量子エンタングルメントを用いた量子物質のダイナミクスの研究
Project/Area Number |
23KJ0436
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川畑 洸貴 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 場の量子論 / 量子誤り訂正 / 共形場理論 |
Outline of Research at the Start |
近年、量子情報理論で開発されたテクニックが理論物理のさまざまな分野で用いられている。その中でもとくに量子符号理論はその応用が広く、多数の量子力学的自由度が複雑に絡み合ったエンタングルメント状態にある量子物質をよく特徴づける。本研究では、量子符号理論を用いて、臨界点で協力現象が発現している量子多体系および物質の極限的状態であるブラックホールのダイナミクスを解析する。さらに、量子多体系とブラックホールの等価性を主張するホログラフィー原理を量子符号理論の視点から統一的に記述することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は誤り訂正符号を用いた2次元共形場理論の研究を中心に行った。2次元共形場理論と誤り訂正符号の関係は40年ほど前に発見されて以来、古典誤り符号を用いた研究が中心だったが、最近になって量子誤り訂正符号と2次元共形場理論の対応が確立された。 我々は [SciPost Phys.Core 6 (2023) 035, JHEP 12 (2023) 127] において、量子符号の基本自由度を2準位のキュービットから高次元対応物に拡張することで構成の一般化を行い、ホログラフィー対応を調べる上で重要であるが、一般には計算が困難な平均分配関数の解析的な表式を与えた。また、これらのボソン理論がもつ局所構造を保ったまま、大域的対称性をゲージ化することでフェルミオン理論を構成し、その理論が持つ超対称性構造の解析を行った [Phys.Rev.D 108 (2023) 8, L081901]。 さらに、従来の古典誤り訂正符号との対応をより一般のクラスに拡張することで、フェルミオン理論が構成できることを指摘した [JHEP 05 (2023) 096]。フェルミオンを含む場合には状態空間が時空のスピン構造に依存しており、あるスピン構造では符号理論で知られているshadowが理論の状態空間に現れることを発見した。この理論が拡大超対称性をもつために必要な条件を調べ、楕円種数の計算手法を開発した [JHEP 01 (2024) 130]。 これらの研究では、従来の誤り訂正符号を用いた場の量子論の構成手法を大きく拡張し、その応用先として超対称性の探索や楕円種数の計算などを与えた。また、フェルミオン理論において、これまでのボソン理論では知られていなかった誤り訂正符号との新たな対応関係を発見した。これらの結果は場の量子論がもつ量子誤り訂正の構造を指摘するもので、量子物質のダイナミクスを調べる上で意義深いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、量子計算の実現に不可欠なテクニックである量子誤り訂正符号を用いて場の量子論および重力理論のダイナミクスの解明を目指す。今年度は、2次元量子多体系を記述する共形場理論に着目して研究を行い、5編の論文を出版した。とくに、フェルミオン理論と誤り訂正符号の対応関係はこれまでに知られていた枠組みを超えたものであり、ボソン理論では現れないスピン構造への依存性を誤り訂正符号の観点から捉えることができた。この対応関係は2次元場の量子論を含むより広いクラスの量子系への応用が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、2次元超対称理論における超対称性の構造を解明することを目指す。超対称性の生成子である超対称カレントは2次元理論で誤り訂正符号の構造を持つと信じられている。これはいくつかの具体例を用いて確認されているが、より一般のセットアップでも成立するものと期待される。来年度は超対称カレントの具体形が未だに知られていない理論へ応用してさらなる具体例の構築を試みる。また、今年度は2次元場の量子論で現れる頂点演算子に着目して誤り訂正符号の構造を同定したが、類似の構造は4次元ゲージ理論の線演算子にも現れると考えられる。すでに誤り訂正符号との関係が知られている理論での対応関係の精密化を進めると同時に、さらに広いクラスの理論への拡張も目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)