Project/Area Number |
23KJ0517
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
光本 泰知 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | アンモニア / サマリウム錯体 / シクロペンタジエニル-アミド配位子 / シクロペンタジエニル-フェノキシ配位子 / モリブデン錯体 / プロトン共役電子移動 / グリーンアンモニア / 電解合成 |
Outline of Research at the Start |
窒素ガスと水から二酸化炭素を排出しない方法で製造するグリーンアンモニアは、エネルギーを貯蔵・運搬するエネルギーキャリアの候補として注目されている。申請者はグリーンアンモニア合成を指向し、最近開発に成功したモリブデン錯体を触媒として用いる、窒素ガスと水とヨウ化サマリウムからアンモニアを合成する反応系に着目した。この反応系の駆動力を還元剤由来の化学エネルギーから電気エネルギーへと転換することができれば、持続可能なアンモニア合成が実現する。本研究では、サマリウム還元剤を電解還元により再生することで、サマリウム錯体の触媒化によるグリーンアンモニア合成反応の開発に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
窒素ガスと水から二酸化炭素を排出しない方法で製造するグリーンアンモニアが、エネルギーキャリアの候補として注目されている。当研究室で開発した、窒素ガス、水、ヨウ化サマリウム(II)、およびモリブデン触媒を用いるアンモニア合成反応系を実用化するために、触媒量のサマリウム錯体を用いたアンモニア電解合成系の開発が求められている。サマリウム錯体の触媒化には、反応後のサマリウム(III)錯体を元のサマリウム(II)錯体へと1電子還元して、還元剤として再利用する必要がある。アンモニア電解合成系の開発に先駆けて令和5年度は、触媒化が可能なサマリウム錯体の設計と合成、および合成に成功したサマリウム錯体を触媒として用いるアンモニア合成反応の開発を行なった。 触媒化が可能なサマリウム錯体として、従来広く用いられてきたヨウ化サマリウムやサマリウムトリフラートに代えて、多座配位子としてシクロペンタジエニル-アミドおよびシクロペンタジエニル-フェノキシ配位子を有する新規サマリウム錯体を設計した。次に、多座配位子の二カリウム塩とヨウ化サマリウム(III)から錯形成を行うことで、目的の多座配位子を有するサマリウム(III)錯体を合成した。最後に、常温常圧の窒素ガス雰囲気下、触媒として合成に成功した新規サマリウム錯体および当研究室で開発したモリブデン錯体、還元剤としてメタロセン、プロトン源としてピリジン共役酸を反応させることで、サマリウム錯体あたり約10当量に相当するアンモニアが生成することを見出した。 本結果はサマリウム錯体の触媒化が達成されたことを示しており、グリーンアンモニア電解合成系の基盤となる重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、多座配位子としてシクロペンタジエニル-アミドおよびシクロペンタジエニル-フェノキシ配位子を有する新規サマリウム錯体を設計し、合成に成功した。さらに、これらの錯体を触媒として用いるアンモニア合成反応系の開発に成功した。したがって、本研究課題は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、高活性なサマリウム触媒の開発と、モリブデンおよびサマリウム錯体を触媒とするアンモニア電解合成系の開発を検討する。触媒開発では、シクロペンタジエニル-アミド配位子上に種々の置換基を導入したサマリウム錯体を合成し、触媒活性を比較する予定である。電解合成系の開発では、電解セルのカソード側で開発に成功したアンモニア合成反応を、アノード側で水の酸化反応を行う予定である。この反応系の実現は、窒素ガスと水から電気エネルギーを駆動力としてアンモニアを合成することを意味しており、グリーンアンモニア合成が可能になる。
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