Project/Area Number |
23KJ0268
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 09060:Special needs education-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青木 瑞樹 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 吃音 / QOL / 自己受容 / スティグマ / 尺度開発 / 心理的介入 |
Outline of Research at the Start |
発話流暢性障害である吃音は言語的な障害のみならず,心理社会的な影響を多く含む。特に成人期になっても言語症状が持続する成人吃音者は,その後に吃音症状が完治することは難しいとされる。成人吃音者の支援の観点では,生活の質に焦点を当て,吃音がありながらも前向きな社会生活を送るための支援が重要であると考えられる。本研究では,吃音者の生活の質の向上に向けた支援法を探索する事を目的に,生活の質に寄与する概念であるとされる自己受容とスティグマの概念の関係性及び概念的位置付けを明確にする。またこれらに適応が高いとされる心理療法であるコンパッション・フォーカスト・セラピーを実施し,その効果を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、成人吃音者の自己受容を測定する尺度の開発を目的に、吃音当事者212名に質問紙調査を行った結果についての論文投稿を行った。本研究の結果、吃音者の自己受容を測定する尺度(CSASS)は16項目3因子構造であり、高い信頼性(内的整合性・時間的安定性)と妥当性(内容的妥当性・基準関連妥当性・構成概念妥当性)が確認された。また本尺度は、本研究課題における最後の研究である、成人吃音者に対する心理的介入のアウトカムとなりうることが考えられた。 さらに、成人吃音者に対し自己受容,スティグマを測定する尺度を実施し,これらの変数間の関係性や吃音者の基本的な属性がQOLに与える影響についての検討を行った。調査は2023年8月―10月に行われ,成人吃音者86名から回答を得た。分析の結果,吃音者の精神的なQOLは自己受容とスティグマと相関しており、共分散構造分析の結果、スティグマが自己受容にネガティブな関連を示し、自己受容が精神的なQOLにポジティブな関連を示すモデルについて十分な適合度が得られた。またこれらの結果に基づき、自己受容を媒介したスティグマと精神的なQOLの間の間接効果の有意性を確認することを目的に媒介分析を行い、有意な間接効果があることを確認した。さらに、調査対象者の吃音に関する情報である「自己の吃音の知識」と「自助グループの参加経験」がこれらのモデルをどのように調整するかについて調整媒介分析を実施し、両変数の有意な調整効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、吃音者のQOLに影響を与える要因についての整理を行い、成人吃音者に対しQOLの向上に向けた心理的な介入を実施することを目指している。当年度において、吃音者の自己受容を測定する尺度の信頼性・妥当性に関する論文投稿を行えたこと、吃音者のQOLに影響を与える変数の整理ができたことにより、2年目から3年目に予定していた心理的介入のプロトコル作成等の実施準備を行うことが可能となった。したがって、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる本年度は、当該年度に行った成果の発表(学会発表、論文投稿)を行う。また、当該年度の研究成果をもとに、成人吃音者に対しQOLの向上に向けた心理的な介入を実施することを目指す。本介入研究は、ランダム化比較試験のデザインを用いることを想定しているため、研究計画段階でのプロトコル作成や交絡要因の統制に関する手続きが研究成果に関わる重要な要因となることが考えられる。したがって、同様のデザインを用いた先行研究などのレビューを通じて研究計画の立案、実施を進める予定である。
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