時間指定型・バッチサイズ指定型集団サービスシステムの待ち行列解析
Project/Area Number |
23KJ0249
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 60020:Mathematical informatics-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 彩音 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 待ち行列 / 集団サービス / ゲーム理論 / 応用確率論 / 待ち行列ゲーム / ナッシュ均衡 / 無限サーバ待ち行列 / 動的料金 |
Outline of Research at the Start |
近年の物流・交通サービスにおいて、ある時間間隔で一斉に集団でサービスが開始されるシステム(時間指定型)・待ち人数がある集団サイズに達したら共通のサービスが開始されるシステム(数量指定型)が見られる。本研究では、時間指定型・数量指定型の双方を説明可能なM/M^X/∞待ち行列に対し漸近解析を行うことで、ビジーサーバ数の中心極限定理をはじめとするいくつかの厳密な漸近公式を導出する。さらに、客が複数の種類の集団サービスを戦略的に選択する待ち行列ゲームの解析を行うことで、従来の集団サービス型待ち行列よりもさらに多様・複雑な形態を持つモデルに対して、性能の正確な理解や最適な運営方針についての洞察を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年の物流・交通サービスにおいて、ある時間間隔で一斉に集団でサービスが開始されるシステム(時間指定型)・待ち人数がある集団サイズに達したら共通のサービスが開始されるシステム(数量指定型)が見られる。今年度は、時間指定型・数量指定型集団サービスシステムの双方を説明可能なM/M^X/∞待ち行列に対して行った厳密解析および漸近解析を2本の学術論文としてまとめ、それらの成果をQueueing Systems誌、およびMathematics誌により発表した。 さらに、従来の集団サービス型待ち行列システムに対して、客の戦略的な行動を考慮した待ち行列ゲーム(待ち行列理論とゲーム理論を融合させたモデル)に関する研究も進展させることができた。客が戦略的に集団サイズを選択するモデルに関する研究結果がMathematics誌に採択された。また、客が単数サービス・時間指定型集団サービスを戦略的に選択するモデルの解析に取り組み、査読付き国際会議ICORES2024に採択され、発表を行った。加えて、客が単数サービス・数量指定型集団サービスを選択するモデルに関して、客が戦略的でない場合の解析結果を2023年度待ち行列シンポジウムで発表し、客が戦略的である場合の分析についても併せて進め、投稿論文の執筆に着手した。 その他にも、戦略的な客の行動を伴う集団サービス型システムに対して、客の経験効用の公平性に着目した動的料金制御(ダイナミック・プライシング・コントロール)を考慮したモデルに関する研究を進展させた。本モデルに対する数値計算アルゴリズム・数値実験結果等を2023年度待ち行列シンポジウムで発表し、日本オペレーションズ・リサーチ学会 待ち行列研究部会 研究奨励賞を受賞した。また、学会発表での質疑などを踏まえ、本モデルの研究成果について学術論文の執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はM/M^X/∞待ち行列の厳密解析・漸近解析に関する2本の査読付き論文が採択されたほか、客が戦略的に集団サイズを選択するモデルに関する研究結果についての1本の査読付き論文が採択された。また、客が単数サービス・時間指定型集団サービスを戦略的に選択するモデルの解析結果についても査読付き国際会議で発表し、拡張論文として招待を受けている。現在は、発表した結果をさらに発展させたモデルについて検討している。 さらに、今年度は2回の国内学会発表を行った。1つ目は客が単数サービス・数量指定型集団サービスを選択するモデルに関しての研究成果であり、現在はこのモデルにゲーム理論的な観点からの解析を組み込んだ成果について、投稿論文にまとめている状況である。2つ目の発表は、戦略的な客の行動を伴う集団サービス型システムに対して、客の経験効用の公平性に着目した動的料金制御(ダイナミック・プライシング・コントロール)を考慮したモデルに関する研究結果についてである。本発表に対しては研究奨励賞が授与され、2024年度7月に国際会議EURO2024にて招待発表として発表する予定である。さらに、他大学の研究者等に頂いた意見等を踏まえて、投稿論文の執筆に着手している。 上述の状況から、研究課題はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った3つの研究(1. 客が単数サービス・時間指定型集団サービスを戦略的に選択するモデル、2. 客が単数サービス・数量指定型集団サービスを戦略的に選択するモデル、3. 集団サービス型システムに対する動的料金制御モデル)に関する研究結果をさらに発展させた上で、それぞれの成果を3本の論文にまとめて投稿する予定である。また、3番目の集団サービス型システムに対する動的料金制御モデルに関しては7月に国際会議で発表を行う。2024年度の序盤は、これらの準備に主に時間を費やす予定である。 さらに、去年度の学会等での議論により、最近は、制限時間内にある一定人数が集まったという条件の下でサービスが提供される共同購入モデルに関心を持っている。このモデルに待ち行列ゲームの概念を適用させ、去年度までの集団サービス型モデルの解析で培った知識等を応用させながら、均衡戦略等を導出するための数値計算法を構築することを目指す。また、数値実験を通し、システム運営に対する有益な洞察を得ることも目標とする。 その他にも、客が単数・集団サービスを選ぶモデルに対し、実データを適用した研究についても取り組む予定である。具体的には本モデルを、客が自動車・公共交通を選択する状況と捉え、実際の交通データを解析結果に応用させる。そして、客の待ち時間・移動時間等をもとに、環境負荷度・総社会コスト等を計算する数理フレームワークを開発する。本研究に関しては、共同研究者とある程度までは打ち合わせが進んでおり、9月に当該共同研究者の研究室を訪問し詳細を議論することで、投稿論文にまとめたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)