Project/Area Number |
23KJ0530
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39030:Horticultural science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤堀 真子 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ファイロジェン / ファイトプラズマ / 緑色花卉創出 |
Outline of Research at the Start |
「ファイロジェン」は植物病原細菌ファイトプラズマが分泌する葉化誘導因子で、感染した植物の各花器官の構造を維持したままがく片を葉に(葉化)、花弁を緑色にする(緑化)。ファイロジェンとその作用標的である花器官形成遺伝子はそれぞれ、ファイトプラズマと植物において高度に保存されることから、あらゆる被子植物の緑色花き品種の開発に高い利用価値が期待される。しかしファイロジェンはジャスモン酸合成にも作用し、農業上有害な昆虫を誘引する可能性がある。そこで本研究では、進化分子工学的手法を用いて昆虫非誘引性の改変ファイロジェンを作出し、近年の緑色花き需要に応えるべく、新たな緑色花き品種の創出を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物病原細菌ファイトプラズマ由来の花器官の緑色化誘導タンパク質「ファイロジェン」の媒介昆虫誘引関連部位を解明・改変し、様々な花き品目に対して汎用性が高い緑色花き誘導技術の創出を目指す。 今年度は、①ファイロジェンと相互作用するJA経路関連因子の網羅的探索、②多様なファイトプラズマ種から緑色花化に関与するMTFのみと特異的に相互作用する新規ファイロジェンを効率的に探索するためのファイトプラズマ検出技術の開発を行った。①:シロイヌナズナのcDNAライブラリーを用いたY2Hスクリーニングにより、ファイロジェンと結合する新規因子を網羅的に探索した。その結果、ファイロジェンは花形成に関与するMTFだけでなく、花器官以外で機能するMTFや、MTF以外のJA経路関連因子とも結合することが明らかになった。さらに、ファイロジェン存在下での蓄積量を比較したところ、いくつかの因子についてはファイロジェンにより分解されることが示唆された。②:ファイロジェンの配列と機能はファイトプラズマ種により異なるため、多様なファイトプラズマの中には緑色花を誘導しつつ昆虫を誘引しないファイロジェンホモログをもつ種が存在する可能性がある。一方で、既存のファイトプラズマの検出系は、そのほとんどが種特異的なものであり、多様なファイトプラズマを網羅的に検出することはできない。そこで、ファイトプラズマ属の網羅的検出が可能なLAMP検出技術を新たに開発した。本技術は、様々な野外検体からの高感度、簡便、迅速、特異性の高いファイトプラズマ検出を可能にし、効率的な新規ファイロジェンの探索を可能にするものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が掲げる主要な目標の一つがファイロジェンの媒介昆虫誘引関連部位を解明し、昆虫非誘引型の緑色化誘導ファイロジェンを作出することである。本年度は、ファイロジェンと相互作用するJA経路関連因子の網羅的探索を実施し、ファイロジェンと結合することが明らかになった因子のうちいくつかについては、ファイトジェンによる分解が示唆された。加えて、昆虫非誘引型の新規ファイロジェンの探索を目的とした網羅的検出系を確立できた。ファイロジェン形質転換体におけるJAの定量解析はできなかったが、本年度の進捗は当初の目的を達成する上で極めて重要な成果であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、JA経路関与因子とファイロジェンとの結合様式を解析して昆虫誘引機構を明らかにするとともに、JA経路関連因子と結合しないような改変ファイロジェンを作出することで、病原体の感染拡大を防ぎつつ鑑賞価値の高い緑色花き創出技術の創出に取り組む予定である。
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