Project/Area Number |
23KJ0665
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
納富 祐典 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | アリ / 触角 / アクティブセンシング / 行動解析 / 高速度撮影 / トラッキング / 内部状態 / 意思決定 |
Outline of Research at the Start |
アリは他の多くの昆虫と同様に外界を積極的にサンプリングして,自らの置かれている環境や周囲の物体の性質を認識する。このアクティブセンシングの観点において,接触刺激などの最も基本的な機械受容に関する研究はその多くが記述的なもので,行動パターンそのものに対する詳細な定量解析ほとんど行われていない。本研究ではまず,最新の画像処理技術を用いてアリの触角運動などを定量的に解析することで,効率的なアクティブセンシング戦略の解明を図る。また,触角運動パターンの定量を複数個体間の相互作用にも拡張することによって,機械刺激による新しい情報伝達メカニズムの解明も見据える。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は当初提出した研究計画調書と同様に基本となる実験システムの構築に尽力した。様々な行動実験を可能にする柔軟かつ堅牢な実験装置の開発、約700fpsの高速度カメラの複数台導入、深層学習を利用した高効率なトラッキング手法との連携など、次年度以降の研究の遂行に重要な仕組みを整えた。本実験システムは多様な実験パラダイムにおける適用を想定しており、実際に少しの増築のみで全く異なる機能を持った実験アリーナとして機能することを確認している。これは今後研究を進めていく上で生じる予期していなかった新しいアイデアについて素早く検証することを可能にするものであり、3年間の研究遂行において十分に活躍するセットアップであると考えている。 また研究内容について、当初は触角運動の定量のみにフォーカスしていたが、より多様な文脈におけるアクティブセンシングの解明を図るため、触角に限定しない様々な感覚入力を考慮した行動現象の解明に拡張して研究を行った。具体的には、認識した刺激の違いに対して異なる反応を引き起こす特定の行動パラダイムに着目し、様々な刺激に対する反応性を調べることで、彼らの外界認識における知見を得た。加えて、同じ刺激に対してセンシングする場合であっても、置かれている環境や内部状態に依存した行動パターンの出力(意思決定,Decision-making)が見られ、それに応じてセンシング行動自体も変化することが示された。本結果に関する学術論文は現在執筆中であり、2024年度中の提出、出版を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当時は、単に様々な刺激に対する触角運動を定量することによってアリの基本的なアクティブセンシングに関する知見が得られることを想定していた。しかしながら、2023年度に実施した実験によって、従来考えられてきた以上に個体の状態や環境の変化が彼らの意思決定を大きく変化させることが示唆され、繊細な実験パラダイムの構築が求められることが明らかとなった。そのため触角運動の定量に先行して、アクティブセンシングを研究する上で候補となる様々な提示刺激に関するスクリーニングテストの実施、および彼らの内部状態をコントロールする様々な手法の開発を行った。加えて、触角運動の定量に必要な実験装置の開発も並行して進めたため、2024年度に予定している実験に必須となる基本的な下地については整備することができたと考えている。以上のことから、現在のところおおむね順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは2023年度の研究成果に関する学術論文の作成に尽力する。 そして2024度の主な取り組みとしては、2023年度に整備した装置を用いて実際に触角運動を撮影し、効率的にそれらを解析する手法を確立する。また、現在は屋内に限定される撮影装置を利用しているが、野外の撮影も考慮した携帯性に優れた装置の開発にも着手する。加えて、異なる内部状態のアリ、様々な刺激に対する反応、種間の差異など、包括的な比較研究の実施も検討している。 最終年度においては、それまでの知見をもとに、個体間相互作用における触角運動の定量に発展させ、機械受容に関連した情報伝達機構の解明を目指す。
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