Project/Area Number |
23KJ0656
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 47050:Environmental and natural pharmaceutical resources-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志茂 将太朗 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 非タンパク質性アミノ酸 / 立体選択性 |
Outline of Research at the Start |
自然界で生物が作り出す化合物の中には様々な環状構造が含まれている。中でも炭素原子三つが結合したシクロプロパン環は特徴的な角度で置換基が固定されている他、環が開いて他の物質と反応することで様々な活性を示すことが知られている。本研究では生体内でこのシクロプロパン環を立体選択的に生産する酵素に着目し、その環構造の構築過程やどのように立体化学を制御しているのかを明らかにすることを目標とする。天然における環構造構築がどのようになされるのかに関する知見が得られる他、医薬品などの酵素的な生産にも繋がる発見が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者は既にBelLやHrmJがペプチド天然物に含まれる非タンパク質性アミノ酸であるニトロシクロプロピルアラニン(Ncpa)を立体選択的に生合成することを報告している。Ncpaはシクロプロパン環にニトロ基とアラニンの二つの置換基が結合した構造を持っており、その取りうる立体化学は全部で4通りある。BelLとHrmJはそのうち、二つの置換基が環に対して反対方向に向いたトランス体のうち一方を選択的に生合成する。 BelLの酵素アミノ酸配列を元にコンピュータを用いて解析すると、類似する酵素が約170確認され、そのうちおよそ80の酵素についてはBelLの基質である6ニトロノルロイシンの生合成に関わる酵素と遺伝子上で近くに位置していた。これはこれらの酵素もBelL同様にNcpaを生合成することを示唆していたため、これらのBelLホモログの酵素活性を調査した。結果、調査した9のホモログ酵素についてNcpaの生産が確認され、NMRやX線結晶構造解析の結果からこれらが二つの置換基が環に対して同じ方向を向くシス体のうちどちらかを生合成することを明らかにした。 酵素アミノ酸配列と生合成されるNcpaの立体化学の組み合わせを元にNcpaの立体化学制御に関与していると思われるアミノ酸残基を置換した多様体を作成し、立体選択性の変化を確認した。その結果、活性中心付近のアミノ酸残基の親水性側鎖や基質結合部周辺の空間の大きさがNcpaの立体制御に関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二置換シクロプロパン環の立体化学は、SS、RR、SR、RSの組み合わせの4通りが考えられる。in silicoでの解析を元に研究課題開始前に発見していたHrmJ(RR)、BelL(SS)に加えて、SRとRSの立体化学を持つニトロシクロプロピルアラニン(Ncpa)を生合成するホモログ酵素を発見した。調査した9酵素のうち3酵素はSSとRSの立体化学を持つNcpaの混合物を与えたが、これらの結果を元に生合成するNcpaの立体化学と対応して変化が見られるアミノ酸残基を置換して活性の変化を調査した。 結果、いくつかのアミノ酸残基について立体選択性の変化が確認され、Ncpaの立体化学制御に関与していると思われるアミノ酸残基を特定した。以上の結果を踏まえ、本年度は当初の目標を概ね達成したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画における残る課題は、環化メカニズムの解析と、酵素の機能改変、未知のニトロシクロプロパン環含有天然物の調査である。環化メカニズムの解析については現在基質ホモログを用いた解析が進行中である。機能改変については、立体選択性の調査と併せて酵素多様体を作成することで基質特異性の緩和が達成できるかを調査する。未知のニトロシクロプロパン環含有天然物の調査については発見しているホモログ酵素遺伝子付近を網羅的に解析するも、大規模な骨格構築を担う酵素遺伝子が確認できなかったことから新たな天然物の単離精製は比較的困難であり、酵素自体の機能解析に注力する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)