Project/Area Number |
23KJ0568
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 光智 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 志村多様体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では楕円曲線と呼ばれるある種の方程式の解の内、捻じれ点と呼ばれるタイプの解を探す。楕円曲線は数学の多くの分野で自然に現れる対象であるため、これを理解することは多くの応用を持つことが考えられる。私はこれを先行研究と同様に、モジュラー曲線と呼ばれるある種の方程式を調べることにより達成しようと考えている。さらにはモジュラー曲線の一般化にあたる志村多様体と呼ばれる方程式についても同様の理論が言えないかを研究する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
私は去年度、QMアーベル多様体と呼ばれるある種のアーベル多様体を分類している志村多様体(四元数環に付随する志村多様体)の有理点に関する研究を行なった。私はQMアーベル多様体から誘導されるガロア表現を調べることにより、このタイプの志村多様体の中で、レベルガンマ1と呼ばれる種類の志村多様体がかなり多くの代数体上で有理点を持たないことを証明し、それを論文にまとめ論文誌に提出した。さらに研究集会で本結果を講演した。 また同様の手法を発展させることにより、レベル1と呼ばれる種類の志村多様体もかなり多くの代数体上で有理点を持たないことを証明した。またこの結果においては、大域点の非存在にも関わらず局所点は全局所で持つ、すなわちハッセの原理と呼ばれる現象が破れているだろうと考えているが、その場合においてもそのハッセの原理の破れがブラウワーマニン障害と呼ばれる現象で説明されることを証明した。 志村多様体は、現在数論の究極の目標とも言えるラングランズ予想と呼ばれる予想において非常に重要な立ち位置を占めており、その点でその有理点を調べる本研究は大きな意義があると考えている。 また本研究はディオファントス幾何と呼ばれる、方程式の有理数解、もしくはより一般に代数体上の有理点を探すという分野においても有用な例であると考えている。ディオファントス幾何ではこれまで次元の低い多様体、たとえば曲線や曲面が主に扱われていたが、私が本研究で扱った志村多様体は一般次元の多様体であるため、この点でも大きな意義があると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り得た結果を論文にまとめ論文誌に提出することができた。さらに同分野において計画段階では考えていなかったもう一つの結果を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画通り四元数環に付随する志村多様体の有理点に関する研究を続ける。まずは去年度得たもう一つの結果を整理し、論文誌に投稿する。その結果では、基礎体となる代数体がある種のCM体のある種の類体(ヒルベルト類体より少し小さな類体)を含んでいる場合は例外として取り扱っておらず、実際にその場合には志村多様体が有理点を持つことが言えていた。しかしその結果を証明する過程で、逆に基礎体がそのような類体を含んでいないならば常に志村多様体が有理点を持たないのではないかとの考えに思い至ったため、この点に関しても調べる予定である。(去年度の論文の精密化。) さらに今まで扱っていた四元数環に付随する志村多様体に限らず、他のタイプの志村多様体にも同様の理論が適用できないかを考える予定である。(主にユニタリ志村多様体など)
|