Project/Area Number |
23KJ0271
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石山 隆光 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | ゲルマニウム / 結晶成長 / 薄膜 / 太陽電池 |
Outline of Research at the Start |
ユビキタス・エネルギー社会の実現には、高い変換効率をもちながらどこにでも設置できる新しい太陽電池の開発が求められる。太陽電池の最高効率を更新し続けている多接合太陽電池は、高コストであり用途は限られてきた。一方、軽くて丈夫なプラスチックを基材としたフレキシブル太陽電池は、効率で劣るものの汎用性が高い。近年、これらのメリットを併せ持った「フレキシブル多接合太陽電池」の研究が活発化している。しかし、Ge等のボトムセル材料の合成膜において、太陽電池動作の実証例は未だない。本研究では、申請者の「大粒径Ge薄膜の低温合成技術」をシーズとし、プラスチック上ボトムセルとして最高レベルの性能を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ユビキタス・エネルギー社会の実現には、高い変換効率をもちながらどこにでも設置できる新しい太陽電池の開発が求められる。バンドギャップの異なる材料を積層した多接合太陽電池は、太陽電池の最高効率を更新し続けている。しかし、単結晶基板やプロセスが高コストであり、用途は限られてきた。一方、軽くて丈夫なプラスチックを基材としたフレキシブル太陽電池は、効率で劣るものの汎用性が高い。近年、これらのメリットを併せ持った「フレキシブル多接合太陽電池」の研究が活発化している。しかし、Geを始めとするボトムセル材料の合成膜(近赤外光吸収層)において、太陽電池動作の実証例は未だない。本研究では、研究代表者のユニークなGe薄膜技術をシーズとし、フレキシブル多接合太陽電池に広く応用可能な「プラスチック上ボトムセル」技術の構築を目的とする。 本年度においては、(1)大粒径Ge薄膜をシード(種結晶)層とした厚膜Geのエピタキシャル成長、および(2)Sn添加とポストアニールによるキャリア密度の低減を検討した。(1)では、研究代表者の技術(①非晶質Ge膜の加熱堆積、②下地GeO2層の挿入)を駆使して合成された大粒径Ge薄膜をシードとし、その粒径を引き継いだ厚膜Geのエピタキシャル成長を実証した。(2)では、確立した大粒径厚膜Geの合成技術をGeSn膜に発展させるとともに、成膜後のポストアニールを重畳することで、多結晶Ge系膜として世界最高水準のキャリア密度である3×10^16 cm^-3を達成した。次年度においては、この高品質厚膜GeSn合成技術をガラス基板上に展開した上で、赤外光吸収膜として初の太陽電池動作実証を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、高効率を誇る多接合太陽電池の汎用性を高めるため、基板に用いる単結晶Geウェハをプラスチック上の多結晶Ge膜に代替することを目的としている。本年度は、(1)大粒径Ge厚膜のエピタキシャル成長技術の確立及び、(2)キャリア密度の低減を当初目標として研究を遂行した。 (1)大粒径Ge厚膜のエピタキシャル成長技術の確立 非晶質前駆体の高密度化と下部GeO2層の挿入により、固相成長(SPC)Ge薄膜はモノライク(~10 μm)な粒径が得られているが、厚膜化に伴い核発生サイトが増加し結晶粒が矮小化する問題があった。本項目では、薄膜領域で合成された大粒径SPC-Geをシード層として、分子線エピタキシー(MBE)法による大粒径Geの高品質成長(MBE-Ge層)を試みた。成長温度を変調した結果、基板温度400 °C以上でエピタキシャル成長に成功し、SPC-Ge層の粒径がMBE-Ge層にも引き継がれていると判った。特に、500 °C以上の場合には、結晶方位によるエピタキシャル成長速度の違いを反映して、~5 nm程度の表面凹凸が現れることが判った。このユニークな表面テクスチャは、光吸収の観点で効果的に働くことが期待される。 (2)キャリア密度の低減 大粒径厚膜Ge膜のキャリア密度を低減すべく、SPC/MBE-Ge層へのSn添加とポストアニール(500 °C)による欠陥誘起アクセプタの補償を試みた。SPC-GeSn層は、x = 4.5%以上で著しい微結晶化が生じた一方、x = 2%までは~15 μm程度の粒径を維持し、MBE-GeSn層もSPC-GeSn層の粒径を引き継ぐことが判った。特に、x = 2%において、膜は高い正孔移動度(450 cm^2/Vs)と極めて低い正孔密度(3×10^16 cm^-3)を両立し、太陽電池応用に向けて好適な特性を有していた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、高品質厚膜GeSnのエピタキシャル合成に成功したが、フレキシブル基板上での太陽電池動作には整流性接合の形成が必須となる。それに先立ち、次年度はガラス基板に電極をスパッタリング成膜し、導電膜上で厚膜GeSnの高品質合成に取り組む。高品質厚膜GeSnの合成プロセス温度(500°C)を念頭に、熱的安定性が高いTiN膜を下部導電膜として採用することで、ガラス上での整流性接合の形成を検討する。本年度合成したGeSn膜の正孔密度が3×10^16 cm^-3であったことを踏まえ、ガラス基板上に同品質のGeSn厚膜を形成できれば、ゼロバイアスでの分光感度取得が期待される。更に、光学特性の膜厚依存性を調査することにより、赤外光吸収層としての大粒径厚膜GeSnのポテンシャルを顕在化できる。本項目においては、界面特性が光学特性に大きな影響を与えることが予想されるため、各種成膜プロセスの最適化も進める。
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