Project/Area Number |
23KJ0264
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
GAO TING 筑波大学, 人文社会ビジネス科学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 仏教認識論 / 仏教論理学 / シャンカラナンダナ / 内属 |
Outline of Research at the Start |
本研究は『関係の考察』に対するシャンカラナンダナ注の校訂・訳注を作成し、その成果に基づいて、インド哲学における重要な概念である「関係」に関する論争の実態を明らかにすることである。具体的には、次の二点の解明を目的とする。第一に、ダルマキールティおよび彼への注釈者であるシャンカラナンダナによる他学派批判の論理の解明。第二に、彼らとニヤーヤ・ヴァイシェーシカ学派やジャイナ教徒との関係実在論を巡る論争史の解明である。本研究では、これまで校訂・翻訳が為されていないシャンカラナンダナ注を中心に取り組み、その成果と他文献の検討を通じて関係を巡る議論の展開を整理する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまで、『関係の考察』の注釈書であるシャンカラナンダナ注の校訂と翻訳を作成してきた。また、『パダールダルマ・サングラハ』などの読解を通じて、結合と内属の関係の実在性を説くニヤーヤ・ヴァイシェーシカ学派の主張を整理した。『関係の考察』において重要な複合語であるekabhisambandhaや、ダルマキールティによる因果関係と内属への批判に焦点を当てながら思想研究を行った。以下にその成果を述べる。 第一、『関係の考察』の注釈書において、第四韻文は異なる視点から解釈されており、先行研究もそれに対して多様な解読が行われている。この点を踏まえ、該当箇所におけるekabhisambandhaに注目し、第四韻文の諸註釈の比較を行い、諸註釈の相違点を明らかにし、『関係の考察』への理解を深めた。 第二、ダルマキールティの『関係の考察』における因果関係への批判について体系的な研究を行った。本研究では具体的に、同書における諸註釈を取り上げ、ダルマキールティが批判している因果関係の内容とその批判の論理、及びダルマキールティが主張している因果関係の本質とその認識手段を明らかにした。 第三、内属という鍵概念に焦点を当て、『関係の考察』に対するシャンカラナンダナの注釈書を詳細に検討した。シャンカラナンダナは内属の考察を通じて、『関係の考察』の他の注釈書とは異なる視点からの批判を展開している。特に、シャンカラナンダナが内属の概念をいかに捉え、それをいかに論理的に展開しているかを詳細に分析することで、内属に関する議論の複雑さとその哲学的意義を浮き彫りにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究を通して、関係実在論を主張するニヤーヤ・ヴァイシェーシカ学派の思想の解明とそれに対するダルマキールティの批判について、深い理解を得ることができた。『関係の考察』の注釈書であるシャンカラナンダナ注と他の注釈書との比較に基づいて、シャンカラナンダナの思想の独自性を大体明らかにした。これらの研究成果を整理し、積極的に国内外の学会発表や学術雑誌への投稿を行うことで、研究成果の公表に努めた。このように、本研究は予定の通り順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度引き続き、『関係の考察』の注釈書であるシャンカラナンダナ注の翻訳を修正し、訳注の作成を行う。さらに、『関係の考察』以外のダルマキールティの著作で展開される議論についても、関連文献を用いて考察する。加えて、関係への批判について、シャンカラナンダナとダルマキールティの思想を比較検討し、差異を明らかにする。これらの考察を基盤として、「関係」を巡る仏教と他学派との論争史を包括的に解明する。以上の研究成果を論文や学会発表等にまとめ、国内外における研究の発展に貢献する。
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