Project/Area Number |
23KJ0285
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武富 巧 筑波大学, グローバル教育院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Keywords | 自閉スペクトラム症/ASD / 細胞外マトリクス / 血管新生 / 炎症応答 |
Outline of Research at the Start |
自閉スペクトラム症(ASD)は約100人に1人が有する発達障害である。先行研究から、さまざまな遺伝子が、変異によってASD発症に関わることが明らかになってきた。中でもSparcl1/Hevin遺伝子は血管新生の抑制やシナプス形成に関わる分泌タンパク質をコードしていることが知られている。本研究では、ASD関連変異を導入したマウスを用いて、ASD関連変異が引き起こす血管形成異常に着目し、社会行動不全を引き起こすメカニズムを明らかにすることを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症は社会的なコミュニケーションの困難さや繰り返し行動などを呈する発達障害である。これまでに、大規模な遺伝子解析により、自閉スペクトラム症の発症には遺伝的な要因が関わることが明らかになってきた。しかしながら、自閉スペクトラム症の病態形成メカニズムは、シナプス形成異常などのメカニズムが提唱されているものの、全貌は明らかになっていない。本研究は、自閉スペクトラム症の責任遺伝子であるSparcl1/Hevinの遺伝子変異(W647R)をノックインしたマウス(以下Sparcl1変異マウス)の脳血管形成に着目することで、自閉スペクトラム症の発症メカニズム解明を目指している。Sparcl1変異マウスの脳組織を解析したところ、Sparcl1変異体は適切に血管周囲の細胞外マトリクスを形成することができていなかった。Sparcl1は血管新生を抑制する機能が知られていることから血管新生に与える影響を調べたところ、Sparcl1変異マウスにおいて、血管誘導遺伝子Vegfaの発現上昇や広範囲な血管先端細胞マーカーCD34の発現が観察された。Sparcl1変異体は、in vitro実験系においてミクログリアの炎症応答の活性化を示していることから、周囲の細胞も関わる可能性を含めてメカニズム解明を目指している。さらに、Sparcl1変異マウスでは、特定脳領域の血管密度や複雑性が増加していることを見出した。最後に、Sparcl1変異マウスは自閉症様行動を呈することを行動実験によって確かめた。以上の結果は、これまでに明らかにされていなかった血管形成異常による自閉スペクトラム症病態形成を示唆するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sparcl1変異による自閉スペクトラム症病態形成メカニズム解析は、当初の予定通り、順調に進展している。Sparcl1は出生前後に血管周囲に存在していたことから提唱した自閉症責任Sparcl1変異マウスでは血管新生が過剰になるという仮説は、複数の実験結果から支持されている。血管新生が過剰になるメカニズムは、(1)SPARCL1の血管周囲細胞外マトリクスの形成異常 (2)SPARCL1変異体の炎症誘導活性(3)その両方によるものであると推定している。また、Sparcl1変異マウスの自閉症様行動も確認することができ、研究の妥当性も担保された。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Sparcl1変異体による全ての脳領域の血管ワイヤリングの変容を観察するため、脳透明化とライトシート顕微鏡による観察を予定している。また、Sparcl1変異マウスにおける血管新生が過剰になるメカニズムを解析するため、組織観察による血管周囲マトリクスの詳細な解析やSparcl1変異体に対して炎症応答するミクログリアの遺伝子プロファイルを解析していくことで明らかにしていく。メカニズム解明後、過剰な血管新生を抑制することで自閉症様行動が緩和するか検証することで、自閉スペクトラム症病態形成メカニズムを明らかにしていく。
|