Project/Area Number |
23KJ0477
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 90030:Cognitive science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八代 龍門 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 脳情報デコーディング / アンサンブル知覚 / 物体認識 / 深層生成モデル |
Outline of Research at the Start |
人間は環境から得た情報を基にさまざまな意思決定を日常的に行う.本研究では,複数の視覚刺激を用いた心理物理学実験と脳波計測により,知覚的/経済的意思決定課題中の脳活動をミリ秒単位で計測し,意思決定に至るまでに脳内で展開する情報処理過程(いつどのような計算が実行されるか)に迫る.解析では,機械学習モデルにより脳活動から知覚や認知の内容を読みだす手法(デコーディング)を活用する.なお,この手法は近年の神経科学分野で多用されているが,特に脳波など非侵襲計測で得たデータを用いたデコーディングは,主に精度面で課題も多い.本研究では,デコーディング一般の精度向上や技術的限界の克服を目指した実験や解析も行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,アンサンブル知覚と物体認識の脳情報表現に焦点を当て,研究を進めた. 研究Ⅰ.アンサンブル知覚の時間ダイナミクス解析:ヒトは複数の視覚情報の平均的な傾向(アンサンブル)を素早く知覚できる.しかし,具体的にどのタイミングでアンサンブルに相当する情報表現が脳内で成立するのかは,明確な知見がなかった.その主な原因は,従来研究のほとんどが,脳活動計測をともなわない心理実験のみの方法論に基づくためである.そこで本研究では,ヒト被験者が複数の方位の平均方位を知覚判断する際の脳波を計測し,機械学習モデルを適用することで知覚した情報を脳波から解読することで,より直接的にアンサンブル知覚の脳内での成立時点を明らかにする研究を考案し実施した.その結果,ヒトの脳には500ミリ秒前後で平均方位に相当する情報表現が立ち現れることが見出された.この成果を国際学会にて発表し,その数か月後にはプレプリントとして公開した. 研究Ⅱ.脳応答空間内の物体や風景の表現形状の理解:ヒトは環境に存在する無数の物体や風景を瞬時に認識できる.近年の重要な研究背景として,多様な物体や風景が脳にどのように表現されるかを調べるため,数万枚の自然画像に対するfMRI応答データの収集と解析が進んできた.しかし,そもそもヒトが日常で知覚する物体や風景の数は数万をはるかに超える.したがって,数万枚の自然画像に対する脳計測でさえも,脳が表現する情報を網羅的に理解したとは言い難い.そこで,最小限のfMRI応答データ,脳応答予測モデル,および画像を生成する深層生成モデルを組み合わせて,様々な画像を無数に作り出すことで,物体や風景の脳内表現形状を理解する新たな解析の枠組みを着想した.着想からわずか数ヶ月で,この枠組みがまだ見ぬ新たな物体の表現形状を見出せる可能性を示す証拠を得た.この成果を速やかに国内学会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,研究成果を国内外の複数の学会において発表を行うことに加えて,うち1つをプレプリントとして速やかに発表した.また研究成果が対外的にも注目され,関連分野の若手研究者が名を連ねるシンポジウムにて招待講演,企業の研究者との共同研究にもつながった.一部当初の研究計画から変更した点はあったものの,対外発表や付随する研究機会の拡張を総合的に勘案して,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,今年度プレプリントとして公開した論文の国際誌への投稿・掲載を進める.また,現在進めているもう1つのプロジェクトについては,現在予備実験と解析が概ね完了した段階である.よって今後は,本実験(自然画像知覚時のfMRI応答計測)を実施し,解析を進める.その過程では,結果を国際学会にて発表し,他の研究者の意見も聞きながら研究をブラッシュアップさせ,今年度中には国際誌に論文を投稿・掲載することを目指す.
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