Project/Area Number |
23KJ0669
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松山 剛大 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 担持ナノ粒子触媒 / 不均一系触媒 / メタセシス / 脱カルボニル / 活性種アンサンブル / 協働的触媒作用 |
Outline of Research at the Start |
本研究では, これまでに液相有機合成にほとんど利用されてきていない担持ナノ粒子の特異な触媒特性に立脚し, 不活性結合活性化を伴う新規分子変換反応を開発を行う. また, 触媒のキャラクタリゼーションや速度論解析, コントロール実験等の情報をもとに, 鍵反応として抽出した素反応への活性と有効な触媒活性点の状態の相関を量子化学計算による理論的な側面と併せて理解し, この情報を新たな分子変換反応の開発に応用する. このように実験的および理論的な両側面から, 担持ナノ粒子触媒を用いた新規分子変換反応開発を行う上で必要な触媒設計指針を与えることを目的としている.
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Outline of Annual Research Achievements |
担持ナノ粒子触媒特有の触媒特性や独自の設計を駆使することにより, 均一系・不均一系触媒のいずれにおいても実現できていない不活性結合切断を伴う分子変換反応を開発することを目的としている.
採用第1年度目である本年度においてはまず, ジアリールスルフィドのC-S結合メタセシスを目的反応とし, 単核のPd錯体を前駆体として反応系中でPdナノクラスターを形成させることで, そのアンサンブルを利用した初めての直接的なメタセシス反応の開発に成功した. さらにこの知見をもとに本反応に対しては活性種アンサンブルの適切な制御が重要であるという仮説を立て, 担持ナノ粒子触媒の設計を行った. その結果, Pdを過剰量のAuと合金化することでPdアンサンブルを減少させた結果, 基質あるいは生成物の吸着状態を制御し, 不均一系触媒を用いたジアリールスルフィドのC-S結合メタセシスが効率的に進行することを見出した. 本研究はナノ粒子やナノクラスターの活性種アンサンブルのような単核錯体では設計し難い特性が重要であることを示した例である. また, 修士課程で行っていた脱カルボニル反応の拡張として不均一系触媒として初めてのチオエステルの脱カルボニル反応に成功し, 活性種金属の違いによって活性や官能基耐性, 選択性が変化することを報告した. さらに担持Niナノ粒子触媒の協奏的な触媒作用を利用したアクセプターレス脱水素芳香環形成反応, CeO2のルイス酸塩基および酸化還元特性の協働的な触媒作用を利用したジアリール1,2-ジケトンの形式的脱カルボニル反応の報告も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では不活性結合活性化を伴う分子変換反応として, (1) Pdナノクラスター触媒を用いたジアリールスルフィドのC-S結合メタセシス, (2) AuPd合金ナノ粒子触媒を用いたジアリールスルフィドのC-S結合メタセシス, (3) 担持Ni, Pd, およびRhナノ粒子触媒を用いたチオエステルの脱カルボニル反応を報告した. (1), (2)は査読付き学術誌, (3)はpreprintに掲載されている. さらに不均一系触媒ならではの触媒作用を利用した分子変換反応として, (4) CeO2のルイス酸塩基および酸化還元特性の協働的な触媒作用を利用したジアリール1,2-ジケトンの形式的脱カルボニル反応, (5) 担持Niナノ粒子触媒の協奏的な触媒作用を利用したアクセプターレス脱水素芳香環形成反応を開発した. (4), (5)はいずれもpreprintに掲載されている. また, 上記の反応に関連した新たな分子変換反応を見つけることができており, 現在条件最適化や触媒のキャラクタリゼーションなど, 論文化に向けた実験を実施中である. このように, 固体触媒特有の触媒特性を利用した新規分子変換反応を実現できており, 当初の計画以上に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
採用第1年度目で得られた結果を論文としてまとめるとともに, 採用第1年度目で行った実験結果, 知見から新たな目的反応を設計し, 論文化のためのデータを集める. 具体的には, 担持ナノ粒子触媒を用いた脱カルボニル反応や形式的σ結合メタセシスにおいては活性種アンサンブルが非常に重要であるという知見が得られているため, 複数の金属の合金化のみならず, コアシェル構造の形成, 電子状態制御を目的とした担体の選択等により, 他の基質を用いた脱カルボニル反応や形式的σ結合メタセシスへの拡張を行っていく予定である.
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