近代オスマン帝国における医療専門職の変容と国家―プロソポグラフィ及び社会史的分析
Project/Area Number |
23KJ0325
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 真吾 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | オスマン帝国 / 医師 / 医学 / プロソポグラフィ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、近代オスマン帝国における国家医療の地方普及過程において重要な役割を果たした市行政医に関する研究であり、主に以下の二点の解明を目的としている。 第一にその出自や教育的背景に注目し、全体に占める文民医学校出身者の割合やその変化、出身階層や出身地といった社会的出自の特徴を明らかにする。第二に医師の社会的地位の観点から、診療報酬、非正規医や偽医師との競合、そして職業利益団体の結成に着目し、医師たちが自らの社会的地位の確立を模索した主体的取り組みを検討する。 これらを通じて、近代オスマン帝国における国家医療の展開や医学と社会の関係の変化、そして近代オスマン帝国の国家構造の特徴を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究課題を遂行する上での重要史料と位置づけている近代オスマン帝国の官吏の履歴文書、つまりDahiliyye Sicill-i Ahval Idare-i Umumiyyesi Defterleri (DH. SAID. d.) に分類される帳簿群を対象とした海外現地調査を行った(トルコ共和国イスタンブル、大統領府オスマン文書館)。この調査の結果、250名程度の「行政医」の履歴文書の収集を行うことができた。ただし今回の期間で調査し得たのは対象とする台帳の一部であり、次年度以降も継続して調査を行う必要がある。その他、トルコ国内で出版されたものを中心に、研究課題に関する外国語の研究書・研究論文の収集を行った。 研究成果のアウトプットとして、6月に慶應義塾大学三田キャンパスで開催された三田史学会東洋史部会で研究発表を行った。また、9月にはオーストラリア・ウィーンで開催された国際学会(Turkologentag 2023)で研究発表を行った。近代オスマン帝国における社会階層に関するパネルセッションのなかで近代オスマン帝国における医師の社会的地位を扱い、ディスカッサントやその他の報告者およびフロアの聴衆と有意義な意見交換を行うことができた。また、三日間にわたる大規模国際学会の様々なセッションを聴講し、国外のオスマン帝国史/トルコ研究の状況を具に知ることができた。 また刊行物としては、近代オスマン帝国の国家的な医療・衛生制度と、そこにおける市行政医の役割に関する英語論文を国内の英文紀要に投稿した。すでに掲載が決定し、2024年4月現在、校正作業の途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず史料の収集に関しては、今後継続して調査が必要とはいえ、当初の予想以上に医師の履歴文書を発見することができた。 また、研究成果の公表については、計画していた研究報告2つに加え、まだ未刊行ではあるが英文論文の掲載が決まり、計画以上の成果が得られた。 しかし収集した史料の読解について、上記の英文論文の執筆などに時間を取られたことで計画どおりに進んだとは言い難い。 以上を総合して、(2)おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、本研究の中心史料であるDahiliyye Sicill-i Ahval Idare-i Umumiyyesi Defterleri (DH. SAID. d.) に分類される帳簿群の調査を継続し、医系官吏の履歴文書をさらに収集する。そのためのトルコ・イスタンブルにて現地調査を行う。現在の読解の進展度合いを考えると、その成果についての研究報告は早くとも年度の後半、あるいは次年度以降になると思われる。 研究成果の公表については、本研究課題の内容を含む単著の出版を進めており、2024年度中の出版が計画されているので、その執筆、校正などの作業を行う。また同時に、前年度に研究報告は行った近代オスマン帝国における医師の社会的地位に関する論文を学術誌(国内/国外)に投稿する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)