Project/Area Number |
23KJ0547
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 18020:Manufacturing and production engineering-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 峻 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 工作機械 / 高精度加工 / 大規模センシング / 熱変位補正 / サイバーフィジカルシステム |
Outline of Research at the Start |
切削負荷の大きい機械加工では,発熱・振動の影響により数10~数100μmの寸法・形状誤差が生じる.加工形状は工具の送り軌跡の包絡線によって創成されるため,被加工物の形状精度は,加工機の運動(位置決め・送り)精度を超えることが出来ない.これが,「母性原理」という,加工における大原則である. 本研究の目的は,加工機の構成や加工プロセスによらない,一元的な誤差補正システムの構築である.その方法として,①熱的・幾何学的・動的な加工誤差を考慮したモデル,②温度・振動の大規模機上計測システムを提案する.①と②を統合し,リアルタイムで加工誤差を補正することで,母性原理にとらわれない高精度加工の実現を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
切削負荷の大きい機械加工では,発熱・振動の影響により数10~数100 μmの誤差が生じる.再加工や段取り替え,メンテナンスのためのダウンタイムによる人的・機械的なコスト増加と生産効率の低下を防ぐため,製造現場における工作機械の高精度化が求められている. 工作機械の熱変形は,発熱,熱伝導・熱伝達,温度勾配の発生,熱膨張による構造的変形,工具-被加工物間の相対変位という流れで生じている.部品精度に寄与する相対変位は加工中に直接計測することが困難なため,手前の現象で取得可能な物理量(ひずみ,温度,熱流束,モータ電流など)をもとに熱変位を推定する必要がある.計測とモデル化の難易度はトレードオフの関係にあり,そのバランスが良い温度を入力,変位を出力として熱変位を推定することが一般的である. 本研究では3軸横型マシニングセンタを対象とし,300点を超える大規模温度センサを用いた多点温度入力による熱変位推定モデルを構築している.有限要素モデル上にマッピングした多点温度を補間し,詳細な温度分布を直接得ることで高精度な熱変位推定を可能としたが,計算速度に課題があった.そこで今年度は,クリロフ部分空間法によるモデル低次元化により,推定精度を損なうことなく計算速度を高速化した.さらに,状態空間マトリクスを用いて各温度点の影響度 (μm/℃) を算出することで,必要十分なセンサの数や配置を議論することが可能となった. また,有限要素法による物理モデルベースのアプローチとは別に,入出力の関係を統計的なフィッティングによって記述するデータ駆動モデルについても検証を進めた.最小二乗法による線形重回帰を発展させたLASSO回帰モデルにおいて,L1正則化項の寄与度パラメタを変化させることで,センサ数の削減や影響度の解析が可能となり,影響度が小さいが無視できないセンサの存在が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱変位推定モデルに関しては,各センサの影響度を算出して配置戦略について議論できるようになった点において,当初の計画以上の進展があった.他の研究グループでは例を見ないほど大量のセンサを取付けたことによって,工作機械自体に精緻な感覚を持たせることができ,熱的な観点から構造・材料の設計に還元できる見通しが立った. また,大規模センサアレイの改良開発についても,ネオジム磁石による取付け性向上とエポキシポッティングによる防水・防塵化を進め,実際の工場で稼働する機械を対象に短時間のセットアップで実験ができるようになった. 一方,熱と動特性の関連性については,昨年度実施した実験データから有意な結果が得られておらず,モデル構築の方針転換が必要となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
複合加工機は,1台でCNC旋盤とマシニングセンタ両方の機能を備えており,工程集約による変種変量生産への対応と加工能率の向上に強みを持つ.しかし,小型・多軸化によって駆動軸の幾何関係が複雑化し,構造的制約から剛性が低下するため,加工精度の維持が課題となる. よって,これまで構築してきた大規模機上計測システムと熱変位推定モデルを統合し,CNC複合旋盤を対象に加工誤差補正の実証実験をおこなう.
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