日本列島と朝鮮半島におけるホモ・サピエンス拡散に伴う石器製作技術の変化
Project/Area Number |
23KJ0178
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
KIM EONJUNG 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 後期旧石器時代前半期 / 前・中期旧石器時代 / ホモ・サピエンス / 動作連鎖 / 痕跡学 / 実験考古学 / 石器製作技術 / 3Dスキャン |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本列島と朝鮮半島におけるホモ・サピエンス拡散に伴う石器製作技術の変化を捉える。特に、剝片製石器や石刃製石器の製作に用いられた剝離具や剝離技術そして、その石器群の起源について明らかにする。 調査では、当該期の石器製作技術をよく表す遺跡を中心にし、出土石器から観察される製作痕跡のデータを取りまとめ、データの基に石器製作実験を行う。遺物と実験資料の比較分析から時期ごとに如何なる石器製作技術が存在したのかを明らかにする。実験では遺物と同様の石材や道具を用い、データは写真撮影と3次元データとして当該期の石器製作痕跡の基礎データを蓄積する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度4月から山形県に所在する岩井沢遺跡・清水西遺跡・懐の内F遺跡・水林下遺跡で出土した石器の製作痕跡の写真撮影や3Dスキャンなどの資料調査を行った。特に、岩井沢遺跡の資料調査でまとまった石器製作痕跡のデータは日本に拡散したホモ・サピエンスの石器製作に対する計画的行動をよくあらわすものであり、その成果を東京で行われた日本旧石器学会で発表した(金・戸塚2023)。 そして、6月から長野県を中心とした後期旧石器時代の八風山遺跡・日向林B遺跡出土遺物の調査と、最近奈良文化財研究所により学術発掘調査が行われた香坂山遺跡の研究会・シンポジウム参加など最新の発掘情報を交流した。8月には韓国の前・中期旧石器時代に属する元堂里遺跡の資料や、後期旧石器時代前半期に属する垂陽介遺跡Ⅵ地区の資料を調査した。現在、その石器製作痕跡のデータをまとめ学会での口頭発表と論文執筆を準備している。 2024年2月では北海道今金町に所在するピリカ旧石器文化館にてピリカ遺跡や北海道南部における後期旧石器時代石器群の調査を行った。以上の資料調査で得られた情報のもとに2023年5月、10月、11月、2024年1月から2月にかけて石器製作実験を行っている。実験は、遺跡で確認できた製作技術を考えずつ、遺跡付近で採集される現地の石材を利用して行った。この研究成果は来年度(2024年度)学会での発表や論文としてまとめることを目指している。 このように、2023年度の研究実施地は東北地方や関東地方を含む東日本の後期旧石器時代前半期石器群の製作痕跡の写真撮影や3Dスキャンなどの資料調査とともに、その石器群からのデータをもとに石器製作実験をいくつか行った。このデータは写真撮影と3次元データとして当該期の石器製作痕跡の基礎データを蓄積することに加え、学会や発表会などで成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、2023年度の研究実施地としては東北地方や関東地方を含む東日本の後期旧石器時代前半期石器群の製作痕跡の写真撮影や3Dスキャンなどの資料調査とともに、その石器群からのデータをもとに石器製作実験をいくつか行った。 また、これまで集めてきたデータは写真撮影と3次元データとして当該期の石器製作痕跡の基礎データを蓄積することに加え、学会や発表会などで成果を発表したことはこれまでの研究計画と成果として期待通りである。 一方、韓国の前・中期旧石器時代に属する元堂里遺跡の資料(全谷先史博物館所蔵)や、後期旧石器時代前半期に属する垂陽介遺跡Ⅵ地区の資料(国立清州博物館所蔵)の調査を行ったことは本研究において大きな成果である。長年、日韓のサピエンス拡散に位置づけされている両遺跡だが、現在日本の旧石器研究者の中でこれらの遺跡の出土石器などの 資料をまとめにかかった研究者はいない。まだ、完全に両遺跡の資料を観察が終わってないがこれらの石器製作痕跡のデータをまとめ学会での口頭発表と論文執筆を準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2024年度の研究の推進計画はおおむね西日本地方(中・四国および九州など)の後期旧石器時代前半期石器群の製作痕跡の写真撮影や3Dスキャンなどの資料調査とともに、その石器群からのデータをもとに石器製作実験を続けて行う。特に、九州を中心とする日本最古級の台形様石器(熊本県石の本遺跡8区)や朝鮮半島との密接な関係を示す石刃製尖頭器群(鹿児島県磯前遺跡など)に関する調査を最優先に行う予定である。調査では、製作過程での副産物と完成されたトゥールとしての石器の因果関係を説明する。 また、2023年度から韓国で行われている前・中期旧石器時代に属する元堂里遺跡の資料(全谷先史博物館所蔵)や、後期旧石器時代前半期に属する垂陽介遺跡Ⅵ地区の資料(国立清州博物館所蔵)の資料調査を続けて遂行する。その中でも、元堂里遺跡出土石器をはじめ韓国の前・中期旧石器時代石器群の様子を全谷先史博物館との協力からまとめていく。なお、2024年度8月には元堂里遺跡や垂陽介遺跡の周辺で石材調査を実施し、集めた現地の石材から石器製作痕跡をまとめるための石器製作実験を行う予定である。 そして、2024年度の後半では2023年度・2024年度前半まで行う資料調査の成果と石器製作実験の結果のもとに論文の作成(日本旧石器学会発行「旧石器研究」など)や学会(日本旧石器学会、東北日本の旧石器文化を語る会など)への口頭発表などを準備する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)