相対論的磁気流体数値計算で解明する磁場優勢ジェットの磁気エネルギー転換と放射
Project/Area Number |
23KJ0692
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草深 陽 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 相対論的ジェット / ガンマ線バースト残光 / 磁気エネルギー転換機構 / 流体・放射シミュレーション / 半解析的モデリング |
Outline of Research at the Start |
ブラックホールから光速の99%以上の速度で噴出しているジェットは、理論的には非常に強い磁場を保持していると考えられている。こうしたジェットは磁場の力を借りて光を放出するため、様々な波長で観測することができる。しかし、観測から推定した磁場の強さは非常に弱いことが指摘されており、現行の理論と矛盾している。この問題を解決するべく、磁場のエネルギーを物質のエネルギーへと効率よく転換する機構を提唱し、多次元数値シミュレーションによってこの機構の妥当性を定量的に評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は相対論的ジェットに於ける磁気エネルギー転換機構の提唱および検証であり、令和5年度の研究実績は主に3つである。 1つ目は磁場の強い相対論的ジェットのエネルギー転換機構について数値シミュレーションを用いて明らかにしたことである。相対論的ジェットとは、ブラックホールから光の速度で噴出する細く絞られたプラズマ流のことである。近年の偏光観測により、銀河中心にある超大質量ブラックホールから放出される磁場の強い相対論的ジェットが、どのように磁場のエネルギーを衝撃波を通して観測される放射エネルギーへと転換するかが大きな課題の1つであった。この問題を我々の提唱する磁気エネルギー転換機構によって解決する可能性を論文として出版することに成功した。 2つ目は、1次元超高解像度特殊相対論的磁気流体数値計算コードをより幅広いパラメータ領域に対応させるために改良し、かつポストプロセスにて放射の計算を行う計算コードの開発を行ったことである。このコードを利用して、相対論的ジェットが本来持つであろう強磁場と厚みを考慮した流体・放射シミュレーションを行うことにより、従来のガンマ線バースト残光放射理論との相違点について明らかにすることができた。この成果については次年度に論文として出版予定である。 3つ目は、数値シミュレーション結果をもとにした半解析的モデリングに着手していることである。モデリングをすることによって、数値計算では扱うことの難しいパラメータ領域を計算することが可能となり、より多くの天体現象へと我々の提唱する磁気エネルギー転換機構を適用し、検証することが可能となるだろう。観測データ解析を得意とする他の研究者と共同研究を進めており、次年度に論文として報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画以上に進展している理由は、数値シミュレーションコードの進展・半解析的モデリングの着手・共同研究の主導・国際学会等での高評価を得たこと、4つが主である。 まず、数値シミュレーションコードの進展については、相対論的磁気流体コードのさらなる高速化に成功し、ポストプロセスで放射の計算を行うコードの開発にも成功した。研究成果については現在論文にまとめている最中であり、次年度に発表予定である。 さらに、シミュレーションの難しいパラメータ領域まで我々の結果を適用するために、半解析的モデリングにも着手し始めている。すでにある程度モデリングできており、成果については次年度に報告予定である。 加えて、モデリング成果を観測事例に適用するために、観測データ解析を得意としている外部研究者との共同研究を主導している。現在のところ最大3本の研究論文が次年度に生成されると予想している。 国際発表の回数も増加し、多くの研究者との議論も盛んになってきている。特に、海外の大型観測計画のPIから直接我々のモデルを評価して頂くこともでき、海外研究チームへの影響力も増している。
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Strategy for Future Research Activity |
より幅広いパラメータ領域をシミュレーションにより探索し、その結果を半解析的にモデリングする。その成果をもとに、外部研究者と協力してガンマ線バースト残光や潮汐破壊現象など多くの天体へとわれわれのモデルを適用することにより、モデルの有用性を評価する。 また、流体シミュレーションの計算領域全体にラグランジュ粒子を無数に移流させることにより、衝撃波加速粒子の空間依存性を考慮した放射の計算可能にするコードを開発する。これにより、活動銀河核ジェットやガンマ線バースト即時放射といった天体現象のエネルギー散逸・放射過程を明らかにする予定である。 加えて、乱流等の多次元効果が我々の提唱するエネルギー転換・放射機構に与える影響を調査するために、2次元相対論的磁気流体シミュレーションコードの開発を行う。多次元化することにより、多波長偏光の計算も行うことが可能となり、近年成果の目覚ましい偏光観測への示唆を与えることが可能となる。また、ジェットの二次元的構造を考慮することも可能となり、より現実に近い条件でのエネルギー転換機構について探究することが可能となる見込みである。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)