Project/Area Number |
23KJ0216
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 28020:Nanostructural physics-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内村 友宏 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | スピントロニクス / 反強磁性体 / ワイル半金属 / ノンコリニア反強磁性体 |
Outline of Research at the Start |
磁壁・スキルミオンなどのナノスケールの磁気構造(微細磁気構造)は、超高速・高密度の磁気メモリや非従来型コンピューティングへの応用が期待されており、その物性・機能性は強磁性体を中心に探索が行われてきた。本研究では特に電子構造にトポロジカルな性質を有するノンコリニア反強磁性体における微細磁気構造に着目し、量子効果の観測と電流による制御に挑む。これにより、反強磁性体の微細磁気構造における物性を明らかにし、新規デバイスの創出に向けた基盤を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ノンコリニア反強磁性体における界面ジャロシンスキー守谷相互作用(DMI)について調べた。界面DMIは、界面による対称性の破れと重金属の大きなスピン軌道相互作用に起因する反対称交換相互作用であり、強磁性体においてカイラルネール磁壁や磁気スキルミオンの形成に重要な役割を果たしてきた。一方、反強磁性体における界面DMIは、トポロジカルホール効果を通してその存在が示唆されてきたが、直接的な観測や定量的な評価は反強磁性体秩序の検出の難しさからアクセスすることができていなかった。よって、本研究では反強磁性体秩序が容易に検出可能なノンコリニア反強磁性体Mn3Snを用いることで、反強磁性体における界面DMIの定量評価を試みた。特に本研究では、界面DMIの評価方法として強磁性体で広く利用されているヒステリシスループシフトをノンコリニア反強磁性体に適用して実験を行った。その結果、ノンコリニア反強磁性体においてヒステリシスループシフトが観測され、系統的な測定を行うことでDMIの有効磁場を求めることができた。本研究は反強磁性体において界面DMIを定量化した初めての研究であり、界面DMIを利用した反強磁性スピントロ二クスデバイスの基盤となることが期待される。本研究の内容は、学術誌への発表を進めており、1件の国際学会、2件の国内学会にて発表を行い、そのうち国内学会1件で受賞するまでに至った。また、共同研究では磁気輸送測定や時間分解磁気光学カーを用いたノンコリニア反強磁性体のダイナミクスの解明に取り組んでおり、その成果として1件の学術誌投稿、3件の国内学会発表、6件の国外学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ノンコリニア反強磁性体Mn3Sn/重金属ヘテロ構造を作製し、界面DMIの発現とその有効磁場の測定を行い、国内・国際会議で発表するまでに至った。これは当初の計画を超える内容であり、微細磁気構造ダイナミクスを制御する重要な基盤となると期待される。よって、現在までの進捗状況は「当初の計画以上に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はノンコリニア反強磁性Mn3Snのトポロジカルな電子構造に着目し、量子効果の観測とその新機能素子応用について取り組む。これまでワイル半金属の量子効果は非磁性材料を中心に行われてきたが、Mn3Snのような磁性ワイル半金属での研究は限られている。特に2024年度は磁気輸送および光学測定によりMn3Snにおける量子効果を観測し、その起源を明らかにすることを目指す。
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