Project/Area Number |
23KJ0624
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
七宮 知之 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | がん関連線維芽細胞(CAF) / 細胞外小胞 / miRNA / オルガノイド / RNAシーケンス / 大腸がん |
Outline of Research at the Start |
大腸がん100検体を対象とし、患者由来大腸がんオルガノイドとCAFをそれぞれ樹立する。CAF由来細胞外小胞を回収して内包ncRNAを網羅的に検出する。加えてCAF自体のRNA-Seqも同時に行い、CAF群サブタイプを同定する。 各サブタイプ特異的なncRNAをオルガノイドへ導入し、その前後の遺伝子発現および機能的変化をシングルセルRNA-Seqにより観察する。同定されたncRNAを発現するCAFをもとに、ncRNA編集株を作成して対応するオルガノイドと共培養し、CAF由来ncRNAを原因とするフェノタイプを観察する。複数の分子経路を個々に検討し、がん悪性化メカニズムを俯瞰的に理解する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体内を忠実に再現した条件下にて、細胞外小胞由来miRNAを介したがん細胞とCAFとの細胞間相互作用を解明する。さらに、同定されたがん幹細胞性に寄与するmiRNAの機能解析を通し、新規治療標的候補の選定を目指す。 集積が簡便な大腸癌症例を対象とし、患者由来大腸がんオルガノイド(PD-CO)と線維芽細胞(PD-CAF)を樹立する。はじめに、PD-CAF自体のRNAseqを行い、CAFサブタイプを同定し、続いてPD-CAF由来EVの内包miRNAをsmall(sm) RNAseqにより網羅的に検出することでCAFサブタイプ特異的な高発現EV-miRNAを選定する。選定されたmiRNAをトランスフェクションし、標的遺伝子の発現変化および下流の機能変化を通してmiRNAを理解する。 大腸がん患者の手術検体から単離・樹立された32のPD-CAF/NFサンプルを用いてRNAシーケンスを実施し、発現差解析に基づいたクラスター作成により2つのCAF群(CAF-A、CAF-B)を同定し、GO解析も実施することでNFと大きく異なる性質をもつサブタイプCAF-Bを同定した。加えて培養上清からEVおよび内包RNA(EV-RNA)を回収・精製し、23サンプルのPD-CAF由来EV-miRNAを用いてsmRNAシーケンスを行い、サブタイプ特異的に濃縮したmiRNAを複数検出した。qPCRによりバリデーションを行い、CAF-B特異的にエンリッチしたEV-miRNA「miR-xxxx-5p」を同定した。 同定したmiRNAは先行研究においてどの癌腫、正常組織においても標的や機能が一切明らかとなっていないため、新規性の高い分子機序が期待され、治療標的としての可能性も視野に入れつつ、生物学と医学の両側面から幅広く探索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸がん患者の手術検体から単離・樹立された32のPD-CAFサンプルを用いてRNAシーケンスを実施した。発現差解析に基づいたクラスター作成により2つのCAF群(CAF-A、CAF-B)を同定し、Gene Ontology(GO)解析によって細胞内特性も評価することで分泌タンパク質関連(マトリソーム)、細胞接着およびイオン輸送に関連した経路の機能変化が確認され、NFと大きく異なる性質をもつサブタイプCAF-Bを同定した。 加えて培養上清からEVおよび内包RNA(EV-RNA)を回収し、電子顕微鏡とナノ粒子トラッキング解析により定量し、23サンプルのPD-CAF由来EV-miRNAを用いてsmRNAシーケンスを行い、サブタイプ特異的に濃縮したmiRNAを複数検出した。qPCRによりバリデーションを行い、CAF-B特異的にエンリッチしたEV-miRNA「miR-xxxx-5p」を同定した。 同定されたmiRNA「miR-xxxx-5p」の標的遺伝子予測と機能解析を進行中であり、4つの予測ツールとTCGAデータベースを参照してmiR-xxxx-5pの標的候補を絞り込み、大腸癌組織で発現の低い標的mRNA候補をネットワーク解析により選出した。当初予定していた「miRNAの同定」と「標的候補の探索」という初年度目標は達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はPD-COに対してmiRNAを大腸がん細胞株(HCT116、SW480)にトランスフェクションし、qPCRによる遺伝子発現変化の検出とレポーターアッセイによる標的遺伝子3UTRへの直接作用の検証により、真のmiRNA標的遺伝子を同定する。そして標的遺伝子から推測される下流機能に基づき増殖や浸潤に関するアッセイ系を選択し、miRNA-mRNA軸の機能解析を行う。 その後、PD-COと遺伝子改変PD-CAF/NFの共培養による新規治療標的候補の探索に移行する。着目したmiR-xxxx-5pの改変株をPD-CAFをもとに作成し、対応するPD-COとの共培養を通してがん悪性化の抑制を検討する。細胞内在性EVを染色することでPD-CAF由来EVに標識を付加し、PD-COへのCAF-EVの送達を確認する。その後、qPCRにより単/共培養時の遺伝子発現変化を比較し、EV送達による対象miRNAの発現上昇とそれに伴う標的遺伝子mRNAの発現低下を評価する。さらに、EV分泌阻害剤およびmiRNA特異的阻害剤も活用することで、遺伝子発現変動へのEVの寄与を証明する。
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