次世代偏光分光観測で解き明かす磁気乱流による恒星コロナ加熱
Project/Area Number |
23KJ0299
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
石川 遼太郎 核融合科学研究所, 研究部, 助教
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 磁気乱流 / 太陽 / スペクトル線形成 |
Outline of Research at the Start |
太陽光球(表面)は乱対流運動に支配されている。この乱対流運動は光球に普遍的に存在する磁場と常に相互作用し、局所ダイナモを駆動したり磁気流体波動を励起するなど諸現象の源になっていると考えられている。一方でこのような乱流現象は既存の観測装置で空間分解できず、乱流速度や磁場強度、エネルギーフラックスなどを定量的に見積もることは困難であった。米国超大型太陽望遠鏡DKISTとSUNRISE-3気球観測実験による最新の観測データに加えて輻射磁気流体シミュレーションに基づく模擬観測計算を行うことで、太陽光球における流れ場と磁場の乱流的な相互作用を定量的に評価する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
太陽光球(表面)のダイナミクスは乱対流運動に支配されている。この乱対流運動は光球に普遍的に存在する磁場と常に相互作用し、局所ダイナモを駆動したり磁気流体波動を励起するなど諸現象の源になっていると考えられている。本年度は乱流がどのような過程で駆動されるのかを明らかにするために、ひので衛星可視光望遠鏡のデータ解析および数値シミュレーションデータ解析を行なった。 これまでの研究で太陽表面の粒状斑と呼ばれる対流セルが消滅する際に分光スペクトル線幅の突発的増大が発生することが分かっていた。数値計算でこれを再現することで、粒状斑の消滅に伴い小スケールの速度場が駆動されていることを発見した。分光スペクトル線についてその高度方向の感度分布を表現する応答関数を用いて、この速度場を解析したところ、応答関数の幅よりも小さいスケールの速度場が発達していることが、線幅増大の要因であることが示唆された。 これまでの研究において観測装置として使用してきた「ひので」衛星可視光望遠鏡は2本のスペクトル線しか観測していない。このため診断能力に限界があり、このような乱流的なダイナミクスにおける物理量推定では解が一意に決まらないことが分かった。地上望遠鏡を用いて、近赤外域のスペクトル線観測を可能にすることでより良い推定ができることを示し、観測提案を実施した。米国大型望遠鏡DKISTの装置不具合により、この観測は未だ実現できていないが、米国大型望遠鏡GSTの観測時間を確保することができたため、次年度には観測を実施できる見込みである。また気球観測実験SUNRISEの準備も並行して進めており、SUNRISE、ひので、IRISの3つの飛翔体による協調観測が実現できる目処を立てることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値計算データに対して輻射輸送計算を実行することでスペクトル線の擬似観測を行い、観測した分光スペクトルとの直接比較を行うことが可能になった。また、スペクトルの応答関数を応用するとで、数値計算データから分光で見えている「乱流速度」を定量評価することも可能になり、分光スペクトル形状にとどまらず太陽大気の物理量を用いた議論が可能になった。 予定していた超大型望遠鏡DKISTによる観測は、観測所の都合により実施されていないが、その代替として米国大型望遠鏡BBSO-GSTの観測提案を行い採択された。次年度はSUNRISE-3気球観測実験も行われる予定であり、最新の観測データを入手する目処がたっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定していた超大型望遠鏡DKISTによる観測は、観測所の都合により実施されていないが、その代替として米国大型望遠鏡GSTの観測提案を行い採択された。次年度はこのGSTの観測に加えてSUNRISE-3気球観測実験も行われる予定であり、最新の観測データを入手する目処がたっている。ひので衛星可視光望遠鏡偏光分光観測装置は安定性及び偏光測定精度が非常に高い唯一無二の太陽望遠鏡であるが、観測波長域が狭く2本のスペクトル線しか観測していない。結果として診断能力に限りがあることが課題であった。DKIST、GST、SUNRISE-3などの最先端の観測装置とひので衛星の共同観測を実施することで、近紫外域から近赤外域までの幅広い波長帯で多数のスペクトル線を観測することが可能になる。特に光球深部を観測可能な近赤外の鉄の吸収線は、乱流が発達する様子とそれに伴う磁場の変化を詳細に捉えることが期待できる。また電離カルシウム線ではより上空の物理量診断が可能であり、光球での磁気乱流が上層大気に与える影響を評価できる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)