Project/Area Number |
23KJ0251
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
延原 稚枝 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 知的障害 / 子育て支援 / ソーシャル・ネットワーク / ソーシャル・サポート / 社会資源 / 人権 |
Outline of Research at the Start |
障害者の権利に関する条約第23条に規定された,障害のある親が親責任を果たすために必要な援助の提供が我が国にも求められているが,それを検討する研究は限定的である. 本研究は療育手帳を所持し障害福祉サービスを利用している母親(以下,母親)とその支援者が認識する,母親の子育て中のソーシャル・ネットワークの規模と構成を明らかにする.さらに母親がそこから得ていると認識するソーシャル・サポートとそのニーズ,障害福祉サービス提供事業に従事する支援者が子育て期間に提供している支援を詳らかにする.もって,本邦の知的障害のある母親の権利擁護に資する障害福祉サービスでのサポート提供について検討することを目的とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,療育手帳を所持し,障害福祉サービス利用中の母親(以下,母親)におけるソーシャル・ネットワークの規模と構成並びにそこから得ているソーシャル・サポートの実態を詳らかにし,社会課題を明らかにすることを目的として実施している. そのため,研究1として知的障害者福祉関係者(以下,支援者)の知的障害者の妊娠・出産・子育て等に対する態度を検討した.その結果,支援者の知的障害者への性的態度は一般人に対する態度より保護的であった.さらに知的障害女性は知的障害男性と比較して保護的な性規範を付与されやすく,それは行為の先に生殖が想定される性的接触でも顕著であった(延原・門下ら,2023).そうした態度形成への関与が想定される,子育てを支援する社会資源等も検討した.その結果,相談支援専門員は母親の子育てとその支援の難しさに基づき『現在ある制度・社会資源の改善点』を捉え,『新たに求められる社会資源・社会開発』も求めていた.必要性が指摘された社会資源等を物理的,情緒的,経験的,情報的サポートというソーシャル・サポートの類型で分類すると,いずれのソーシャル・サポートも十分に得られる環境ではないと認識されていた(延原・名川,2023;社会福祉学会).当該成果と先行研究を整理し,知的障害のある親が子育てする際の社会的障壁についても発表した(延原・武子ら,2023;発達障害学会). 研究2では,母親に対するインタビュー調査を分析し,ソーシャル・ネットワークの規模・構成とソーシャル・サポートの種類と内容を検討し,論文執筆を行った.母親は多様な人間関係から多岐に渡るソーシャル・サポートを得ていた. 研究4は,知的障害者の結婚生活・子育て支援ニーズに係る予備的な聞き取りを行った.都市部と地方という異なる地域の母親の聞き取りから,改めて家族構成や文化,地域特性によりニーズに差異があることが推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り,研究1はその成果を論文にて発表するとともに,支援者の観点からの課題抽出を進展させることができた.それについては学会発表や他の研究者からの情報収集により議論を深めることができた. 研究2も予定通り母親に対するインタビュー調査の分析を進め,論文を執筆できた.当該成果から,知的障害のある母親が子育てする上で求めているソーシャル・サポートの種類や内容を一部明らかにすることができた. 研究4として,知的障害者の結婚生活・子育てに係るニーズを明らかにするため,結婚生活を送る知的障害のある女性,過疎地域にて子育てをする母親に対し予備的な聞き取りを行った.その中で,家族構成,文化,地域特性に関する検討が不可欠と推察され,研究4は予備的調査を継続する必要性が示唆された. 他方,研究3として2023年度実施を予定していた英国での現地調査が先方とスケジュールが合わず実施できなかった.ただし2023年度に得られた成果を踏まえて,2024年度に現地調査を行うことで,本邦における社会課題がより明確化できるという利点もあると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,研究4について予備調査を継続し,今後の研究に向けた示唆を得る.研究5のグループホームにおけるカップル生活世帯に係る調査は,上半期に先行研究の二次分析,文献研究を行い調査設計を見直す.年度後半に1県のグループホームを対象とした質問紙による悉皆調査を行い,一次分析まで終える予定である. それに加えて,2023年度実施できなかった研究3の英国の現地調査を行い,日本における知的障害のある母親を取り巻くソーシャル・ネットワークとソーシャル・サポートの現況との差異について検討を深める. 2023年度の成果と,2024年度の成果を基に,本邦における母親の子育てにおける課題を整理する予定である.
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