先進的AIと小規模・多標本培養を組合せた迅速な微生物培地最適化手法の開発
Project/Area Number |
23KJ0076
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 一樹 北見工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 培養工学 / 培地最適化 / 機械学習 / 最適化アルゴリズム / 組換えタンパク質 / 大腸菌 |
Outline of Research at the Start |
微生物発酵による有用物質生産において,培地組成は目的物質の生産量や生産速度に大きく影響する.そのため,培地組成を改善することは,プロセスの経済性を向上させる有益な手段である.近年,機械学習を用いた培地最適化技術が研究されているが,学習のために多量の学習データが必要な点など,未だ迅速性に課題がある.本研究では,先進的な機械学習技術である転移学習を応用し,蓄積された培養データを転移することで,実験量を削減し,迅速に培地最適化が成される手法を開発する.
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Outline of Annual Research Achievements |
先進的なAIを用いた、微生物の培地組成最適化手法の検討を実施した。当初は予定通りに、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現させた組換え大腸菌にて、GFPの蛍光強度を予測の指標としたAIモデルを構築し、GFP蛍光強度を増大させる培地組成の予測を試みた。しかし、提案された培地組成で培養すると反対にGFP蛍光強度が低下し、機械学習による培地予測が失敗する場合もあることがわかった。そのため方向を転換し、少ない学習データ数を活用して短時間かつ高確率で培地性能を向上させるための手法を開発した。まず、一度の実験で取得可能な条件数で学習データ用の培地組成を設計し、培養したデータを用いて50回程度の深層学習モデル作成を実施した。データ数が少ないことから、それぞれのモデルは乱数の影響で多様な異なる学習結果に収束していたため、学習結果の類似性が低いモデルをいくつか選抜し、それぞれに対して最適化アルゴリズムによる最適培地予測を実施した。結果として、提案される培地は由来となった深層学習モデルの違いによって多様であったため、提案された培地組成をクラス分類し、それぞれのクラスから実験に供する培地組成を選抜して検証培養した。選抜された候補培地で培養したところ、一部の培地では大きくGFP蛍光強度が増大し、高性能な培地組成を短時間のうちにスクリーニングする手法が開発できた。以上の結果から、当初の計画から変更になったものの、目的である迅速なバイオプロセス開発に資する技術開発に至ることができた。本技術は既に複数の共同研究テーマ等に関わる他培養系においても迅速な培地開発に成功しており、汎用性が高く有用な技術である。次年度は本技術に加え、当初計画の転移学習などを適用し、発現タンパク質を変更した場合の培地最適化や、流加培養の最適化に発展した研究開発を実施する予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画より変更があったものの、目標であった高効率な培地最適化技術の開発に成功したため、おおむね順調に進展していると判断した。機械学習を用いた培養結果の予測に対し、モデルごとに予測結果が大きく異なるといった予測不確実性を多分に含んでおり、モデル作成時の精度検証では高精度の結果が得られても、最適化アルゴリズムにより予測した最適化培地による培養結果では、探索時の予測と実際の培養結果が乖離することが多かった。そのため、培地最適化課題に対する機械学習の適用方法について再検討した。培養は時間や労力を要する実験であり、最終的な目標はバイオプロセス開発の迅速化や効率化にあると考えたため、多数の培養データを収集して高機能なモデルを作成するのではなく、一度の実験で取得できる最小限のデータ数から、予測不確実性の高いモデルを有効活用して最適な培地組成をスクリーニングする手法を考案した。その結果、様々な微生物による系に対応可能な汎用性の高い培地最適化手法を構築し、論文化に至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画であった転移学習の適用について改めて検討いたしたい。これまでに複数の微生物プロセスを経験し、発現させる組換えタンパク質の種類が変わった場合、もしくは宿主が変わった場合のいずれにおいても、培地組成と発現量の相互関係が変化するため、個々で培地最適化が必要となることがわかってきた。このようなケースに対して、転移学習を適用することでより効果的な培地最適化技術になりえると考えられる。また、本研究ではディープウェルプレートで培養データを取得しているが、この系ではpH制御が不可であることや、流加培養条件の最適化に適用できないといった課題がある。これらを加味して、機械学習を用いた流加培養条件の設計手法の検討などに進み、本技術の適用範囲の拡大について検討する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)