Project/Area Number |
23KJ0040
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
勝島 日向子 北海道大学, 環境科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 種内コミュニケーション / 種間コミュニケーション / コミュニケーション・ハブ / 嗅覚コミュニケーション / 森林棲哺乳類 |
Outline of Research at the Start |
近年、ヒグマの市街地出没が増加し、人間社会との軋轢が問題となっている。出没の主要因はヒグマの社会関係だとされる。一方で、行動圏の広いヒグマの社会システムの全貌はよくわかっていない。そこで本研究では、ヒグマの主要な情報伝達手段である嗅覚コミュニケーションに焦点を当て、彼らが匂いを用いてどんな情報をやりとりしているのか、その具体的なメカニズムを解明する。マーキングツリーと糞の機能に着目し、生態学的な要求を変えうる要因(性別・年齢)と行動パターンとの関係を明らかにする。特定の匂いがヒグマの行動に及ぼす影響を明らかにすることで、化学感覚を利用した防除への道筋を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、ヒグマの市街地出没が増加している。一方で、出没要因であるヒグマの社会システムへの理解は不十分である。そこで本研究ではヒグマの嗅覚コミュニケーションのメカニズムと他種への波及効果を行動生態学的な観点から明らかにすることを目指す。 2023年度は域内と域外の双方でデータ収集を行い、野外調査地での行動データ収集(マーキングサイト/糞)、飼育施設での行動実験とサンプリングを実施した。野外調査は北海道大学天塩研究林内で実施し、自動撮影カメラを用いて、ヒグマのマーキングサイトを訪問する哺乳類(ヒグマ+同所的に生息する他種の森林棲哺乳類)の行動を調べた。その結果、ヒグマの他に8種類の哺乳類による利用が確認された。特に、餌種であるシカは積極的なにおい嗅ぎ行動をおこなうこと、競争的下位の中型食肉類であるキツネはマーキングサイトへの積極的なマーキング行動が観察された。今後、これらの行動とヒグマの訪問との関連を明らかにする。また、道内の3地点の調査地において計18個の糞にカメラを設置し、訪問個体の行動データを得た。 飼育実験では、さまざまな性齢クラスの飼育ヒグマに対し16種類の匂い刺激を提示し行動応答を調べた。その結果、頭を柵に擦り付ける、立ち上がって背部を壁に擦り付ける等の行動が観察され、特定の匂い刺激が一貫して強い応答を引き起こす傾向が得られた。2024年度は繁殖期に同様の実験を実施し2023年度の結果と比較することで季節に応じた行動の変化を明らかにする。また、ヒグマの臭腺分泌物の機能を明らかとするため、採取方法の確立を目指した。健常な飼育個体の背部臭腺、臀部、肛門腺を対象に3種類の捕集方法を比較した結果、最適な方法が得られたため、2024年度は得られた方法で分泌物の解析を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外実験と飼育実験の双方を実施し必要なデータを得ることができた。分子実験は、実験条件の難しさから予定よりも成果が出るまでに時間を要することが見込まれた。そのため、野外実験を充実させる方針へと転換した。得られた成果を含む研究内容は1つの国際学会と3つの国内学会等で発表し、現在投稿論文を執筆中である。以上より研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に引き続き域内と域外の双方で継続的にデータを収集し分析する。得られた結果は共同研究者と十分に議論し、国外・国内学会にて発表、国際誌に投稿する。
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