Project/Area Number |
23KJ0224
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
江澤 理徳 秋田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | マクロファージ遊走阻止因子 / 炎症性サイトカイン / 中性子結晶構造解析 |
Outline of Research at the Start |
マクロファージ遊走阻止因子(MIF)は、受容体CD74と結合し炎症反応を惹起するサイトカインであり、関節リウマチ等の自己免疫疾患の増悪に関与することから、潜在的な治療標的となっている。しかし、MIFによるCD74の活性化機構及びMIF阻害剤の作用機構は未解明であることから、それらの機構解明による合理的薬剤設計法の確立が望まれている。本研究では、野生型MIF、MIF変異体及び阻害剤-MIF複合体の中性子結晶構造解析を行う。さらに、得られた中性子結晶構造を用いて、分子動力学シミュレーションによりダイナミクス解析を行うことで、MIFによるCD74の活性化機構及びMIF阻害剤の作用機構の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージ遊走阻止因子(MIF)は、受容体CD74を活性化することで炎症反応を惹起する炎症性サイトカインであり、関節リウマチ等の自己免疫疾患の増悪に関与することから、潜在的な治療標的となっている。しかし、MIFによるCD74の活性化機構及びMIF阻害剤の作用機序は未解明であることから、MIFを標的とした薬剤の合理的な設計法は確立されていない。本研究では、MIFの水素原子を含む精密構造やダイナミクスに注目して、CD74の活性化機構及びMIF阻害剤の阻害機序の解明を目指している。我々はこれまでに、MIF単体の中性子結晶構造解析により、CD74の活性化に重要と考えられる、MIFの水素結合を介した構造ネットワークの観測に成功している。本年度は、MIF阻害剤によるCD74活性化の阻害機序解明のため、代表的なMIF阻害剤であるISO-1とMIFの複合体の中性子結晶構造解析を行った。MIF単体の結晶を作成した後、ISO-1溶液にソーキングすることでISO-1-MIF複合体の結晶を作成した。得られた結晶を用いて、iBIX BL-03 (J-PARC)において中性子回折測定を行った。さらに、同結晶を用いてPhoton Factory BL-5A (KEK)にてX線回折データを取得した。得られた中性子及びX線回折データを複合解析することで、ISO-1-MIF複合体の水素原子を含む精密構造を決定した。MIF単体とISO-1-MIF複合体の精密構造を比較したところ、ISO-1がMIFに結合すると、MIFの構造ネットワークの変化が起こり、その結果、CD74の活性化が阻害されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ISO-1-MIF複合体の結晶を作成した。得られた結晶のX線及び中性子回折データを収集し、複合解析を行うことで、ISO-1-MIF複合体の精密構造を取得した。MIF単体とISO-1-MIF複合体の精密構造を比較したところ、ISO-1がMIFに結合すると、MIFの構造ネットワークの変化が起こり、その結果、CD74の活性化が阻害されることが示された。MIF及びISO-1-MIF複合体の精密構造を基に、MIFのサイトカイン活性に重要と考えられる残基に対して変異を導入したところ、MIFのサイトカイン活性が変化することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型MIFの結晶化条件を基に、MIF変異体の結晶を作成し、中性子結晶構造解析を行う。得られた野生型MIF、MIF変異体、ISO-1-MIF複合体の中性子結晶構造を用いてMDシミュレーションを行い、MIF構造のダイナミクスやMIF構造内の原子間相関について解析する。
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