Project/Area Number |
23KJ0180
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木野 量子 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | ハイパー核 / 電磁生成 / 電子ビーム / ストレンジネス / ハドロン |
Outline of Research at the Start |
米国ジェファーソン研究所において、鉛208を標的に用いたΛハイパー核高精度分光実験を遂行し、重いΛハイパー核内におけるΛNN三体斥力の効果を明らかにする。重い標的核を用いた分光実験は多量の背景事象による分解能悪化が予想され、これまで難しいとされてきた。本研究ではこれまで基礎技術開発を行なってきたスペクトロメータ角度校正用粒子位置検出器の導入によって、この問題の解決を試みる。Λ粒子を含む核子間三体斥力の効果を実験的に初めて観測することができれば、近年注目を集める重い中性子星の問題「ハイペロンパズル」解決へ原子核物理学の側面からアプローチすることが可能になる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
重い中性子星の存在を説明する鍵となると予想される、ラムダ粒子と核子間にはたらくΛNN三体力の効果を地上実験で測定するため、米国ジェファーソン研究所において「タリウム208ラムダハイパー核質量分光実験」を計画している。また、ΛNN三体力の効果を精密に決定するには、この実験と相補的に、軽いラムダハイパー核の性質を理解することも重要である。この目的のため、令和4年に独マインツ大学MAMIにて実施した、最も軽いラムダハイパー核である三重水素ラムダハイパー核の束縛エネルギーを精密に測定する、崩壊パイ中間子分光実験のデータ解析に取り組んだ。 全検出器の基礎パラメータ調整、粒子トラッキング、粒子識別の解析を約半年間に渡って行い、測定量である崩壊パイ中間子の運動量スペクトルを出すことに成功した。本解析は当研究グループが2012年、2014年に同手法による実験・解析を実施し、その手法を確立しているため、これをベースに進めることで予想より早く進めることができた。 また、今年度より本実験と同じスペクトロメータ、標的で実施可能な「六重水素探索実験」に、コラボレータとして参画している。本実験と同セットアップのため、準備は滞りなく進み、8月ー9月にかけて物理データ収集、スペクトロメータ校正データ収集を行なった。 令和6年2月より、本実験で最も重要なスペクトロメータの運動量校正のための実験準備を開始した。この実験では電子の弾性散乱を用いて2×10^-4の精度で運動量を決定することが可能である。更に、最終的な三重水素ラムダハイパー核の束縛エネルギーを過去実験の10倍良い精度で測定することを目指し、アンジュレータを用いたビームエネルギーの高精度測定を導入した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年に独マインツ大学MAMIにて、最も軽いラムダハイパー核である三重水素ラムダハイパー核の束縛エネルギーを精密に測定するため、崩壊パイ中間子分光実験を実施し、今年度はこのデータ解析に取り組んだ。当国際共同研究グループは、同手法による「四重水素ラムダハイパー核の精密質量測定実験」を2012年、2014年に実施しており、どちらの実験においても誤差100 keV以内の高精度な絶対値測定に成功している。解析手法も確立されているため、この手法をベースに進めることで本実験のデータ解析は予想より早く進めることができた。 また同時に参画している「六重水素探索実験」においても、本実験と同じスペクトロメータ、標的を使用することから問題なく物理データ収集を進めることができた。 本実験のスペクトロメータ運動量校正では、電子の弾性散乱を用いた手法により、2×10^-4の高精度な絶対値校正を実現している。このための弾性散乱実験は、施設側の都合により想定より開始が遅れたが、今年度後半より準備を開始し、3月にはデータ収集を開始することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年3月より開始したスペクトロメータ運動量校正のための電子弾性散乱実験を遂行し、そのデータ解析を開始する。本実験では、過去実験で系統誤差の主な要因となっていたビームエネルギーの不定性を約10分の1に抑えるため、アンジュレータを用いたビームエネルギーの高精度測定を導入した。この測定結果と、弾性散乱電子の運動量絶対値の測定結果を組み合わせることで、最終的な三重水素ラムダハイパー核の束縛エネルギーを更に高精度に測定することを目指す。 また、参画している六重水素探索実験については、物理データの統計量を更に増やすため、純度の高い標的を用い、追加データ収集を4月より開始した。このデータ解析も並行して行う予定である。
|