波加振も実施する。これにより,提案システムの過渡応答を把握して,実際の観測地震に対する提案システムの有効性を明らかにする。
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