Project/Area Number |
23KJ0353
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小室 仁 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 心不全 / 心臓線維芽細胞 |
Outline of Research at the Start |
従来の心不全研究は心筋細胞に着目したものが多かったが、近年は非心筋細胞が注目されており、申請者もこれまでの研究で心不全特異的な心臓線維芽細胞が存在し、その細胞に高発現する転写因子c-Mycが心不全の病態に関与していることを明らかにした。そこで心不全特異的な心臓線維芽細胞が分泌する分子を特定し、その中から心不全の病態に関与し、新規治療薬になりうるものを同定する。また心不全患者は多くの併発疾患を持つことが多いが、この分泌分子が併発疾患の原因になっていないかも検討する。また線維芽細胞解析に用いた手法を他の非心筋細胞にも応用し、心不全発症における非心筋細胞の役割の全貌を解明し、新規治療法の開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者はscRNA-seqにて心臓線維芽細胞の遺伝子発現パターンには不均一性があり、6つのサブタイプに細かく分類できることがわかった。このサブタイプの中から心不全期特異的に出現する線維芽細胞集団に着目し、Heart Failure(HF) fibroblastと定義した。HF fibroblast群は線維芽細胞集団の中で転写因子c-Mycを特異的に発現していた。続いて、心臓線維芽細胞特異的c-Myc欠失マウスと心臓線維芽細胞特異的c-Myc過剰発現マウスを作成した。野生型(WT)マウス、心臓線維芽細胞特異的c-Myc 欠失(KO)マウス、心臓線維芽細胞特異的c-Myc過剰発現 (OE)マウスに大動脈縮窄術(TAC)を施して圧負荷による心不全を誘導したところ、WTマウスに比較してOEマウスにおいて心機能の低下が顕著となり、逆にKOマウスでは心機能の低下が抑制された。次に、成獣マウスの心臓線維芽細胞においてレトロウイルスベクターを用いてc-Mycを過剰発現させてその培養上清を培養心筋細胞に添加したところ心不全マーカーの上昇が認められた。以上の結果から、HF fibroblastにおいてc-Mycにより発現上昇したなんらかの液性因子が心筋細胞に作用した可能性が示唆された。そこでWTマウスのshamマウスとTACマウス、KOマウスの心臓でRNA-seqを行い、そのデータとscRNA-seqのデータからHF fibroblastでCxcl1というケモカインが発現上昇していることを見出し、Cxcl1の特異的受容体であるCxcr2が心筋細胞に発現していることも確認した。最終的にはCxcr2の中和抗体をTACマウスに投与し心不全が抑制されることを示し、心臓線維芽細胞がc-Myc-Cxcl1-Cxcr2経路を介して心筋細胞に直接作用して心不全の病態に関与していることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、心臓線維芽細胞がどのようにして心不全の病態に関与しているかを解明し、仮説通り、実際に作用している液性因子を見出すことができた。しかし、液性因子以外にもmiRNAの存在も検証したが、こちらはいまだに良いmiRNAを発見には至れていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、心臓線維芽細胞からCxcl1というケモカインが分泌され心不全の病態に関連していることがわかったので、このケモカインが他臓器にどのように影響しているかを検証していく。また、miRNAも引き続き探索する予定である。 また、ヒトの心不全時にCxcl1が血中で上昇していることは知られているので、臨床情報と統合し、治療反応性、予後予測の新たなバイオマーカーになる可能性を検討する。
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